雇用延長の実態に関する調査

日本労働研究機構 発表
平成12年8月

雇用延長は労働側の提案が多数
2001年までに61歳まで雇用延長される見込みは24.8%
~雇用延長の実態に関する調査(労働に関するWEB企業調査)~

I.調査の概要

 本調査は、今春闘において雇用延長がテーマとなったことを踏まえ、企業における60歳以降の雇用延長についての今春闘の話合いの状況と、企業における雇用延長の実態を明らかにすることをねらいとして実施したものである。
 上場企業と店頭登録企業合わせて3343社に調査への協力をお願いし、そのうちの270社から協力をいただいた(回答企業構成は9ページの参考表を参照)。また、調査の実施期間は、平成12年6月29日~7月21日。
 なお、本調査は、WEB上に調査システムを構築し実施したものであり、インターネットの日本労働研究機構ホームページ上に調査票を設定し、回答をオンラインで提出していただいた。

II.調査結果の概要<骨子>

雇用延長の実態に関する調査(労働に関するWEB 企業調査)(PDF:43KB)

1.今春の雇用延長についての話合い状況について

(1) 雇用延長の話合いは、製造業、大企業中心
 今春、60歳以降の雇用延長について、労働組合または従業員代表との間での話し合いが行われた企業割合は37.4%。産業別では製造業で45.6%、特に、素材関連製造業で50.9%と高くなっている。一方、従業員規模別にみると、1000人以上の企業で58.8%、300人以上1000人未満で22.6%、300人未満で15.6%と、大企業中心に話合いが行われた(図1、1-1、1-2)。

(2)雇用延長の話合いは労働側の提案が多数
 話合いの提案が、労働側からなされたか、企業側からなされたかをみると、労働側(労働組合または従業員代表側)からとした割合が、82.2%と多数を占めている。また、労働側からとした割合を産業別、従業員規模別にみると、製造業で90.3%、1000人以上で84.3%と高くなっている。(図2、2-1、2-2)。

(3)話合いの主要テーマは、年金支給開始年齢へのリンク、希望者全員の雇用延長
 話合いのテーマは、支給開始年齢へのリンクが84.2%、希望者全員の雇用延長が79.0%、一方、雇用延長にあたっての組合員籍の保持については、37.1%にとどまった(図4)。

2.雇用延長の実態

(1)2001年までに61歳まで雇用延長される見込みは24.8%
 年金(老齢厚生年金の定額部分)の支給開始年齢は、2001年から3年ごとに1年づつ引き上げられるが、2001年に61歳まで雇用延長する企業割合は14.8%、延長の見込みまで加えると24.8%となる。(図5)。

(2)運用上の実態を加味すれば、希望者全員を雇用できる企業割合は43.4%
 雇用延長(定年延長で対処する場合を除く)の対象者については、希望者全員を対象とするものが26.3%、一方、希望者全員ではないものが56.6%ある。しかし、実際の運用の場面においては、制度上希望者全員でなくても、運用上、希望者のほとんどをカバーできるとしたものが、17.1%あり、運用上の実態を加味すれば、希望者全員を雇用できる企業割合は43.4%(図7)。

GET Adobe Acrobat Reader新しいウィンドウ PDF形式のファイルをご覧になるためにはAdobe Acrobat Readerが必要です。バナーのリンク先から最新版をダウンロードしてご利用ください(無償)。