情報化の進展及び今後の社会動向への企業の対応に関する実態調査報告書(要約版)

3 情報化に伴う職業能力開発方針の変化

(1)情報化適応教育の現状

a)情報化の進展に伴い従業員に新しく期待される能力

情報化の進展に伴い従業員に新しく期待されるようになった能力をみると、一般職では「端末を活用して情報を収集する能力」(82.8%)が最も多く、これに次いで「市販のアプリケーションなどを使いこなすプログラミング能力」(68.1%)、「業務が情報化しやすいように既存業務を見直したり再編する能力」(51.1%)などが挙げられている。

一方、中間管理職については、「収集した情報を分析する能力」(84.6%)、「業務が情報化しやすいように既存業務を見直したり再編したりする能力」(81.9%)、「迅速な判断力」(79.0%)といった指摘が多く、一般職とは異なる能力が期待されている。

図7 情報化の進展に伴い従業員に新しく期待される能力
図7 情報化の進展に伴い従業員に新しく期待される能力のグラフ

b)情報化教育の内容

従業員が情報化に適応していくために企業が行なっている教育の内容をみると、一般職については「自社独自の研修会を開催している」(50.9%)、「ソフトウエア会社が主催する説明会や研修プログラムに社員を派遣し、講習を受けている」(48.0%)が多く、「機器を導入したメーカーから講師を呼んで説明を受けている」(36.0%)、「社員個人の自主的な意志による活動を時間面、金銭面等で支援している」(25.8%)などが続いていた。

中間管理職についても概ね同様の内容の教育が行なわれているが、一般職に比べると実施率は低くなっている。

図8 情報化教育の内容(複数回答)
図8 情報化教育の内容(複数回答)のグラフ

c)情報化教育の障害

情報化に適応していくための教育を実践する場合の障害をみると、一般職については、「教育訓練にあてる時間がない」(32.8%)が最も多く、これに次ぎ「教育訓練に費用がかかりすぎる」(28.5%)、「教育訓練施設・設備がない」(28.1%)が挙げられた。

一方、中間管理職については、「教育訓練にあてる時間がない」(41.4%)が最も多く、これに次いで「教育訓練を行える人材がいない」(32.3%)、「実施すべき教育訓練の内容が確定できない」(29.2%)、「教育訓練に関するノウハウがない」(28.5%)の順であった。

職位の上昇に伴い、教育訓練を実施するための時間の確保とともに求められる能力に対応した効果的な情報化教育の実施が課題となっていることがうかがええる。

図9 情報化教育の障害(複数回答)
図9 情報化教育の障害(複数回答)のグラフ
図10 情報化教育の障害(複数回答)
図10 情報化教育の障害(複数回答)のグラフ