3年以内離職率が高校卒で2年連続上昇、大学卒は3年連続
――厚生労働省が新規学卒者の離職状況(2021年3月卒業者)を公表
国内トピックス
厚生労働省が10月に発表した2021年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況によると、就職後3年以内の離職率は、高校卒が38.4%、大学卒が34.9%だった。高校卒は2年連続で上昇し、大学卒は3年連続で上昇した。離職率が最も高い産業は、高校卒、大学卒ともに「宿泊業、飲食サービス業」で、高校卒が65.1%、大学卒が56.6%となっている。
高校卒は前年から1.4ポイント上昇、大学卒は2.6ポイント上昇
他の学歴の就職後3年以内離職率は、中学卒が50.5%で、短大等卒が44.6%。
前年と比べると、高校卒は1.4ポイント上昇、大学卒は2.6ポイント上昇、中学卒は2.4ポイント低下で、短大等卒が2.0ポイント上昇だった。
3年以内離職率の内訳をみると、中学卒は「1年目」に離職した割合が31.4%で、「2年目」が11.1%、「3年目」が8.0%と、1年目に離職する人が3割以上を占める。高校卒は「1年目」16.7%、「2年目」12.2%、「3年目」9.4%で、1年目の割合が最も高い。短大等卒は「1年目」18.5%、「2年目」14.1%、「3年目」12.0%。大学卒は「1年目」12.3%、「2年目」12.3%、「3年目」10.3%で、他の学歴に比べ、1年目での離職が少ない状況となっている。
「5人未満」の事業所では高校卒・大学卒ともに約6割
高校卒と大学卒の3年以内離職率について、事業所規模別にみると、高校卒では「5人未満」が62.5%、「5~29人」が54.4%、「30~99人」が45.3%、「100~499人」が37.1%、「500~999人」が31.5%、「1,000人以上」が27.3%と、規模が小さくなるほど離職率が高くなっており、「5人未満」の事業所に就職した人の3年以内離職率は6割超に達している(図表)。
図表:新規学卒就職者の事業所規模別にみた就職後3年以内離職率
(公表資料から編集部で作成)
大学卒をみると、「5人未満」が59.1%、「5~29人」が52.7%、「30~99人」が42.4%、「100~499人」が35.2%、「500~999人」が32.9%、「1,000人以上」が28.2%で、こちらも規模が小さくなるほど離職率が高く、「5人未満」の事業所に就職した人の3年以内離職率は6割近くに及んでいる。
宿泊業、飲食サービス業が高校卒・大学卒ともに最も高い
高校卒と大学卒の3年以内離職率について、産業別にみていくと、高校卒については「宿泊業、飲食サービス業」が65.1%で最も高く、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」(61.0%)、「教育、学習支援業」(53.1%)、「医療、福祉」(49.3%)、「小売業」(48.6%)などの順で高い。「電気・ガス・熱供給・水道業」「金融業、保険業」「不動産業、物品賃貸業」「サービス業(他に分類されないもの)」を除くすべての産業で前年よりも離職率が上昇している。
大学卒をみると、高校卒と同じように「宿泊業、飲食サービス業」(56.6%)が最も高く、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」(53.7%)、「教育、学習支援業」(46.6%)、「小売業」(41.9%)、「医療、福祉」(41.5%)などの順で高くなっている。「鉱業、採石業、砂利採取業」を除くすべての産業で前年よりも離職率が高くなっている。
(調査部)
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