四輪ドライバーからみたフードデリバリーの自転車の危険な行為、「スマホのながら走行」がトップ
 ――運輸労連がアンケート調査結果を公表

国内トピックス

自転車や原動機付き自転車などを使ったフードデリバリーが普及するなか、運輸労連(難波淳介委員長、16万4,000人)はこのほど、フードデリバリーの走行マナーなどに関するアンケート結果を発表した。フードデリバリーの自転車の走行ル-ルやマナー違反で危険を感じる行為を加盟単組のドライバーに聞いたところ、「スマートフォン等のながら走行」がトップにあがった。アンケートは2021年9~10月を回答期間として行い、11月1日までに8,803人分の回答を回収した。

原動機付き自転車と自動二輪車では「すり抜け」が最多

運転中の乗務車両(台車含む)からみたフードデリバリーの自転車、原動機付き自転車、自動二輪車それぞれの走行ルール・マナー違反で危険を感じる行為を選んでもらったところ(それぞれ3つまで回答)、自転車では、「スマートフォン等のながら走行」の回答数が3,142で最も多く、次いで「すり抜け」(1,716)、「イヤホン等で音楽を聴きながらの走行」(1,703)、「ふらつき走行」(1,215)、「飛び出し」(858)、「傘差し走行」(771)、「周囲を気にしていない」(766)、「信号無視」(648)、「頻繁に車道・歩道を行き来する」(612)などの順で多かった()。

原動機付き自転車では、「すり抜け」(3,541)が圧倒的に多く、「並走」(1,191)、「速度超過」(1,186)、「無理な割り込み」(1,185)がほぼ同程度の回答数で続いた。

自動二輪車では、「すり抜け」(3,415)が最も多く、次いで「速度超過」(2,146)、「無理な割り込み」(1,664)、「周囲を気にしていない」(1,244)、「並走」(1,169)などの順で多かった。

表:フードデリバリーの危険を感じる行為 それぞれの上位3位まで 
第1位 第2位 第3位
自転車 スマートフォン等のながら走行(3,142) すり抜け(1,716) イヤホン等で音楽を聴きながらの走行(1,703)
原動機付き自転車 すり抜け(3,541) 並走(1,191) 速度超過(1,186)
自動二輪車 すり抜け(3,415) 速度超過(2,146) 無理な割り込み(1,664)

自由回答では営業ナンバー登録を求める声も

自由回答欄では、フードデリバリー関連について、「フードデリバリーに使用する車両の営業ナンバー登録と、保険加入の義務化等で危険な運転をするドライバーの参入をさせない制度を作るのが望ましい」「急な進路変更、飛び出しなどの自転車を見かけるため、フードデリバリーも営業ナンバーが必要かもしれない」といった営業ナンバー登録を必要とすべきとする意見や、「フードデリバリー車両およびヘルメットにドライブレコーダーを付けてほしい」などの意見が寄せられた。

運転中に二輪車が危ないと頻繁に感じる人は5割

アンケートでは、フードデリバリーに限定せず、四輪車両からみた「二輪車等」の走行マナーについても尋ねている。運転中に二輪車等が「危ないな」と感じることがあるか聞くと、「よくある」が4,381人(50%)、「たまにある」が3,849人(44%)、「ない」が414人(5%)、「わからない」が107人(1%)と、半数が頻繁に経験していると答えた。

走行中の乗務車両(台車含む)からみた走行ルール・マナー違反で危険を感じる行為を聞くと(3つまで回答)、「すり抜け」が3,873人で最も多く、次いで「スマートフォン等のながら走行」(2,957人)、「飛び出し」(1,798人)、「ふらつき走行」(1,764人)、「イヤホン等で音楽を聴きながらの走行」(1,749人)、「周囲を気にしていない」(1,625人)などの順で多かった。

特に危険と思われる時間帯を聞くと、「昼間」が3,316人(39%)で最も多く、「日没前後1時間」(2,819人、33%)をあげる人も多かった。

自転車レーンで危険を感じさせてしまった人は約6割

最近は、自転車専用レーンや車道混在区間も増えてきている。自転車専用レーン付近や車道混在区間などで運転を行う際、自転車に対して危険を感じさせてしまったと思うことはあるか聞いたところ、「よくある」が1,174人(13%)、「たまにある」が4,249人(49%)、「ない」が2,357人(27%)、「わからない」が941人(11%)で、約6割が危険を感じさせた経験があった。

自転車専用レーン付近や車道混在区間などで運転を行う際、自転車に対して危険と思われる行為を聞くと(3つまで回答)、「右左折」が4,323人で最も多く、次いで「追い越し」(3,890人)、「接近」(3,751人)、「並走」(3,574人)などの順で多い。

行政への要望では、街頭での指導・取り締まり強化がトップ

自転車やフードデリバリーなどから安全を守るために、行政に対して求めるべき考えを尋ねると(3つまで回答)、「街頭での指導・取り締まり強化(自転車)」が4,533人で最も多く、これに「法規制の強化」(3,651人)、「運営会社への指導強化(フードデリバリー)」(3,187人)、「営業ナンバー制の導入(フードデリバリー)」(1,847人)などが続いた。

(調査部)

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