3年以内の離職率が高校卒は前年から0.5ポイント低下、大学卒は1.1ポイント低下
 ――厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(2022年3月卒業者)」

国内トピックス

厚生労働省が10月24日に公表した2022年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況によると、就職後3年以内の離職率は、高校卒が37.9%、大学卒が33.8%だった。高校卒は前年度から0.5ポイント、大学卒は1.1ポイント、それぞれ低下した。また、離職率が最も高い産業は、高校卒、大学卒ともに前年と変わらず「宿泊業、飲食サービス業」となり、高校卒が64.7%、大学卒が55.4%となった。

調査は、事業所からハローワークに対して、雇用保険の加入届が提出された新規被保険者資格取得者の生年月日、資格取得加入日、資格取得理由から学歴ごとに新規学卒者と推定される就職者数を算出し、さらにその離職日から離職者数・離職率を算出している。

中学卒では3.6ポイント上昇し、短大卒等では0.1ポイント低下

新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率をみると、中学卒が54.1%、高校卒が37.9%、短大等卒が44.5%、大学卒が33.8%となった。前年と比べると、中学卒では3.6ポイント上昇し、短大等卒では0.1ポイント、高校卒では0.5ポイント、大学卒では1.1ポイント、それぞれ低下している。

3年以内離職率の内訳をみると、中学卒は「1年目」に離職した割合が32.9%で、「2年目」が13.0%、「3年目」が8.1%と、1年目に離職する人が3割程度存在する。高校卒は、「1年目」が17.9%で、「2年目」が11.5%、「3年目」が8.5%。短大等卒は、「1年目」が19.3%で、「2年目」が13.7%、「3年目」が11.5%。大学卒は、「1年目」が12.1%で、「2年目」が11.9%、「3年目」が9.9%で、他の学歴に比べて「1年目」に離職する人の割合が少ない。

「5人未満」の事業所では高校卒・大学卒で6割程度

高校卒と大学卒の3年以内離職率について、事業所規模別にみると、高校卒では「5人未満」が63.2%(前年から0.7ポイント増)、「5~29人」が54.6%(同0.2ポイント増)、「30~99人」が45.2%(同0.1ポイント減)、「100~499人」が36.7%(同0.4ポイント減)、「500~999人」が29.9%(同1.6ポイント減)、「1,000人以上」が26.3%(同1.0ポイント減)となった。規模が小さくなるほど離職率が高く、「5人未満」の事業所に就職した人の3年以内の離職率は前年に引き続き6割を超えている(図表)。

図表:新規学卒就職者の事業所規模別にみた就職後3年以内離職率
画像:図表1

(公表資料から編集部で作成)

大学卒をみると、「5人未満」が57.5%(前年から1.6ポイント減)、「5~29人」では52.0%(同0.7ポイント減)、「30~99人」が41.9%(同0.5ポイント減)、「100~499人」が33.9%(同1.3ポイント減)、「500~999人」が31.5%(同1.4ポイント減)、「1,000人以上」が27.0%(同1.2ポイント減)となった。高校卒と同様に、規模が小さくなるほど離職率が高い。大学卒ではいずれの企業規模も、離職率が前年に比べ下がっている。

宿泊業、飲食サービス業が高卒・大学卒ともに最も高い

高校卒と大学卒の3年以内離職率について、産業別にみると、高校卒では「宿泊業、飲食サービス業」が64.7%(前回から0.4ポイント減)と最も高く、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」が61.5%(同0.5ポイント増)、「教育、学習支援業」が53.6%(同0.5ポイント増)、「医療、福祉」が49.2%(同0.1ポイント減)、「小売業」が48.3%(同0.3ポイント減)など。「宿泊業、飲食サービス業」が最も高く、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」が高い状況は前年から変わりがない。また、大きく変化があったのは、「砂利採取業、鉱業、採石業」(22.9%)で、前年から9.7ポイント減少した。

大学卒では「宿泊業、飲食サービス業」が55.4%(前回から1.2ポイント減)と最も高く、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」が54.7%(同1.0ポイント増)、「教育、学習支援業」が44.2%(同2.4ポイント減)、「医療、福祉」が40.8%(同0.7ポイント減)、「小売業」が40.4%(同1.5ポイント減)など。高校卒と同様、大学卒でも「宿泊業、飲食サービス業」が最も高く、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」が高い状況は前年から変わりがなかった。

(調査部)

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