昨年の年間給与は460万円で3年続けて増加
――国税庁の2023年分「民間給与実態統計調査」結果報告
国内トピックス
国税庁が9月25日に公表した2023年分の「民間給与実態統計調査」の調査結果報告によると、給与所得者が2023年の1年間に得た平均給与は460万円で、前年から0.4%増加した。平均給与の増加は3年連続。男女別にみると、男性は前年比0.9%増の569万円で、女性は同0.7%増の316万円だった。
調査は、民間の事業所における給与の実態を明らかにし、税務行政運営等の基本資料にすることを目的に毎年実施しているもの。対象は民間の事業所で働く給与所得者で、従業員1人の小規模事業所から5,000人以上の事業所まで幅広く、役員報酬も対象としている。2023年分調査では1万9,412事業所から回答を得た。
給与所得者数は前年比1.7%増の6,068万人
調査結果をみると、2023年12月31日現在の給与所得者数は前年比1.7%増の6,068万人。2023年中に民間事業所が支払った給与総額も232兆9,072億円(同0.7%増)に伸びた。一方、源泉徴収された所得税額は12兆61億円(同0.3%減)の微減だった。
男女とも前年を上回るも伸び率は低下
給与所得者のうち、1年を通じて勤務した給与所得者(5,076万人)の2023年の1人あたりの平均給与は460万円(前年比0.4%増)。なお、ここでの給与には賞与も含まれる。男女別では、男性が569万円(同0.9%増)、女性が316万円(同0.7%増)。どちらも前年を上回ったが、伸び率は低下した。
賞与は3年ぶりに減少
平均給与(460万円)の内訳をみると、給料・手当が388万円、賞与が71万円で、賞与の占める割合は18.4%(前年は18.5%)となっている。賞与は前年より0.3%少なくなり、3年ぶりに減少した。
これを男女別にみると、男性は平均給与569万円のうち給料・手当が476万円、賞与が92万円で、賞与が占める割合は19.4%。女性は平均給与316万円のうち給料・手当が272万円、賞与が44万円で、賞与が占める割合は16.1%となっている。
正社員以外は前年より0.7%多い202万円
平均給与を雇用形態別にみると、正社員(正職員)が530万円(前年比1.3%増)なのに対し、パート・アルバイトなどの正社員(正職員)以外は202万円(同0.7%増)。増加率で正社員が正社員以外を0.6ポイント上回った結果、平均給与の差は前年の322万円から328万円に開いた。
男性のピークは「55~59歳」の712万円
年齢階層別にみると、男女計で最も高かった階層は「55~59歳」(545万円)。次いで「50~54歳」(540万円)、「45~49歳」(521万円)、「40~44歳」(501万円)が続く。最も低かった階層は「19歳以下」(112万円)で、以下、「20~24歳」(267万円)、「70歳以上」(293万円)、「65~69歳」(354万円)の順となっている。
男女別では、男性は「55~59歳」(712万円)までは年齢が上がっていくとともに平均給与も高くなっており、「60~64歳」以降は低下する。女性は、男性のように年齢が上がるにつれて給与額も上がるといった傾向はみられず、25歳~59歳の年齢階層は300万円台に収まっている。
勤続年数別にみると、男女計では「30~34年」(723万円)がピークで、そこまでは勤続年数が長くなるにつれて平均給与も高くなる。その傾向は男女別にみても同じ。男性は35年未満までは勤続年数が長くなるにしたがい高くなり、「30~34年」の808万円が最も高く、女性も35年未満までは勤続年数が長くなるにしたがい高くなり、「30~34年」の480万円が一番高い。ただし、勤続年数による差は男性に比べ女性のほうが小さい。
3割強が300万円超500万円以下の範囲内
給与分布では、階級別でみて最も割合が高かったのは「300万円超400万円以下」(構成比16.3%)で、次に「400万円超500万円以下」(同15.4%)が続いており、あわせて3割強の給与所得者が「300万円超500万円以下」の範囲内にある。
男女別では、男性は「400万円超500万円以下」(同17.5%)が最も割合が高く、次いで「300 万円超400万円以下」(同14.9%)。女性は、最も割合が高い「100万円超200万円以下」(同 20.5%)と2番目に高い「200万円超300万円以下」(同19.6%)が、ともに約2割を占める。
事業所規模別の平均給与は、従業員数「10人未満」の事業所では382万円、「10~29人」で421万円、「30~99人」で425万円、「100~499人」で447万円、「500~999人」で494万円、「1,000~4,999人」で527万円、「5,000人以上」で521万円となっている。
業種別は前年同様「電気・ガス・熱供給・水道業」がトップ
平均給与を14の業種別にみると、最も高かったのは「電気・ガス・熱供給・水道業」(775万円)で、以下、高い順に「金融業,保険業」(652万円)、「情報通信業」(649万円)、「学術研究,専門・技術サービス業、教育,学習支援業」(551万円)、「建設業」(548万円)、「製造業」(533万円)などが続く。最も低かったのは「宿泊業,飲食サービス業」(264万円)で、次いで「農林水産・鉱業」(333万円)、「サービス業」(378万円)、「卸売業,小売業」(387万円)などとなっている。
(調査部)
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