2022年の年間給与の対前年増加率は、2015年以降で最高
 ――国税庁の2022年分「民間給与実態統計調査」結果報告

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国税庁が9月に公表した2022年分の「民間給与実態統計調査」の調査結果報告によると、給与所得者の2022年における1年間の平均給与は458万円で、前年から2.7%増加した。増加は2年連続。増加率は2015年以降で最も高い。男女別にみると、女性(314万円)は前年に比べ3.9%の増加となり、増加率は前年比では男性(563万円、前年比2.5%増)を上回った。

同調査は、国税庁が民間の事業所における給与の実態を明らかにし、税務行政運営に役立てることを目的に毎年実施している。対象は民間の事業所で働く給与所得者。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」や「毎月勤労統計調査」とは異なり、従業員数1~4人の小規模事業所も含まれ、役員報酬も対象となっている。2022年分調査では2万323事業所から回答を得た。

女性は314万円で約4%増加

調査結果をみると、1年を通じて勤務した給与所得者(平均年齢47.0歳)における、2022年の年間の1人あたり平均給与は458万円(前年比2.7%増)。なお、ここでの給与には賞与も含まれる。増加率は2015年以降で最も高い。男女別にみると、男性(同47.1歳)が563万円(同2.5%増)、女性(同46.9歳)が314万円(同3.9%増)で、女性のほうが増加率が高い()。

表:平均給与の推移(男女別)
画像:図表

(公表資料から編集部で作成)

男女計の平均給与458万円の内訳をみると、給料・手当が386万円、賞与が72万円で、賞与の占める割合は18.5%(前年は18.2%)となっている。男女別にみると、男性は平均給与563万円のうち給料・手当が472万円、賞与が92万円で、賞与が占める割合は19.4%。女性は平均給与314万円のうち給料・手当が270万円、賞与が44万円で、賞与が占める割合は16.4%となっている。

正社員以外は201万円で2.8%増

平均給与を雇用形態別にみると、正社員(正職員)が523万円(前年比1.5%増)なのに対して、正社員(正職員)以外は201万円(同2.8%増)となっている。平均給与の差は312万円と大きいが、増加率は正社員(正職員)以外のほうが1.3ポイント高い。

男性は「55~59歳」の702万円がピークで60歳以降は低下

年齢階級別にみると、最も高いのは「55~59歳」(546万円)で、次いで「50~54歳」(537万円)。最も低いのは「19歳以下」(124万円)で、次いで「20~24歳」(273万円)となっている。

さらに男女別にみると、男性は「55~59歳」(702万円)までは年齢が上がるとともに平均給与が高くなっており、「60~64歳」以降は低下する。一方、女性は、男性のように年齢が上がるにつれて額が上がるという傾向がみられず、25歳~59歳にかけての年齢階級では329~349万円の範囲内に収まっている。

勤続年数別にみると、男女計では「30~34年」(712万円)がピークとなっており、「30~34年」までは勤続年数が長くなるにつれて平均給与が高くなる。男女別にみても同様の傾向がみられるが、勤続年数による差は女性よりも男性で大きい。

3割強が300万円超500万円以下の範囲に

給与の分布にも着目すると、階級分布でみて最も割合が高いのは「300万円超400万円以下」(16.5%)で、次いで「400万円超500万円以下」(15.3%)となっており、あわせて3割強の給与所得者が300万円超500万円以下の範囲に収まっている。高所得者についてみると、「1,000万円超」が5.4%を占めているほか、「2,000万円超」は0.6%となっている。

業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」の747万円が最高

平均給与を業種別にみると、最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」(747万円)で、以下「金融業,保険業」(656万円)、「情報通信業」(632万円)、「学術研究,専門・技術サービス業、教育,学習支援業」(544万円)、「製造業」(533万円)などと続く。最も低いのは「宿泊業,飲食サービス業」(268万円)で、次いで「農林水産・鉱業」(337万円)、「サービス業」(377万円)などとなっている。

事業所規模別にみると、従業員数「10人未満」の事業所で371万円、「10~29人」で425万円、「30~99人」で423万円、「100~499人」で446万円、「500~999人」で480万円、「1,000~4,999人」で521万円、「5,000人以上」で538万円となっており、おおむね規模が大きいほど平均給与が高い傾向にある。

(調査部)