一般労働者の月額賃金における男女格差が2年連続で縮小
 ――厚生労働省「2022年賃金構造基本統計調査」

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厚生労働省がさきごろ発表した「2022年賃金構造基本統計調査」結果によると、一般労働者の月額平均賃金は31万1,800円で、前年に比べ1.4%増加した。男女別にみると、男性は前年比1.4%増の34万2,000円で、女性が同2.1%増の25万8,900円。男性を100としてみた男女間賃金格差は75.7で、2年連続での格差縮小となった。調査は2022年6月分の賃金等について同年7月に実施。有効回答を得た5万5,427事業所のうち10人以上の労働者を雇用する4万8,371事業所の回答を集計した。

一般労働者の月額賃金は31万1,800円

一般労働者(短時間労働者を除く)の月額賃金(所定内給与額)は31万1,800円(年齢43.7歳、勤続年数12.3年)で、男女別にみると男性が34万2,000円(同44.5歳、13.7年)、女性が25万8,900円(同42.3歳、9.8年)だった。前年に比べ、男女計は1.4%、男性は1.4%、女性は2.1%それぞれ増加した。

また、男性の賃金を100とした場合の男女間賃金格差は75.7となり、前年から0.5ポイント上昇した(図1)。2年連続で格差が縮小しており、10年前の2012年(70.9)と比較するとほぼ5ポイント格差が縮小したことになる。

図1:男女間賃金格差指数の推移
画像:図1

(公表資料から編集部で作成)

賃金カーブを男女別・年齢階級別にみると、男性は、年齢が高くなるにつれ賃金も上昇し、55~59歳(41万6,500円)でピークに達し、その後下降している(図2)。女性は男性に比べ賃金の上昇が緩やかで、ピーク時の55~59歳の金額は28万円だった。また、20~24歳の賃金を100とすると、ピーク時の55~59歳は男性で188.9、女性は129.4だった。

図2:性、年齢階級別賃金(2022年)
画像:図2

(公表資料から編集部で作成)

賃金を学歴別にみると、高校は27万3,800円(前年比0.8%増)、専門学校は29万4,200円(同2.0%増)、高専・短大は29万2,500円(1.1%増)、大学は36万2,800円(0.9%増)で、大学院が46万4,200円(2.2%増)となっている。

大企業で最も高い賃金上昇率

企業規模別にみると、1,000人以上の大企業が34万8,300円、中企業(100~999人)が30万3,000円、小企業(10~99人)が28万4,500円。前年と比べると大企業が2.5%増、中企業が1.1%増、小企業が1.6%増となっており、大企業が最も増加率が大きい。

主な産業別に賃金をみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が40万2,000円で最も高く、次いで「学術研究、専門・技術サービス業」(38万5,500円)、「情報通信業」(37万8,800円)、「教育、学習支援業」(37万7,700円)などの順で高い。最も低いのは「宿泊業、飲食サービス業」(25万7,400円)となっている。

正社員・正職員と正社員・正職員以外の賃金差は約10万円

雇用形態別にみると、正社員・正職員は32万8,000円、正社員・正職員以外は22万1,300円で、両者の間に約10万円の差があった。前年比でみると、正社員・正職員(1.4%増)も正社員・正職員以外(2.1%増)も、ともに増加しているが、増加率は正社員・正職員以外がやや高くなっている。さらに男女別にみると、男性では正社員・正職員35万3,600円に対し、正社員・正社員以外が24万7,500円、女性では前者が27万6,400円で、後者が19万8,900円となっている。

雇用形態間の賃金格差(正社員・正職員=100)をみると、男女計では67.5、男性では70.0、女性は72.0となっている。企業規模別に、男女計での雇用形態間の賃金格差をみると、大企業が60.8、中企業が69.5、小企業が71.1で、大企業で最も格差が大きい。産業別では、「電気・ガス・熱供給・水道業」(58.5)で最も格差が大きくなっている。

新規学卒者の賃金は、高校で18万1,200円、専門学校21万2,600円、高専・短大20万2,300円、大学22万8,500円、大学院26万7,900円だった。

都道府県別に賃金をみると、全国平均31万1,800円を上回るのは、最も高い東京都(37万5,500円)のほか、神奈川県、大阪府、愛知県、兵庫県の5都府県のみで、全国平均を引上げている。最も低かったのは青森県の24万7,600円で、宮崎県の24万9,600円が続く。

短時間労働者の時給額は特に女性で減少

短時間労働者の1時間当たりの賃金は1,367円(46.3歳、勤続6.5年)で、男女別では、男性が1,624円(前年比0.4%減)、女性が1,270円(同1.6%減)となっている。年齢階級別にみると、男性は35~39歳(2,438円)、女性は30~34歳(1,457円)で最も高い。

1時間当たり賃金を企業規模別にみると、大企業で1,307円、中企業で1,493円、小企業で1,339円と、大企業よりも中小企業のほうが高くなっている。前年に比べるといずれも1~2%ほど減少している。

産業別にみると、「教育、学習支援業」が2,447円で最も高く、最も低いのは「宿泊業、飲食サービス業」(1,105円)。男女別にみると、男性では「医療、福祉」が3,613円で最も高く、女性では「教育、学習支援業」が2,052円で最も高くなっている。

(調査部)