実質賃金指数が3年連続で前年比マイナス
――厚生労働省「毎月勤労統計調査2024年分結果速報」
2025春闘を取り巻く情勢
厚生労働省が2月5日に発表した「毎月勤労統計調査2024年分結果速報」によると、現金給与総額(事業所規模5人以上)での実質賃金指数は、前年から0.2%の減少となり、3年連続での前年比マイナスとなった。ただ、現金給与総額(同規模)は前年比2.9%増の34万8,182円となり、33年ぶりの高い伸びとなった。
規模30人以上は2年ぶりにプラスに転じる
2020年平均を100とした実質賃金指数を、現金給与総額でみると、事業所規模5人以上では99.4となり、前年から0.2%減少した。一方、規模30人以上では99.0で、前年に比べ0.1%増加し、2年ぶりにプラスとなった(図表)。
図表:実質賃金指数の前年比の推移(現金給与総額)
(公表資料から編集部で作成)
現金給与総額は規模5人以上、30人以上ともに33年ぶりの高い伸び
名目賃金(1人平均)の状況をみていくと、就業形態計での現金給与総額は、規模30人以上では前年比3.3%増の39万7,949円で、冒頭で紹介した規模5人以上と同様に、33年ぶりの高い伸びとなった。
なお、現金給与総額とは、「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」の合計額であり、「きまって支給する給与」は労働協約、就業規則などによってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって支給される給与で、いわゆる基本給、家族手当、超過労働手当を含む。一方、「特別に支払われた給与」は、夏冬の賞与、期末手当などの一時金などのことをいう。
きまって支給する給与は前年比2.0%増の28万1,990円で、30年ぶりの高い伸びとなった。きまって支給する給与から、時間外手当などの所定外給与を差し引いた「所定内給与」は前年比2.1%増の26万2,347円で、こちらも30年ぶりの高い伸びとなっている。
パートタイム労働者の時間あたり給与も過去最高の伸び
一般労働者とパートタイム労働者に分けてみると、一般労働者の現金給与総額は前年比3.2%増の45万3,445円で、比較できる1994年以降で最も高い伸びとなっている。所定内給与も、前年比2.4%増の33万2,564円で、過去最高の伸びとなった。
一方、パートタイム労働者についてみると、時間あたり給与(所定内給与)は前年比4.3%増の1,344円で、統計を取り始めた2012年以降で最高の伸びとなっている。
(調査部)
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