パネルディスカッション
ジョブカフェ—若者の就職を支援するために—

開催日:平成16年9月17日

※無断転載を禁止します(文責:事務局)

配布資料

【小杉】  それでは、パネルディスカッションに入りたいと思います。

きょう会場にお集まりいただいている方は、ほとんどが実際に若年就業支援にかかわっていらっしゃる方々だと思います。どこのジョブカフェもまだ始まったばかりです。今まで幾つか訪問させていただきましたが、どこも手探り状態という感じを受けました。現在、ジョブカフェに通っている若者や、まだ来所していない若者たちに、どのように対応していくのか、さまざまな工夫が重ねられているところだと思います。今回のこのパネルでは、皆さんと同じように手探りをしながら、実践されているお話を伺い、その後でお互いに自己評価し合いながら、より良い方法を一緒に考えていく、そういうパネルにしたいと思います。

それでは、最初に厚生労働省の伊藤さんから、ジョブカフェの狙い、事業概要について、お話をお願いいたします。

ジョブカフェのねらい

配布資料(PDF:310KB)

【伊藤】  厚生労働省職業安定局若年者雇用対策室長の伊藤です。

若年者雇用対策室は、本日のパネルのメインテーマであるジョブカフェを含めた若年者雇用対策を専管する組織として、 2004 年4月に新設された室でありまして、皆さんにはいろいろとお世話になっております。本日ご参加の皆様で、ジョブカフェの運営に従事されている方などは、既に事情をご存じの方が多いのですが、議論の前提ということで、私からジョブカフェの基本的な考え方、政策立案のバックグラウンド等について簡単に触れさせていただきたいと思います。

ジョブカフェ、正式には若者のためのワンストップサービスセンターという言い方になりますが、昨年の6月に厚生労働大臣をはじめとする関係4大臣により、若年者雇用対策の政府方針として「若者自立・挑戦プラン」が取りまとめられ、このプランに盛り込まれた中心的な施策がジョブカフェであります。ジョブカフェの狙いとするところは、若年失業、フリーター、あるいは若年無業という問題が、本人のキャリア形成のあり方のみならず、社会経済活動の観点からも非常に重大な問題であるという問題意識の上で、国、地方公共団体、また関係する民間機関が、それぞれの立場で、利用し得る事業資源を統合するとともに、これを利用する若者(=顧客)の目線に立ち、一つの場所でワンストップ型で提供していこうという発想により、新たに生まれた窓口ということが言えようかと思います。

言いかえると、この事業の目的は、一つには、その存在自体が、働くことについてのさまざまな悩みや問題を抱える若者に対し安心感を与えること。あそこに行けば、自分の面倒をみてくれている、あるいは同じ悩みを抱える若者がいるという感覚を持てる場を提供すること。もう一つは、来られる方は多様な悩みや課題を当然抱えているわけですが、一つの場所において、スピード感を持って、働こうと思ったその動機づけのタイミングを逃さずに、必要なサービスと支援を的確・迅速に提供していくこと。または、必要に応じて支援を繰り返し提供していくことです。「就職活動のベースキャンプ」、もしかしたらそんな言い方もできるかもしれません。そうした役割を担うことが期待されて出発した事業と言えます。

事業のスキームも、ご存知のとおり、設置主体は都道府県です。都道府県が地域の課題に応じてコンセプトを明確にして立案し、具体的には場所や人的措置も確保した上で、厚生労働省、経済産業省など関係省庁がサポートしていきます。配布資料1ページの「若年者のためのワンストップサービスセンターの整備」(PDF:1.9MB)というスキーム図に書かれておりますが、厚生労働省からは、最終出口に当たる職業紹介のためのハローワークの併設や若年者地域連携事業の委託を、また経済産業省からは産業人材育成事業(15のモデル地域に限定しておりますが)の委託を行い都道府県が中心となって、これらを含む資源を活用しながら事業を展開しています。

厚生労働省と経済産業省の役割について尋ねられることがよくあります。経済産業省は、地域の産業政策の方向性、目的に沿った形で、地域の産業界が求める人材を育成していく。そのためのカリキュラム開発、研修等の事業を主に取り組んでおられます。それに対して、厚生労働省は、若者自身に着目し、それぞれの課題に応じて、若者を就職に結びつけるための(スキーム図の下にあるような)さまざまな個別支援メニューを提供していく。ただ、支援メニューについては、基本的には各地域の課題判断に応じて選択していただきます。地域の独自性という点も、この事業の大きな特徴ではないのかと思います。

いずれにしても、労働行政の事業の中でも例がないぐらい、いわば登場人物の多い事業でありまして、皆様も日頃から感じておられるかもしれませんが、ある面では、担当者の立場からすると調整の煩わしさとか、場合によっては責任の所在の不明確さとか、そういった問題を起こしかねない要素もありますものの、後ほどもいろいろ触れたいと思っていますが、多くの機関が関与することによって、より大きなパワーが発揮されることが、当然、期待されるところであります。

今年の4月までに、今年度開設が予定されていた43都道府県でジョブカフェが立ち上がっており、ブランチも含めた設置箇所数としては62カ所です。43都道府県のうち35の都道府県ではハローワークが併設されています。また、ヤングジョブスポットなど、ハローワーク以外の関係機関が併設あるいは連携という形で設けられているケースも多々あります。私も、またそれほど多くの個々のジョブカフェを訪問しているわけではありませんので、本日、パネリストの方から生のお話を聞けることを大変楽しみにしております。全国的な業務取り扱い状況等については、また後ほど触れさせていただければと思います。

【小杉】  どうもありがとうございました。

それでは、パネリストのお三方にお話を伺いたいと思います。最初に、それぞれの組織の概要と、自己紹介を含めて、お一人ずつ順番にお願いいたします。

まず、埼玉県のジョブカフェである「ヤングキャリアセンター」のセンター長の長倉さんにお願いいたします。

報告 (1) :ヤングキャリアセンター(埼玉県)

配布資料(PDF:718KB)

【長倉】  今まで労働行政に携わる経験があまりなかったのですが、このたび、ジョブカフェ設立にあたりましてセンター長を任命され、日々勉強しているところであります。若い方に接していると、就職が決まったとニコニコしながら報告にくる方もいるので、毎日、非常に楽しみにしながら過ごしております。

それでは、簡単に埼玉の状況を説明させていただきます。まず埼玉県は首都圏にありますので、若者の失業者数が多く、数では全国で4番目、失業率でも全国で10番目です。こうした状況をどうにか改善したいということで、5月6日に県がジョブカフェを設置したところです。場所は、埼玉県の第一の商業都市であり交通の要所にもなっている大宮です。大宮駅周辺はとくに若者が集まる場所ですので、徒歩3~4分にある民間のビルの中に開設しました。スペース的には 230 平米と狭い施設ですが、ハローワークも併設され、職業相談、セミナー開催、職業紹介までワンストップサービスを提供しております。

利用状況については、5月6日に設置してから4ヶ月ほど経過しておりますが、8月までの利用者は、(配布資料にもあるとおり)累計で 7,549 人、9月15日時点では 8,613 人まで増えております。1日平均の利用者は、7月までは 100 人程度でしたが、8月が 80 人と落ち込み、平均して 91 人となっております。

利用者 1360 人を対象に実施したアンケートによりますと、年齢は 20 代前半が 52 %、 20 代全体では8割を占め、残りの2割が 30 代、 10 代の順となっており、男女比は6:4で男性の方が多くなっています。

現在の状況について尋ねたところ(図3(PDF:718KB)参照)、 27 %が現役の学生(大学生や短大、高校を含む)、2割が大学卒業後に就職できなかった人、パートやアルバイトなどフリーターが 17 %、一旦就職したものの早期に離職した人が 13 ~ 14 %、そして現役の社会人で転職を考えている人と、大体5つくらいの分類になります。

居住地については、やはり、さいたま市がある中央地域が 46 %と一番多く、残りは県内の他地域と、県外の来所者( 5 %)が含まれます。

当施設のスタッフは、県職員が4名、ハローワークに5名、それから雇用能力開発機構から相談員の方が4名、民間のカウンセラーもおりますので、総勢17名で、相談業務をはじめ様々な事業を運営しております。

【小杉】  どうもありがとうございました。1日92人とは、かなり多いですね。

【長倉】  そうですね。時間帯とか曜日等により若干の違いはありますが、今のところ、特にお待ちいただくような状況ではなく、運営面に関してはうまく回っていると思います。

報告 (2) :ヤングジョブスポット新潟

配布資料(PDF:310KB)

【小杉】  続きまして、新潟県のジョブカフェ「若者しごと館」に併設されているヤングジョブスポット(YJS)のご担当者、上野さんにお話を伺います。

【上野】  新潟から参りました上野です。よろしくお願いいたします。

私はジョブカフェの担当ではなく、雇用能力開発機構が運営しているヤングジョブスポットのチーフマネージャーを務めております。ヤングジョブスポットは、大都市圏を中心に、現在、全国で 16 カ所に設置されています。新潟市は人口 52 万人弱で大都市ではありませんが、新潟県が唯一、日本海側に位置していることと、若年者の失業率が非常に高いということから、ヤングジョブスポットとジョブカフェおよびハローワークが同じ場所、同じフロアで一体となり運営している点が一つの特徴だと思っています。

当施設の場所は、新潟駅から徒歩5分程度、繁華街の中央、新潟市でも非常に賑やかな繁華街である「万代」と新潟駅の中間に位置しております。新潟県は全国で一番専門学校の数が多いと言われておりますが、この一帯は専門学校が集中しており、学生が頻繁に通るという非常に立地条件の良い場所です。

当施設は、9階建てのビルにありますが、1階がハローワークの求職部門、2階がハローワークの学卒部門・ヤングジョブスポット・ジョブカフェの3つの施設が入っております。入口を入ったところに、ハローワークとヤングジョブスポットの2つの受付が向かい合っており、目的を持って来る人はだいたいハローワークの方に入っていき、入口で立ち止まり悩んでいるような方はヤングジョブスポットに入ってくることが多いです。若者しごと館のスタッフとしては、事務局をしているジョブカフェ5名、ハローワーク若年者就職支援コーナー10名、ヤングジョブスポット4名の計19名です。ジョブカフェは県が「新潟県雇用環境整備財団」に業務委託しており、新潟県が縦に長いこともあり、新潟市に事務局、長岡市・上越市にそれぞれサテライトを設置しています。当ヤングジョブスポットの特徴的なところは、業務運営を NPO 法人に委託している点です。現在 NPO 法人からアテンダント7名を招いており、毎日順番に3名を配置しています。

【小杉】  どうもありがとうございます。アテンダントというのは、若い人なんですか?

【上野】  50代の会社社長や30代の独立創業しておられる方が多いのですが、若いフリーターの方もいます。

【小杉】  では、いろいろな年齢層の方がいらっしゃるのですか?

【上野】  今、若いアテンダントでは、俳優の卵のような方もおりまして、いろいろな方面から人材が集まり、非常にありがたいと思っています。

【小杉】  ありがとうございました。それでは、最後に、福岡県のジョブカフェ「若年者しごとサポートセンター」のセンター長を務めておられる川口さんからお願いいたします。

報告 (3) :若年者しごとサポートセンター(福岡県)

配布資料(PDF:58KB)

【川口】  福岡県若年者しごとサポートセンターの川口です。よろしくお願いします。

当センターの設置の狙いは、他のジョブカフェと大体同じところですが、特徴的な点は、配布資料(PDF:58KB) に書かれているとおり、「アジアの産業経済拠点福岡を支える若手産業人材の育成」ということを狙いの一つに加えていることです。伊藤室長が言及された、経済産業省からモデル事業の指定を受けている関係で、こうした若手人材の育成を狙いとしております。

利用状況は、現在、1日平均 70 名程度となっております。本県においてもオープン当初は1日 100 名を超える状況でしたが、埼玉県のジョブカフェと同様、夏休みに入り8月の利用者がかなり減ったことで、数字が落ち込んでいます。利用者の属性については(配布資料にもありますが)、当初の予想より学生( 18 %)が若干少ないかと感じております。

主な事業内容については、何といってもキャリアコンサルティングが一番主な仕事であります。それに加え、3日間の就職サポートセミナーを実施しておりますが、かなり好評を得ています。

先ほどの若手人材の育成について、私どもの目標として、8つの分野( IT ビジネス、 LSI 、マルチメディア、コミュニケーション産業、新生活産業、自動車産業、地場産業、アジアビジネス)で1万人の若手人材をキャリアアップすることを掲げており、現在、各々のプログラムを立ち上げる準備をしております。

【小杉】  ありがとうございます。設置された天神という地域は、若者がたくさん集まるような繁華街なのですか?

【川口】  そうです。博多で一番の繁華街で、非常に人が集まりやすい場所であると同時に、ハローワークの学生職業センターが既にあり、そこと同じフロアに入所することができましたので、若い方に馴染みのある場所という点がメリットだと考えています。

全国の状況

【小杉】  これまで三県の報告をお聞きになって、伊藤さんはどのように感じられましたか?

【伊藤】  今のお三方の話もそうですし、また、設置主体である都道府県の知事、副知事、部長などいろいろな方と日頃から話をさせていただくなかでも感じることは、若者の育成や地元定着は地域の死活問題であるということです。各地域の指導者の方々は、それこそ必死の思いで、非常に短い準備期間にもかかわらず今年度の早い時期にジョブカフェを立ち上げてこられました。私は地方紙にもよく目を通していますが、ジョブカフェの取り上げ方は非常に大きく、地域住民の方の期待も大きいだろうと感じております。

それから、3人のパネリストのお話を伺って、共通的な政策目的に加え、各地域独自の目標が設定されていると思います。例えば、先ほどの川口さんからお話があった、福岡におけるアジアの経済拠点を支える人材育成という目的と、それに伴って具体的な事業プランにも結びついています。そうした整合的な考え方のもとで、それぞれの事業内容が工夫されていると思いました。

それから、パネリスト三県に共通な特徴としては、それぞれの都市の一等地、若者にとって一番利用しやすい立地条件にジョブカフェの設置場所が決められています。そのことも、ジョブカフェの利用状況の活性化に繋がっていくのかと思っているところです。

次に、厚生労働省では、今年度の第1四半期、6月末までに開設した31府県について、5月や6月に開設されたところもあり、平均の稼働期間でいうと1カ月半ぐらいになりますが、利用者数や就職件数など基本的なデータだけをご紹介させていただきます。

全国計で申し上げますと、利用者数が11万4 , 000人、それから就職件数、これはおそらく、併設ハローワークの斡旋による就職件数がほとんどではないかと思われますが、3 , 200名となっています。

それから、1センター当たりの、1日平均の利用者数は70名ぐらいです。先ほどのパネリストのお話は、もう少し最近の数字までご紹介されたので単純に比較できないかもしれませんが、利用者が比較的多い都道府県では、1日平均140~150名以上というところが幾つかあります。例えば、北海道、神奈川、京都、兵庫、広島のようなところは140~150名かそれを少し上回る程度、一方、開設して日が浅いところは1日平均20~30名と、ばらつきがあるので、平均70名ぐらいになっています。

因みに、本年度の目標数を各ジョブカフェから報告していただいており、全国で足し上げると、利用者数は70万人強、就職者数は5万人強で、利用者数は、第1四半期は比較的良いペースではないかと思っています。就職者の数については、数が確定までに若干の時差が生じる傾向にありますので、もう少し状況を見てみないと、各県が掲げている目標どおりにいっているか、見極めが難しいかと思います。

取り組みの工夫 (1) 埼玉県

【小杉】  全国のとりまとめ状況を伊藤室長からご報告いただきましたが、それでは、各ジョブカフェにおいて、どのような問題を抱えている方が来所し、そのような方にどう対応し、また工夫しているのか、特に力を入れているものなどがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。また、会場の参加者から集めた質問のなかに、保護者・親との関係に問題を抱えた方や、引きこもりから脱したばかりのような方に対する対応やプログラムがあれば教えてほしい、というものがありました。それから、学校との連携についてもご質問が寄せられています。私もその点については、学校のキャリア教育が適切になされているか疑問を抱いており、学校との連携はなかなか上手くいっていないのではないかと思っています。以上のような質問を踏まえ、各ジョブカフェの現状をもう少し掘り下げてお話いただきたいと思います。埼玉県の長倉さんはいかがでしょうか?

【長倉】  先ほどの報告でも利用者数について簡単に触れましたが、さまざまな方が来ています。現役の学生さんから、卒業しても就職ができずに困っている方、フリーターの方、また、いったん就職したけれども辞めてしまった方、仕事はしているけれども転職したいという方。利用者から寄せられる要望等を見ると、すぐ職につきたい方ももちろんいますが、かなり少数です。一番多いのは、自分に合った職業が分からないという人たちです。カウンセリングの相談内容などを見ても、自分の進むべき方向性についての相談が大体31%で一番多い。それから、それ以前の問題、生き甲斐や職業観についての相談が10%近くあります。来ている方は、もちろん就職が最終目的ではありますが、その以前に、自分に合った職業を見つけたい、あるいは、働く意味について悩んでいる方が結構いるということが分かりました。

当ジョブカフェでは、そういう方に対し、情報提供から始めますが、特に重視しているのは相談業務です。前述のとおり、いろいろな方がこられます。職業観が固まっておらず何をしたらいいのか分らないという人が多く、私もたまに受付で案内することがありますが、すぐに仕事を見つけたいという方が来たので、「では、ハローワークに行きますか?」と申し上げると、行くと言うのですが、「どのような業種がいいでしょうか?あるいはどのような職種をご希望ですか?」と尋ねると、結構あやふやな場合が多い。それでは少しカウンセリングを受けてみたらどうかとか、適正診断を受けてみたらどうですかというように促すと、同意する方が結構多いのです。

ということで、私たちは、まず、受付の段階から相談が始まっていることを重視し、そのうえで、希望があれば一般的な職業訓練や資格の相談を紹介しています。また、メンタルな面も含めて、少し深刻な相談があるという場合は、専門のカウンセラーに紹介するなど、その方が抱えている問題に応じて紹介先を振り分け、案内しております。

セミナー等も実施しておりますが職業観が定まっていない方が多いので、就職のための心構えとか、自己理解、職業理解というテーマのセミナーが一番人気が高いようです。あとは面接の受け方という基本的ですが具体的な面を重視したセミナーも開いております。

埼玉では、県知事を筆頭に、経済界や学校関係の方にも集まっていただき、運営協議会を設けており、その関係で高校生への説明会や大学生を対象としたインターンシップもやっております。

特徴的なものとして、 埼玉県では昨年度、初めてビジネス・インターンシップを実施しましたが、今年は回数を年4回に拡充して既に2回実施しております。このインターンシップは、企業で2週間程度、実際の仕事を経験するもので、その後、双方の合意が成立すれば就職という形に結びつきます。現在、2回目のインターンシップを実施している最中で、既に終わった1回目のインターンシップでは、就職が内定したケースも出ております。

それから、もう一つ「ジョブクラブ」というのがあります(資料参照)。2カ月間のプログラムで、個別のカウンセリングから始まり、2日間の基本的なセミナー等、その後、グループワークによる面接のロールプレイングや情報交換等も含め、いろいろな形でグループワークを通じて就職に結びつけていこうという試みです。今年度は4回の予定で、1回目が既に終わって2回目を実施中です。 1 回20名限定で、人数は少ないのですが、個別カウンセリングや終わった後の報告会なども含め、2カ月間、みっちりとやってみようということで、今年度始めた事業です。既に1~2名就職された方もいます。人気も結構高く、定員の倍ほどの応募がありますが、こういうグループワークですので、20名限定・抽選という形で実施しております。

以上、私どもでは、職業観という就職への入口部分から、しっかりとした考え方を持っていただきたいと、日頃から心がけて事業を展開しているところです。

【小杉】  ジョブクラブに2カ月も通うのは長い感じがいたしますが、例えば、フリーターのように働いている方だと、2カ月もかかるということに抵抗などはないでしょうか?

【長倉】  もちろんそういう場合もあります。2カ月のプログラムで、途中、欠席する人も出てきます。グループワークは小グループに分けて行っているので、その時は(他の時も勿論そうですが)ぜひ出席いただき、その辺りは臨機応変に構えています。

【小杉】  毎日、朝から晩までというわけではないので、アルバイトをしながらも受けられるのですね?

【長倉】  そうです。通常、1日3時間程度、半日のプログラムですが、グループワークの場合は各グループの状況に応じた形をとっております。

取り組みの工夫 (2) 新潟県

【小杉】  次に新潟の上野さんから、特にヤングジョブスポット(YJS)の活動を中心にお話いただきます。

【上野】  私どもは、先ほどもお話ししたように、3つの施設(ハローワーク、ジョブカフェ、ヤングジョブスポット)が一つのフロアに入っているので、文字通り、ワンストップサービスを題目に上げ、それぞれの役割を発揮していこうと取り組んでおります。前述したように、入口で立ち止まっている人への対応は、ハローワークとの連携も非常にうまくいっており、例えばハローワークの窓口に直接来られたフリーターの方でも、的確な職業観を持っていない場合は、窓口の方がYJSに誘導しています。

現在、3つの施設が別々にセミナーを開いていますが、共通する部分は乗り合いしていこうという話がちょうど今、持ち上がっており、その準備会を開いているところです。そのうちヤングジョブスポットで実施している9月のセミナーは(配布資料(PDF:310KB)参照)、一見、職業にあまり結びつかないと思われるかもしれませんが、職業意識をあまり持っていない方に対して、どのように就業意欲を持ってもらうかという点を念頭に置いて、自分の気持ちの整理から始めることを重点的にやっています。「フォーラム」というプログラムは、現役で働いている人から1時間半くらい話を聞き、さまざまな職業観を培うことに役立てています。また、「ふれあい事業」という名前の職場見学プログラムも取り入れています。「ジョブクラブ」というものは、アテンダントの特性を生かした経験をもとに、参加者が自由に討論するというものです。その中から、自分の長所や弱点を再発見したり、あるいは思っていたことの胸の内を話してガス抜きをするとか、非常にフリースタイルで運営しています。

じつは、この中で一番難しいのが「ふれあい事業」です。新潟は日本海側で一番大きい都市でありますが、交通の便が良くないということもあり、現地集合・現地解散が出来ないという悩みがあります。車で連れていってもせいぜい3人まで、市内だとバスも利用できますが、こうしたプログラムに参加する方は金銭的な余裕のない方も少なくなく、若者しごと館に来所するためのバス代にも困る方もいます。ですから、そのような方を引っ張り出すということに、現在、悩んでいるところであります。

ヤングジョブスポットは昨年7月に発足し、今年5月までは新潟駅の南側にある新潟センターに併設しておりました。新潟では意外と名の知れたビルだったのですが、事務所ビルなので看板も出せず、入所していた3階まで足を運ぶ人がなかなか増えませんでした。当スポットは登録制をとっているのですが、今年4月まで300名ほどの登録があったところ、5月に現在のビルに移ってからは、月に100名ぐらいのペースで登録者が増え、現在800名強に達しています。ただ、会員には毎月3,4枚のチラシをダイレクトメールで送ったりして、これ以上会員が増えると、それはそれで経費も増えていきますから、追跡調査をして就職したので退会するということであれば会員リストから外すといった作業をしています。それでも、毎月 100 名ほどの新規登録があるという現状です。

【小杉】  新潟の場合は、ジョブカフェの中にハローワークとヤングジョブスポットが併設されて、その間の連携がうまく図られているかと思いますが、例えば、最初にヤングジョブスポットに誘導された方でも、途中で就職に対する方向性が次第にはっきりしてきた段階になれば、ハローワークに引き継いでもらう、というケースも出てくるかと思われますが、その辺りの引継ぎはどのようにされているのですか?

【上野】  キャリアコンサルティングを行った上でハローワークに行く方も結構いますし、ヤングジョブスポットとハローワークを並行して、例えばYJSに来てから求人票の検索に行こうかなとか、検索してからYJSに来て、もう一度確認してみようかなといったケースがあるようです。いずれにしても、お互いに受付が向かい合っていますので、ハローワークから「職業適正検査をやってください」とか、こちらからハローワークに「この方をお願いします」といって声を掛け合っているケースが結構多いです。

【小杉】  特定のケースの状況について、双方が話し合うようなことはあるのですか?

【上野】  未だそうしたケースは出ていません。これから連絡会議も緊密に持とうという話になっていますので、今後、増えると思います。

取り組みの工夫 (3) 福岡県

【小杉】  お待たせしました。それでは、最後に、福岡の川口さんからお願いいたします。

【川口】  当センターの利用者は非常にいろいろな人がいますが、あえて一言で申し上げると、一番多いのは就労意欲はけっこう高いけれど何をしたらいいかわからない、どういう仕事を探したらいいかわからないというタイプです。なおかつ、そういう方は、適性検査やアドバイスを受けて自分に向いている仕事を簡単に見つけられることを期待して、センターに来られる方が多いようです。それに対して、我々は、あくまで自分で考えてもらうことが基本だというスタンスをとっており、コンサルタントがそうしたアドバイスをし、ある意味、悪戦苦闘して取り組んでおります。

したがいまして、1回のコンサルティングでうまくいくケースは殆どなく、4回、5回と足を運んでもらい、じっくりコンサルティングを続ける中で、自分の興味・関心分野をだんだんと見つけていくということになります。コンサルティングを続けるうちに、自分自身を掘り下げていくことができる若者も結構いるのですが、中には、そういうやり方に馴染めず上手くいかない、どこまでも他力本願のような状態が続く若者も多いわけで、その点、現場のコンサルタントが一番苦労しています。でも、そういう若者に対しても決してあきらめることなく、声をかけ続けています。中には、嫌になってセンターに来なくなる若者もいますが、来なくなってしまった方に対しても、電話やメールをして何とか来てもらうよう、粘り強く呼びかけることを基本線として考えております。

親との関係や引きこもりについては、今のところあまりないのですが、学校との関係については課題がありまして、後ほどお話しさせていただきたいと思います。

【小杉】  ありがとうございました。来なくなった人への電話やメールでの連絡は、個別に担当制をとっているのですか?

【川口】  ええ、そうです。基本的には担当制をとっており、1人のコンサルタントがずっと面倒を見ております。ただ、やはり人間ですので相性があって、なかなかうまく進んでいないときには、場合によってコンサルタントを変えることもあります。チーフコンサルタントという、何人かのグループリーダー的なコンサルタントの方がいまして、その方が、それぞれのコンサルタントの状況を、相談記録を見たりして、なかなかうまくいっていないと判断すれば担当を変えることもあるようです。しかし、信頼関係をつくることがまずは一番重要なことですので、基本的には一人の方が継続的に面倒を見ております。とくに信頼関係をつくる上で、初めの段階はとにかく相手の話を聞くということに徹しているそうです。

【小杉】  一人の担当者が決まった後、少なくとも4~5回は来てもらう、来なければ電話やメールで追いかけるというお話ですが、一人のケースをだいたい何カ月ぐらいまで追いかけているのですか?その人が就職するまでですか?

【川口】  それはその人の日程にもよりますから、4~5回といっても何日おきに来るかで期間も違ってきます。数日おきに通ってくる人だと4~5回でも2週間ぐらいということもありますが、週に1回しか来られない人は1カ月以上かかります。人によっては4~5回で済まなくて10回以上来てもらうような方もいるのが、今の状況です。まだオープンして2カ月しか経っておりませんので、どのぐらい長期にわたってやるかについては、試行錯誤の段階です。

コメント:当面の課題――体制面、業務面で

【伊藤】  非常に実践的な話を聞かせていただきました。やはり、これまでハローワークを利用していた若者層とは少し違う層、あるいは異なる課題を抱えている層が確実にジョブカフェを訪れ、そこで支援を受けているのだと、強く実感しました。

それから、せっかくの機会ですので、ジョブカフェご担当者とは少し違う視点で何点かお話しさせていただきたいと思います。

一つは、このジョブカフェの体制のあり方についてです。

今、お話がありましたように、相当きめ細かい対応が必要とされる業務ですので、当然、業務量や質的な課題に応じた最小限の職員配置が、まず必要になってきます。今の実態でいうと、併設ハローワークの正規職員、相談員等を含めての職員配置数が5名強ぐらいですね。それから、県の職員等の配置が、平均3名ぐらいです。それから、運営受託団体や併設されている機関、例えばヤングジョブスポットといった機関の職員や相談員の方が11名ぐらい。ですから、合計20名ぐらいの規模で業務運営しているのが、今のジョブカフェの標準的な姿ということになります。

来所される方はさまざまな課題を抱えていること、それから、そもそものワンストップサービスセンターに期待される役割を考えると、カウンセリングに強い人、イベントの企画に強い人等々、できるだけ多様なバックグラウンドとか専門性を持ったスタッフが運営に当たることが非常に重要ではないかと思っています。しかし、一つのことだけできればいいというわけでなく、一番ベースにあるカウンセリング能力がまだ不足しているのが現状だと思います。元来そういう専門ではない人々を対象に、それぞれのジョブカフェの立場で研修等を通じてどうやって底上げを図っていくのか、あるいはジョブカフェだけで解決し切れない部分について、厚生労働省や労働政策研究・研修機構のような組織がどのようなバックアップができるのか、この辺りが今後の課題ではないかと、日頃から、また今の話をお聞きしても感じたところであります。

それから、責任体制について、県から現職出向されている方が責任者のケースや、受託団体の民間出身の方が責任者のケース、などバリエーションが幾つもあり、各ジョブカフェのコンセプトの問題かと思いますが、登場人物の多い事業ですから、事業運営の基本的な方針について、関係機関同士、組織同士で意思決定する枠組みをきちんとつくること ~ さきほど上野さんが言及された協議会がそれに相当するかと思いますが ~ が重要だと思います。他方、責任者同士が集まらなければ一歩も前に進まないのでは実践的な窓口にならないので、窓口に常勤するスタッフに一定の裁量を与え、その裁量の範囲を明確化すること、それから、関係機関の役割分担や連携の方法について、いかに現実的なルール設定をし、かつ、皆がそのルールの下で業務に当たることができるかということが、今後のサービス向上に当たっての一つのポイントかと考えます。

また、業務面についてお話しさせていただきますと、それぞれのジョブカフェが重点を置く対象者が随分違うという印象を受けました。一例を申し上げますと、高卒の就職環境は地域格差が拡大しています。こうした中で、地方の県では高卒支援に重点を置いているところが多く、都市部の場合はフリーター等に重点を置いているケースが多いなど、差異が認められます。それから、もう少し実質的な課題に応じた事業計画や目標設定について見ると、例えば、就職の意欲が不十分な人に重点を置こうとか、意欲はあるけれど方向性が不明確な人へのオリエンテーションに重点を置こうという、大きくはその2つのタイプがあるかと思います。が、そうした対象層ごとの課題にどのような手法を用いることが最も効果的なのか、おそらく今、各ジョブカフェとも手探りの状態なのではないかと思います。手法についても、さきほどのご報告にもあったように、一対一の個別の支援手法もあれば、一人×多数の集団的な手法もある。それから、ジョブクラブのように、参加者である若者の相互作用を期待したような手法もあります。我々も、正直、今の時点でどの手法がどの課題に対して一番有効なのかということは断言できません。それほどの情報は持ちあわせていない状況です。今後は、課題に応じた手法ごとの実績と効果、特に効果が上がっている手法をどうやって全国に発信していくのかという問題が、ジョブカフェと厚生労働省にとって、2年目以降に向けた大きな課題だろうと思います。

全般的に言えることは、多様なメニューを用意して、どのような方に対してもしっかりと総合案内をすること、それから、公的な窓口の利用に逡巡を感じている層が多いと思われるので、最初の支援サービスを、敷居の低い形で気軽に利用できるよう設定することが大切だと思います。

課題と対策 (1) 埼玉県

【小杉】 次は、それぞれの地域で感じておられる課題について率直にお話いただきたいと思います。そしてその課題をどのように解決していこうとしているのか、その方向性が出ていれば是非その点について、今後の計画まで含めてお話いただきたいと思います。

【長倉】  非常に短い準備期間を経て5月にオープンしたので、現在も走りながら修正して運営しているような状況です。当センターは、ハローワーク、雇用能力開発機構、民間のカウンセラー、県の職員など、いろいろな人が集まっておりますが、オープン前に全スタッフが集まって打ち合わせしたのが、実は1日、1回限りです。そんな状況でスタートいたしまして、とにかくスタートだけは早く切ろうということで始めたので、いろいろな課題が出てきております。それぞれ個別に改善しているものの、十分ではありません。例えば、アンケートで一番多いのが、業界セミナーなどの希望です。セミナー自体は開いているのですが、こうしたイベントは手薄でしたので、今後強化しようと着手しております。また、カウンセリングのアフターケアについては、日々のカウンセリングや業務に追われ、その余裕がなかなか取れない状況です。新潟のヤングジョブスポットは会員登録制ということですが、私どもでも、来月から会員制を取り入れ、フォローアップに役立てようと準備しております。

埼玉県は広く 700 万人の県民がおりますが、その中でジョブカフェの施設は1カ所だけです。サテライト施設に対する要望が非常に多いのですが、予算の関係上、今のところ実現の可能性はありません。ということで、今後は、こちらから市町村等に出かけてセミナーを開くとか、常設はできないまでも相談窓口をどうにか設けられないかなど、個人的には考えております。実際、出前セミナーについて市町村にアンケートをとったところ、17市町村から希望があり、今年度は予算上10カ所ぐらいでしか開くことができないのですが、そうした対応策も立てております。

また、引きこもりの話が挙がりましたが、カウンセラーの話を聞きますと、今一番問題なのが、長期にわたって就職困難に陥っている人、過去に引きこもりを経験した人とか、極端な話では精神的なケアが必要な人、長期にわたって就職できずに自信を喪失している人、自己肯定感が欠如している人とか、社会経験が殆どなくコミュニケーション能力にも欠けている、いわゆる社会的な能力すら欠けている人が結構いるということで、こうした人に対するケアをどうしたらよいか、非常に問題になっています。カウンセラーから、どうしたらよいか逆に相談を受けるのですが、まだ出口は見えていません。今のところは、そういう人についても、アドバイスまでできなくても、まずは話を聞くことから始めてほしいとお願いしているところです。この問題は、今後も非常に大きな課題の一つだと思います。

ところで、学校が若者にとって拠り所になっているという話をよく耳にします。在学中は何か困ったことがあると、最終的には学校があるわけですが、いったん卒業してしまうと、そういうところがない。卒業すると、就職活動は個人でやっている場合がほとんどですから、孤立していくケースが非常に多い。ということで、そうした人の話し相手というか、拠り所として、ジョブカフェのような施設が必要になっている、存在意義があるのかと感じております。ただ、実際にジョブカフェまで足を運ぶ人はごく一部です。来ている方が第一歩を踏み出した方であり、来ていない方が背後に大勢いるわけです。そうした方へのアプローチをどうしていくのか、インターネットを利用したりPR活動を通じて広報するとか、新たな課題だと感じております。

課題と対策 (2) 新潟県

【上野】  まずジョブカフェとして、重点的に取り組んでいくものについて 3点ほどご紹介させていただきます。1点目はフリーターに対する利用促進です。定期的なセミナーの開催だとか、メルマガ、あるいは携帯への情報提供、このようなものを考えています。2点目は、セミナーの集客力の向上を図りたいということです。これについては、早期の周知、あるいは周知方法の検討、学校との連携、この辺りが重要だろうと思われます。そして、3点目の相談力の強化について、キャリアカウンセリングの能力向上もありますし、適正診断ツールの結果を活用した相談、予約相談、出張相談などの実施を考えております。

一方、ヤングジョブスポットとしても同じようなことが言えるわけですが、何といっても周知がまだ徹底していないと感じております。私どものパンフレットを、若者が集まるだろうという場所、例えばコンビニエンスストアや献血ルームなどに出向き、頼んで置かせてもらってますが、それでもなかなか周知が進みません。新聞やテレビにも何度か取り上げられ放映などもされたのですが、直後の一時的な反響はあるのですが定着にまで至らない。ですので、もう少し視点を変えた広報のあり方を検討しなければならないと考えております。それから、これからはやはりホームページを充実させなければいけないと考えています。その中でも、メルマガによる情報発信は必要不可欠ではないかと思います。何はともあれ、まず存在を知ってもらい足を運んでもらわなければ始まりませんから、手間暇かけてでも改善していきたいと考えています。

YJSは開設して丸1年経ちましたが、例えば、イベントなどで同じものを繰り返し開いてみたり、新しいものを入れてみたりしていますが、どっと人が集まったので次回も同じものをやってみると3~4人しか集まらなかったなどバラツキがあり、データ分析するには至っておらず手探りの状況です。

課題と対策 (3) 福岡県

【川口】  私からは、ジョブカフェを多く利用されている方についての課題と、反対に、利用が少ない層に対する課題に分けてお話ししたいと思います。

今、多く利用されている方は、就職意欲は高いけれど、どのように仕事を探したらいいかわからないという層です。この層について、先ほど申し上げましたように、コンサルタントが非常に悪戦苦闘して相談を受けているわけです。ここの課題は、まさに相談力の向上、コンサルティングの精度を上げることが一番だと思っております。具体的には、コンサルタント同士で話し合い、その担当者に任せきりにしないで、お互いの相談事例を見比べながら、議論してもらう。今のところやっていることは、こうしたことを通じて精度を上げてもらうことぐらいですが、将来的には、この相談事例をある程度蓄積して類型化・体系化していけないかと個人的には考えております。ただ、これは私どものセンターだけでできる話ではありませんので、むしろ国への要望として、こういう事例の蓄積を国が取りまとめていただければ有り難いと思います。

それから2点目の、今あまり利用されていない層についてですが、1つは、そもそも就職意欲があまり高くない人です。この層につきましては、そもそもセンターに来ないか、あるいは、来ても1回ぐらいで嫌になって来なくなってしまう人が多い。それでも、1回でも来てもらえれば、先ほど申し上げたように、電話をかけたりして、こちらを信頼してもらえるように努力しています。そもそも全く来てくれていない人に対しては、先ほど来、皆さんがおっしゃっていたように広報活動しか手段がないわけです。広報活動については、開設時の広報活動が一段落してしまいましたので、この秋以降、もう一段、広報活動を打とうと思っているところです。

それからもう1点、当初の予想より学生の利用が少ないという問題があり、現在、高校や大学に当センターの職員が営業活動を行っております。幾つかの学校からは既に当センターに団体登録されたところもあり、それだけでは足りないと思い、この秋から特に大学へ直接出向いて、「出前コンサルティング」をやろうと計画しております。これは県の補正予算で組んでおり、9月議会がもうすぐ始まりますが、補正予予算成立後、直ちに出前コンサルティングに取り組んでいきたいと思っております。一つ残念なのは、学校側からこちらのサポートセンターへのアプローチがいま一つ少ないということです。我々のほうからは営業活動をかけているのですが、学校側から何か一緒にやりましょうと声がかからないのが残念でありまして、その辺りもPRの仕方などを考えていかなければいけないと思っています。

【小杉】  ありがとうございます。団体登録をすると、登録した人には何かメリットがあるのですか?

【川口】  通常、個人で会員登録してもらっていますが、それと同様に、いろいろな情報がメールなどで届きます。それを一人一人に会員登録の手続をとらなくても、学校単位で一括して登録できるということです。ただ、現実には、団体登録された会員の方がセンターに足を運んでいるかというと、その率はまだ低いというのが実情です。

GET Adobe Acrobat Reader新しいウィンドウ PDF形式のファイルをご覧になるためにはAdobe Acrobat Readerが必要です。バナーのリンク先から最新版をダウンロードしてご利用ください(無償)。