実質賃金が2年連続で前年度比マイナス
 ――厚生労働省「毎月勤労統計調査」2023年度分結果確報

国内トピックス

厚生労働省が5月23日に発表した「毎月勤労統計調査」の2023年度分結果確報によると、現金給与総額は33万2,533円で前年度から1.3%上昇したものの、物価の変動を考慮した実質賃金では2.2%の低下となった。実質賃金での低下はこれで2年連続。

名目賃金では1.3%の増加

調査結果によると、賃金だけでなく手当や賞与なども含む「現金給与総額」は就業形態計で33万2,533円となり、前年度に比べ1.3%増加した。就業形態別では一般労働者(いわゆるフルタイム労働者)が43万8,696円で前年度から1.7%増加し、パートタイム労働者は10万5,989円で2.4%増加した。

きまって支給する給与から所定外給与を除いた「所定内給与」を一般労働者についてみると、前年度比1.8%増の32万5,504円。パートタイム労働者の時間当たり給与は同3.5%増の1,294円となっている。

産業別にみて対前年度比上昇率が最も高いのは、就業形態計では「不動産・物品賃貸業」(同プラス6.6%)で、「金融業、保険業」(同プラス4.1%)が続く。一般労働者で最も高いのは「生活関連サービス等」(同プラス5.6%)で、次いで「飲食サービス業等」(同プラス4.8%)が高い。パートタイム労働者で最も高いのは「金融業、保険業」(同プラス7.7%)、「情報通信業」(同プラス7.6%)が次いで高くなっている。

実質賃金はパートもマイナスに

物価の変動を考慮した実質賃金(現金給与総額)は就業形態計が前年度比マイナス2.2%で、就業形態別では一般労働者が同マイナス1.7%、パートタイム労働者が同マイナス1.1%となっている。

近年の状況をみると、2022年度以降は消費者物価の伸びが名目賃金の上昇を上回る状況が続いており、四半期別にみてもこの2年間はずっとマイナスで推移している(図表1)。

図表1:現金給与総額、消費者物価指数、実質賃金(総額)の前年度比(単位:%)
画像:図表1

注1:実質賃金(総額)は、現金給与総額指数を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で除して算出している。

注2:消費者物価指数は、総務省で公表している消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の前年度比を掲載している。

(公表資料から編集部で作成)

低下に大きく寄与したのはやはり消費者物価

実質賃金の前年度比の動きを要因分解したものをみると、2021年度以降は一般労働者およびパートタイム労働者の賃金上昇がプラスに寄与しているが、消費者物価がマイナスに大きく寄与している。また、労働者全体に占めるパートタイム労働者の割合が増えていることも、実質賃金の低下に寄与している(図表2)。

図表2:実質賃金(現金給与総額)の前年度比の要因分解
画像:図表2

(公表資料から編集部で作成)

なお、厚生労働省は6月5日、4月分の調査結果を公表した。それによると、同月の実質賃金(現金給与総額)は前年同月に比べマイナス0.7%で、25カ月連続でのマイナスとなった。24日公表の同月分確報では前年同月に比べマイナス1.2%となった。

(調査部)