「電気機器」「鉄鋼・非鉄金属」「化学」などが5%のアップ率
 ――経団連の「2025春季労使交渉・中小企業業種別回答状況」

2025春闘における賃上げ等の状況

経団連(筒井義信会長)は6月20日、2025春季労使交渉の中小企業業種別回答状況を発表した。「電気機器」「鉄鋼・非鉄金属」「化学」「紙・パルプ」「土木・建設」が、5%台のアップ率となっており、「電気機器」が5.98%で最も高くなっている。一方、「繊維」「窯業」のように2%台にとどまる業種や、アップ率が2024年を下回る業種もみられ、業種間のばらつきも目に付いた。調査は、原則として従業員数が500人未満の企業を対象に行った。

回答額は「電気機器」が1万7,377円、「鉄鋼・非鉄金属」が1万6,712円など

回答額(了承・妥結含む)とアップ率の加重平均を製造業からみていくと、「電気機器」が1万7,377円・5.98%、「鉄鋼・非鉄金属」が1万6,712円・5.79%、「化学」が1万5,637円・5.68%、「紙・パルプ」が1万4,025円・5.18%、「機械金属」が1万2,549円・4.64%、「食品」が1万753円・4.03%、「その他製造業」が9,089円・3.35%、「輸送用機器」が8,995円・3.32%、「印刷・出版」が9,993円・3.24%、「繊維」が6,686円・2.97%、「窯業」が6,872円・2.60%となっている(図表)。

図表:2025年春季労使交渉・中小企業業種別回答状況 アップ率上位10業種(加重平均)(単位:%)
画像:図表

(公表資料から編集部で作成)

アップ率は「電気機器」「鉄鋼・非鉄金属」「化学」「紙・パルプ」が5%台なのに対し、「繊維」「窯業」は2%台で、業種間のばらつきの大きさが目に付く。

2024年からのアップ率が最も大きいのは「化学」で1.48ポイント増

2024年と比べると、アップ率の上がり幅が最も大きいのは「化学」(1.48ポイント増)で、次いで「紙・パルプ」(1.13ポイント増)、「電気機器」(0.92ポイント増)、「印刷・出版」(0.76ポイント増)、「鉄鋼・非鉄金属」(0.73ポイント増)、「機械金属」(0.55ポイント増)などの順で大きい。

一方、2024年よりアップ率が低い業種もみられ、「食品」が1.99ポイント減、「輸送用機器」が0.77ポイント減、「繊維」が0.31ポイント減、「窯業」が0.26ポイント減となっている。

製造業平均(150社)は1万2,312円・4.51%で、2024年に比べアップ率は0.39ポイント上昇した。

非製造業では「土木・建設」「商業」「その他非製造業」などの順でアップ率が高い

非製造業についてみていくと、「土木・建設」が1万6,953円・5.56%、「商業」が1万2,073円・4.47%、「その他非製造業」が1万911円・4.01%、「金融」が9,842円・3.56%、「運輸・通信」が8,569円・3.41%、「ガス・電気」が9,106円・3.19%で、「土木・建設」のみ5%台となっている。

2024年と比べると、「金融」(2.2ポイント増)と「土木・建設」(1.34ポイント増)で大きな上昇となっている。

非製造業平均(101社)は1万1,119円・4.12%で、アップ率は2024年から0.59ポイント上昇した。

すべての業種を合計した総平均(251社)では、1万1,826円・4.35%となっており、アップ率は2024年から0.43ポイント上昇した。

(調査部)

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