日産、世界で9000人削減へ 北米不振で業績悪化、生産も2割減

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時事通信によると、日産自動車は7日、世界全体での生産能力を20%引き下げ、人員を9000人削減すると発表した。保有する三菱自動車の株式約34%のうち10%を上限に同社へ売却する方針も示した。主戦場とする北米や中国での販売不振などを背景に業績が悪化しており、構造改革により収益力の立て直しを急ぐ。

日産は、北米で需要が急拡大しているハイブリッド車(HV)の製品ラインアップを持っておらず、主力車種の販売が振るわない状況が続く。オンライン形式で記者会見した内田誠社長は「HVがここまで拡大するとは読めていなかった」と不振の責任を認め、自身の報酬を今月から50%返上すると明らかにした。今後は米中市場でプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)の投入を加速する。

人員や生産能力の削減の時期や地域について、内田氏は「(現時点で)言えない」としつつ「さまざまな手法がある」と述べた。ホンダや三菱自と検討している協業については「進捗(しんちょく)は悪くなく、方針は変わらない」と指摘。連携を通じた商品力向上を図ると説明した。

三菱自株を7日終値(460.6円)で上限の10%を売却すると、約686億円となる。内田氏は、同社株売却は日産の資金繰りと関係ないと強調。スティーブン・マー最高財務責任者も「資金は十分に確保できている」と語った。

同日発表した2024年9月中間連結決算は、純利益が前年同期比93.5%減の192億円に落ち込んだ。本業のもうけを示す営業利益は90.2%減の329億円だった。25年3月期業績予想について、営業利益を1500億円(従来予想5000億円)と大幅に下方修正。従来3000億円と予想していた純利益は未定とした。

◇内田社長の一問一答
従業員や家族への責任は痛感している。再び日産を成長軌道に戻すことが社長としての最大の役割で、やり遂げる覚悟だ。

―米国事業の業績悪化要因は。
主力車種が収益を稼げていない。北米でハイブリッド車(HV)が急拡大しているが、現状ラインアップを持っていない。ここまでHVが拡大する状況は読めていなかった。

―ホンダ、三菱自動車との協業への影響は。
密に連携をしていて進捗(しんちょく)状況は悪くない。両社との協業の方針は変わらない。

―三菱自株式売却の狙いは。
三菱自の経営戦略を支えるためだ。ただ、いかにキャッシュフローを強いものにするかは今後の課題。稼ぐ力をきっちり付けていく。

―生産能力・人員削減の地域と時期は。
(現時点で)言えない。生産能力の観点では工場を閉めること以外にもさまざまな手法がある。

(時事通信)
2024年11月7日