民間企業に雇用される障がい者数が20年連続で過去最高を更新
 ――厚生労働省が2023年「障害者雇用状況」集計結果を公表

国内トピックス

厚生労働省が昨年12月に公表した民間企業や公的機関などにおける2023年の障害者雇用状況の集計結果によると、民間企業に雇用されている障がい者数は、前年より2万8,220.0人多い64万2,178.0人となり、20年連続で過去最高を更新した。実雇用率は前年比0.08ポイント上昇の2.33%で、こちらも過去最高。法定雇用率(2.3%)を達成している企業の割合は50.1%で、前年から1.8ポイント上昇した。

民間企業に雇用されている精神障がい者の伸び率は2割近くにのぼる

民間企業に雇用されている障がい者数を、障がいの種類別にみると、身体障がい者が36万157.5人(前年比0.7%増)、知的障がい者が15万1,722.5人(同3.6%増)、精神障がい者が13万298.0人(同18.7%増)となっており、特に精神障がい者の伸び率が大きい。

実雇用率は12年連続で過去最高を更新

法定雇用障がい者数の算定基礎となる労働者に占める、雇用障がい者数の割合である実雇用率は、前年から0.08ポイント上昇して2.33%となり、12年連続で過去最高を更新した。法定雇用率を達成している企業の割合は50.1%で、前年の48.3%から1.8ポイント上昇している。

実雇用率を企業規模別にみると、「43.5~100人未満」が1.95%(前年は1.84%)、「100~300人未満」が2.15%(同2.08%)、「300~500人未満」が2.18%(同2.11%)、「500~1,000人未満」が2.36%(同2.26%)、「1,000人以上」が2.55%(同2.48%)で、いずれの規模も前年比プラスとなっている。

法定雇用を達成している企業の割合を規模別にみると、「43.5~100人未満」が47.2%(前年は45.8%)、「100~300人未満」が53.3%(同51.7%)、「300~500人未満」が46.9%(同43.9%)、「500~1,000人未満」が52.4%(同47.2%)、「1,000人以上」が67.5%(同62.1%)で、すべての規模が前年比プラスとなった。

実雇用率を産業別にみると、「医療、福祉」(3.09%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(2.46%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(2.41%)、「運輸業、郵便業」(2.39%)、「農、林、漁業」(2.38%)、「製造業」(2.32%)の6業種で法定雇用率を上回り、「教育、学習支援業」(1.81%)、「情報通信業」(1.91%)、「不動産業、物品賃貸業」(1.96%)などは比較的低い雇用率となっている。

雇用率未達成企業の6割近くは障がい者の雇用数がゼロ

法定雇用率の未達成企業は5万3,963社。このうち、雇用されている障がい者の不足数が0.5人または1人の企業(1人不足企業)は、全体の3分の2(66.7%)を占める。また、法定雇用率の未達成企業のうち、障がい者を1人も雇用していない企業(0人雇用企業)は58.6%と6割近い。

特例子会社は19社増えて598社に

親会社の実雇用率に算入できる、障がい者の雇用に特別の配慮をした子会社である特例子会社の認定を受けている企業は598社で、前年から19社増加。特例子会社に雇用されている障がい者数は4万6,848.0人(前年は4万3,857.0人)となっている。

特例子会社に雇用されている障がい者数を障がいの種別にみると、身体障がい者が1万2,134.0人(同1万1,835.5人)、知的障がい者が2万4,062.0人(同2万2,941.0人)、精神障がい者が1万652.0人(同9,080.5人)となっている。

国の機関の実雇用率は2.92%

公的機関の状況をみると、国の機関に在職している障がい者の数は9,940.0人で、前年から2.4%増加した。実雇用率は2.92%で、前年から0.07ポイント上昇。44機関すべてが法定雇用率(2.6%)を達成している。

都道府県の機関に在職している障がい者の数は1万627.5人で、前年から2.1%増加。実雇用率は2.96%で、前年から0.10ポイント上昇した。知事部局は47機関すべてが法定雇用率(2.6%)を達成しており、知事部局以外は116機関中105機関が達成している。

市町村の機関に在職している障がい者の数は3万5,611.5人で、前年から3.1%増加。実雇用率は2.63%で前年から0.06ポイント上昇した。2,460機関中1,910機関が法定雇用率(2.6%)を達成している。

障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合以上の障がい者を雇うことを義務づけている。また同法では、毎年6月1日現在の身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者の雇用状況について、雇用義務のある事業主等に報告を求めており、今回の集計結果はそれを取りまとめたもの。短時間労働者は原則0.5人でカウントしている。

(調査部)