大手企業の賃金アップ率は5.58%
――経団連「2024年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果」の最終集計
2024春闘における賃上げの状況
経団連(十倉雅和会長)が8月5日に発表した「2024年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果」の最終集計によると、大手企業135社の妥結額(定期昇給などを含む)の加重平均は、昨年の1万3,362円を大幅に上回る1万9,210円となった。アップ率は昨年の3.99%を1.59ポイント上回る5.58%となり、5.60%を記録した1991年以来の高水準となった。
調査対象は原則として従業員500人以上の大手244社(主要22業種)。186社(22業種)の妥結を把握し、うち51社は平均額不明などのため集計から除外した。
製造業だけでみるとアップ率は5.79%
製造業・非製造業別にみると、製造業(115社)の平均では、妥結額は1万9,636円(昨年1万3,121円)で、アップ率が5.79%(同3.99%)。非製造業(20社)の平均では、妥結額は1万7,969円(同1万4,579円)で、アップ率は5.01%(同3.96%)となっている。
業種別にみると、妥結額では、「鉄鋼」(3万7,528円)と「建設」(3万1,268円)が3万円台に乗せ、「情報通信」(2万9,224円)、「造船」(2万2,979円)、「機械金属」(2万2,141円)、「非鉄・金属」(2万205円)が2万円台となっている。それ以外は「航空」1万9,262円、「繊維」1万8,188円、「自動車」1万8,067円、「化学」1万7,714円、「食品」1万7,254円、「電機」1万6,914円、「印刷」1万6,343円、「鉄道」1万6,085円、「ゴム」1万5,037円、「商業」1万4,769円、「紙・パルプ」1万4,012円などとなっている。
鉄鋼とともに情報通信もアップ率が10%を超える
アップ率では、「鉄鋼」(12.04%)と「情報通信」(10.15%)が10%を超える率となり、両業種に次いで、「機械金属」(6.67%)、「造船」(6.47%)、「非鉄・金属」(6.32%)、「建設」(5.87%)、「航空」(5.67%)、「繊維」(5.45%)、「ゴム」および「自動車」(それぞれ5.24%)、「印刷」(5.17%)、「化学」(5.14%)、「食品」(4.94%)、「鉄道」(4.88%)、「電機」(4.82%)、「紙・パルプ」(4.50%)、「商業」(3.69%)などの順で高くなっている。
夏の賞与は平均94万1,595円(前年比4.23%増)に
8月7日には2024年夏季賞与・一時金の大手企業業種別妥結結果(加重平均)も発表した。それによると、集計した156社の夏季賞与・一時金の妥結額の総平均は94万1,595円で、前年の90万3,397円を3万8,198円上回った。増減率は4.23%増で、前年(0.47%増)より高い増加率となっている。
(調査部)
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