災害発生の頻度を表す「度数率」が2.14で前年から上昇
 ――厚生労働省「2023年労働災害動向調査」

労働災害をめぐる最新状況

厚生労働省は5月31日、2023年労働災害動向調査の結果を発表した。事業所規模100人以上の事業所における労働災害の発生状況をみると、災害発生の頻度を表す「度数率」は2.14で前年から0.08ポイント上昇。一方、災害の重さの程度を表す「強度率」は0.09で前年から横ばいだった。

調査は、規模100人以上の事業所を対象とする事業所調査と、総合工事業調査からなる。事業所調査、総合工事業調査ともに、2023年の状況について2024年1月1日~20日に調査を行った。事業所調査の調査客体数は1万4,777で、有効回答数は9,798。総合工事業調査の調査客体数は5,583で、有効回答数4,643となっている。

度数率が2を超えるのは3年連続

事業所調査によると、100万延べ実労働時間あたりの労働災害による死傷者数で、災害発生の頻度を表す「度数率」は2.14。前年の2.06から0.08ポイント上昇した(図表)。度数率が2を超えるのはこれで3年連続になる。

図表:労働災害率、死傷者一人平均労働損失日数の推移
画像:図表1

注1:2011年から調査対象産業に「農業、林業」のうち農業が追加されている。

注2:2018年から調査対象産業に「漁業」が追加されている。

(公表資料から編集部で作成)

また、1,000延べ実労働時間あたりの延べ労働損失日数で、災害の重さの程度を表す「強度率」は0.09で前年から横ばい。2017年以来、0.09が続いている。

死傷者一人平均労働損失日数は40.0日で、前年の44.3日から4.3日減少した。2020年から4年連続で50日未満となっている。

無災害事業所の割合は52.4%で、前年の54.9%から2.5ポイント低下した。時系列でみると、おおむねその割合は低下傾向にあり、10年前の2013年(61.3%)と比べると10ポイント弱、低い割合となっている。

製造業の度数率は1.29、強度率は0.08

産業別にみると、度数率は「農業・林業」を除けば、「生活関連サービス業、娯楽業(一部の業種に限る)」が4.61、「運輸業、郵便業」が3.95、「サービス業(他に分類されないもの(一部の業種に限る))」が3.73、「宿泊業、飲食サービス業(旅館、ホテルに限る)」が3.53、「卸売業、小売業」が2.43、「医療、福祉(一部の業種に限る)」が2.32、「製造業」が1.29などとなっている。

強度率は「農業・林業」を除けば、「生活関連サービス業、娯楽業(一部の業種に限る)」が0.31、「運輸業、郵便業」と「サービス業(他に分類されないもの(一部の業種に限る))」が0.19、「製造業」が0.08、「建設業(総合工事業を除く)」と「宿泊業、飲食サービス業(旅館、ホテルに限る)」が0.07、「卸売業、小売業」が0.06、「医療、福祉(一部の業種に限る)」が0.05などとなっている。

度数率、強度率ともに「100~299人」が最高

事業所規模別に度数率と強度率をみると、度数率は「1,000人以上」が0.56、「500~999人」が1.45%、「300~499人」が2.12、「100~299人」が2.91と、「100~299人」が最も高くなっている。一方、強度率は「1,000人以上」が0.02、「500~999人」が0.06、「300~499人」が0.07、「100~299人」が0.12と、規模が小さくなるほど高くなる傾向がみられる。

総合工事業の度数率は3年連続で前年を上回る

総合工事業調査によると、総合工事業の度数率は1.69で、前年の1.47から0.22ポイント上昇した。対前年比アップはこれで3年連続のこと。強度率は0.29で、前年の0.22から0.07ポイント上昇した。死傷者一人平均労働損失日数は174.2日で、前年から21.0日増加した。

(調査部)