中小企業の平均妥結額は1万712円、アップ率は4.01%
――経団連「2024年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果」の最終集計
2024春闘における賃上げの状況
経団連(十倉雅和会長)が8月30日に公表した「2024年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(加重平均)」の最終集計によると、中小企業375社の妥結額の加重平均は1万712円となり、アップ率は4.01%となった。アップ率を規模別にみると、「300~500人未満」(4.43%)は4%台となったが、「100~300人未満」(3.67%)と「100人未満」(3.59%)では3%台となっている。
調査は、原則として従業員数500人未満で主要17業種に属する中小企業754社を対象に実施。17業種389社の妥結を把握し、そのうち、平均金額が不明な企業14社を除いた375社の結果を集計した。なお、妥結額は、定期昇給(賃金体系維持分)などを含んでいる。
アップ率は製造業で4.09%、非製造業で3.89%
それによると、中小企業375社の妥結額の加重平均は、1万712円で、昨年(8,012円)から2,700円増加し、アップ率は4.01%と昨年(3.00%)から1.01ポイント増加した。
製造業228社の平均は、妥結額が1万1,010円で昨年(8,659円)から2,351円増加した。アップ率は4.09%(同3.19%)となっている。非製造業147社の平均は、妥結額が1万278円で昨年(同6,924円)から3,354円増加。アップ率は3.89%(同2.65%)となった。(図表)
図表:2024年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(最終集計)
注1:平均欄の括弧内は1社あたりの単純平均
注2:上記妥結額は、定期昇給(賃金体系維持分)等を含む
(公表資料から編集部で作成)
妥結額が最も高いのは「金融」で、最も低いのは「繊維」
業種別にみると、妥結額が最も高いのは、「金融」(7社、1万7,320円)で、昨年(6,561円)から約1万700円増と大幅な増加となった。アップ率は6.52%と、昨年(2.72%)から4ポイント近く増加した。次に高いのは、「鉄鋼・非鉄金属」(17社、1万3,701円)で、昨年(9,023円)から4,678円増加。アップ率は4.94%と、昨年(3.37%)から1.57ポイント増加した。このほかの業種をみると、「土木・建設」(16社)が1万3,329円(同9,108円)でアップ率が4.61%(同3.42%)、「電気機器」(11社)が1万2,536円(同8,168円)で、アップ率が4.55%(同2.95%)などとなっている。
妥結額が最も低かったのは、「繊維」(13社、5,920円)で、昨年(6,870円)から950円減少した。アップ率は2.48%(同2.90%)となっている。次いで低いのは、「印刷・出版」(8社、7,049円)で、昨年(8,023円)から約970円減少した。アップ率は2.34%(同2.56%)となっている。
いずれの企業規模でも平均妥結額・アップ率が昨年から上昇
規模別にみると、「300~500人未満」(77社)の平均妥結額は、1万1,974円で、昨年(79社8,535円)から約3,400円増加し、アップ率は4.43%(同3.11%)。「100~300人未満」(180社)は9,778円で、昨年(168社、7,576円)から約2,200円増加し、アップ率は3.67%(同2.88%)。「100人未満」(118社)は9,188円で、昨年(120社、7,582円)から約1,600円増加し、アップ率は3.59%(同3.01%)となった。
いずれの規模も、平均妥結額、アップ率ともに昨年から上昇し、規模が大きいほど上昇幅が大きい。
(調査部)
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