2005年に「65歳以降仕事をしたい」と回答していた現在60代後半の男性の7割弱が、実際に仕事をしていると回答
――厚生労働省「第17回中高年者縦断調査」
国内トピックス
厚生労働省は11月24日、「中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)」結果を公表した。2005年10月末に50~59歳だった中高年世代に、毎年、就業状況などを継続して調査しており、今回で17回目。今回の調査では、対象者の年齢は66~75歳となっている。第1回調査時に「65歳以降仕事をしたい」と回答していた人のうち、現在も実際に仕事をしている人が、66~69歳では男性で66.6%、女性で53.8%にのぼった。70~74歳でも男性では約半数(51.7%)が仕事をしている。
「仕事をしていない」が約6割で、「パート・アルバイト」が約15%
今年の10月末時点での就業状況をみると、「仕事をしていない」が59.4%と約6割を占め、「パート・アルバイト」が14.6%、「自営業主、家族従業者」が12.6%、「派遣社員、契約社員・嘱託」が4.7%、「正規の職員・従業員」が3.0%、「会社・団体等の役員」が2.7%などとなっている。
第1回調査から16年間の就業状況の変化をみると、この16年間で正規の職員・従業員が35.6ポイント低下し、「パート・アルバイト」が微減(2.3ポイント低下)。一方、「仕事をしていない」は41.2ポイント上昇した(図表)。
図表:就業状況の第1回結果と第17回結果の比較
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(公表資料から編集部で作成)
第1回で「仕事をしている」と回答した人について、第17回の就業状況を男女別にみると、男性の「正規の職員・従業員」だった人では、「仕事をしていない」(55.8%)が最も割合が高く、次いで「パート・アルバイト」(15.6%)、「労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託」(10.3%)などの順となっている。女性の「パート・アルバイト」だった人では、「仕事をしていない」が64.0%で最も高く、第17回も「パート・アルバイト」とした人が29.1%だった。
第1回調査時に「65歳以降仕事をしたい」と回答していた人のうち、現在も実際に仕事をしているのは、66~69歳では男性が66.6%、女性が53.8%にのぼった。70~74歳では男性が51.7%、女性が39.6%。75歳では男性が43.9%、女性が34.0%となっている。
健康状態は4割近くが、16年前からずっとよいと回答
健康の状況について、「第1回調査からずっと『よい』」と答えたのは38.3%と半数近い。「『よい』から『わるい」に変化」としたのは3.7%にとどまり、「その他の変化」(よい・わるいを繰り返すなど)は42.6%だった。
「ずっと『よい』」と答えた人の、健康維持のために心がけていることは、「適度な運動をする」(13.8%)、「食後の歯磨きをする」(13.2%)、「バランスを考え多様な食品をとる」(12.8%)などで、いずれの項目も健康状態が「その他の変化」と回答した人における回答割合を上回っている。
また、この5年間の社会参加活動の状況をみると、男女とも「スポーツ・健康」、「趣味・教養」、「地域行事」などで参加割合が高い。今回の結果では、「スポーツ・健康」(男性54.3%、女性51.2%)、「趣味・教養」(以下同順で、44.6%、46.3%)、「地域行事」(33.0%、23.1%)などとなっている。推移をみると、「趣味・教養」「地域行事」はこの2年で減少し、「スポーツ・健康」は横ばいの状況となっている。
情報通信機器のふだんの使用状況についてもたずねている。男性で92.9%、女性で90.8%と9割以上が「使用している」と回答し、うちスマートフォンは62.8%、携帯電話は31.6%、パソコンは27.8%、タブレット型端末は11.1%だった。
(調査部)
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