高卒就職者の就職3年以内の離職率は35.9%で、大卒は31.5%
 ――厚生労働省が「新規学卒就職者の離職状況(2019年3月卒業者)」を公表

国内トピックス

厚生労働省が10月28日に公表した「新規学卒就職者の離職状況(2019年3月卒業者)」によると、2019年3月に卒業した新規高卒就職者の就職後3年以内の離職率は35.9%で、前年度に比べ1.0ポイント低下した。新規大学卒就職者については31.5%で、前年度から0.3ポイント上昇した。離職率の高い業種は、高卒・大卒ともに「宿泊業・飲食サービス業」で、高卒が60.6%、大卒が49.7%となっている。

離職率は、事業所からハローワークに対して、雇用保険の加入届が提出された新規被保険者資格取得者の生年月日、資格取得加入日等、資格取得理由から学歴ごとに新規学卒者と推定される就職者数を算出し、さらにその離職日から離職者数・離職率を算出している。

事業所規模が小さくなるほど高い離職率

学歴ごとに、新規学卒就職者の就職後3年以内離職率をみていくと、【中学】が57.8%で前年度比2.8ポイント上昇、【高校】が35.9%で同1.0ポイント低下、【短大等】が41.9%で同0.5ポイント上昇、【大学】が31.5%で同0.3ポイント上昇となっている。

過去の推移でみると、【中学】【短大等】【大学】は2年度ぶりの上昇で、【高校】は3年度連続の低下となっている。

【高校】と【大学】に絞り込んで、事業所規模別にみると、【高校】では、「5人未満」が60.5%、「5~29人」が51.7%、「30~99人」が43.4%、「100~499人」が35.1%、「500~999人」が30.1%、「1,000人以上」が24.9%となっており、規模の小さい事業所になるほど離職率は高まる。前年度と比べると、「500~999人」を除くすべての規模で微減となっている。

【大学】では、「5人未満」が55.9%、「5~29人」が48.8%、「30~99人」が39.4%、「100~499人」が31.8%、「500~999人」が29.6%、「1,000人以上」が25.3%で、【高校】と同じように、規模が小さくなるほど高い離職率となっている。前年度と比べると、「5人未満」と「5~29人」は若干低下した一方、「30~99人」「500~999人」「1,000人以上」は若干上昇した。

「宿泊業・飲食サービス業」に就職した大卒の約5割、高卒の約6割が離職

【高校】と【大学】それぞれについて、就職後3年以内離職率が高い産業を上位5つまであげると、【高校】は「宿泊業・飲食サービス業」が60.6%で最も高く、次いで「生活関連サービス業・娯楽業」(57.2%)、「教育・学習支援業」(53.5%)、「小売業」(47.6%)、「医療、福祉」(45.2%)という順となっている。前年度と比べると、「宿泊業・飲食サービス業」(0.5ポイント低下)、「小売業」(0.2ポイント低下)、「医療、福祉」(1.0ポイント低下)は微減、「生活関連サービス業・娯楽業」(0.3ポイント上昇)は微増となるなか、「教育・学習支援業」は3.4ポイント上昇した。

【大学】は、「宿泊業・飲食サービス業」が49.7%で最も高く、次いで「生活関連サービス業・娯楽業」(47.4%)、「教育・学習支援業」(45.5%)、「医療、福祉」(38.6%)、「不動産業、物品賃貸業」(36.1%)という順。【高校】とは若干、順位が異なっている。

前年度と比べると、「宿泊業・飲食サービス業」(1.8ポイント低下)と「教育・学習支援業」(0.1ポイント低下)が微減、「生活関連サービス業・娯楽業」(0.9ポイント上昇)、「医療、福祉」(同率)、「不動産業、物品賃貸業」(1.6ポイント上昇)が同率または微増となっている。

(調査部)

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