あいさつ:第9回労働政策フォーラム
共に働き、共に生きる社会づくりをめざして
―障害者の就労支援に関する有識者懇話会
「共働宣言」が伝えたいこと―
(2004年12月3日)

開催日:平成 16 年 12 月 3 日

※無断転載を禁止します(文責:事務局)

配布資料

谷畑 孝・前厚生労働副大臣(衆議院議員)

「働くこと」の環境整備の重要性

この 9月まで厚生労働省で障害者担当の副大臣を仰せつかっておりました衆議院議員の谷畑孝でございます。

13年前のことですが、初めて私の主催で、「健常者と障害者のふれあいサマーキャンプ」というのを300名くらいの規模で行いました。合宿をしておりますと、いつの間にかお互いの気持ちが通じ合い、それまで遠慮していたのが、それぞれの立場を理解して認め合うようになる。そういうキャンプでありました。

このキャンプで電車を借り切って海水浴に行ったのですが、びっくりしましたのは、当時はエレベーターが全くなく、駅のホームは車いすが通れないことでした。それが1つのきっかけになり、「大阪環状線のすべての駅にエレベーターを」というスローガンでやってまいりまして、大阪の福祉条令をつくっていくことになったのです。厚生労働副大臣として障害者を担当することになり、そのときの経験を思い出しました。

「障害者の就労支援に関する有識者の懇話会」では、堀田先生が座長として非常に見事にまとめられ、すばらしい「共働宣言」ができ上がりました。ほんとうにやさしい言葉で、しかもその中に一つ一つ本質が入っている。私もうれしく思っています。

さて、これまでの障害者の歴史を考えると、戦後から基本的には上からの保護であったり、家族への押しつけであったり、あるいは家族が恥ずかしいということで囲い込みであったりしたわけです。しかし、障害者の皆さんも立ち上がりましたし、ノーマライゼーションという国際的な動きもありました。そういう中で歴史はどんどん進んでまいりまして、いわゆる「施設から地域へ」、まさしくノーマライゼーションということになってきたと思います。

その中において、障害があってもなくても「働く」ということが非常に大事だと私は思っています。働くことによって自立しますし、生計が成り立ち、人格が高まり、社会に参加ができます。健常者も当然、働くことが大事ですけれども、障害者の場合もそうだろうと思いますので、その環境整備をほんとうに今からやっていくことが大事ではないかと思っております。

厚生労働省も「措置」から「支援費」ということで非常に大きく転換をしてきています。そういう状況の中で、今後の障害保健福祉施策について改革のグランドデザインというものを発表しました。従来の単なる授産施設だけではなく、訓練や地域で暮らしていくためのさまざまな条件整備といったものが示されています。就労も大事ですし、また、身体障害者、知的障害者、精神障害者の施策を一元化したグランドデザインを実現し、地域での取り組みを支えていかなくてはならないと思います。

私は今後も一人の政治家として、ライフワークとしてこの問題をしっかりと受け止め、皆さんと一緒に努力していきたいと思っておりますので、これからもよろしくお願いいたします。