約7割の企業が副業・兼業を「認めている」「認める予定」
 ――経団連の「副業・兼業に関するアンケート調査結果」

国内トピックス

経団連(十倉雅和会長)が10月11日に公表した「副業・兼業に関するアンケート調査結果」によると、自社社員の社外での副業・兼業を「認めている」「認める予定」との回答が70.5%を占めた。常用労働者数5,000人以上の大企業では、「認めている」「認める予定」が8割を超える。副業・兼業を認めている企業の4割強が、多様な働き方や自律的なキャリア形成への効果を感じている。

調査は2022年7~8月に、経団連の全会員企業1,509社を対象に実施。275社(回答率18.2%)から回答を集めた。

規模の大きい企業ほど副業・兼業を認める傾向

自社の社員が社外で副業・兼業することを「認めている」企業は、約半数の53.1%。「認める予定」(17.5%)の企業も加えると、70.5%にのぼる。

企業規模別にみると、常用労働者数の多い企業ほど副業・兼業を認めている傾向にある。常用労働者数5,000人以上の大企業では、副業・兼業を「認めている」は66.7%。「認める予定」(17.2%)も含めると83.9%となる。他方で、100人未満の企業では「認めている」(31.6%)と「認める予定」(10.5%)をあわせて約4割にとどまる。

業種別にみると、副業・兼業を認めている割合が最も高いのは「不動産業」(85.7%)で、次いで「金融・保険業」(76.0%)となっている。

背景にコロナ禍でのテレワークの普及が

調査結果によれば、副業・兼業を認める企業は2019年以降に急増している。経団連はこの背景について、「厚生労働省が『副業・兼業の促進に関するガイドライン』や『モデル就業規則』を公表・改定したことや、コロナ禍においてテレワークが普及し、副業・兼業をしやすい環境が整ったことなどが考えられる」と指摘している。

多様な働き方や自律的なキャリア形成への効果を4割強の企業が実感

副業・兼業を認めている企業にその効果を尋ねたところ(複数回答)、特に高いのは「多様な働き方へのニーズの尊重」(43.2%)、「自律的なキャリア形成」(39.0%)だった。以下、「本業で活用できる知識・スキルの習得」(18.5%)、「人材の定着」(13.7%)、「セカンドライフへの関心の高まり」(13.0%)などと続く。その一方で、「特に効果は出ていない」とする回答も22.6%みられた。

情報通信業で目立つ社外からの副業・兼業人材の受け入れ

副業・兼業者の社外からの受け入れについては、「認めている」企業が16.4%だった。「認める予定」(13.8%)もあわせると約3割となる。こちらも自社社員の副業・兼業と同様に、特に2019年以降に増加傾向にある。

企業規模別にみると、受け入れを「認めている」「認める予定」の企業は常用労働者数5,000人以上が40.2%で最多だったほか、300人未満も37.7%となっている。業種別にみると、「情報通信業」(40.0%)の高さが目立つ。

受け入れの効果は人材確保に加え、新規事業創出やイノベーション促進も

副業・兼業者の受け入れを認めている企業にその効果を尋ねたところ(複数回答)、「人材の確保」(53.3%)が最も高く、次いで「社内での新規事業創出やイノベーション促進」(42.2%)、「社外からの客観的な視点の確保」(35.6%)、「自社で活用できる他業種の知見・スキルの習得」(24.4%)となっている。「特に効果は出ていない」とする回答は4.4%のみだった。

(調査部)