ハラスメントを受けたと感じたことがある職員で相談した人は35.8%にとどまる
 ――人事院「各府省におけるハラスメント相談に関する職員アンケート調査結果」

政府の関連調査

人事院(川本裕子総裁)は7月5日、各府省におけるハラスメント相談に関する職員アンケート調査結果を発表した。ハラスメントを受けたと感じたことがある職員は27.6%で、「上司」から受けたとする人が8割近くに及んだ。受けたと感じたことがある職員のうち相談をした人は35.8%にとどまった。相談先として「公務内の相談窓口」をあげた人は2割以下だった。

調査は、一般職の国家公務員3,000人(常勤職員2,000人、非常勤職員1,000人)を対象に、2023年12月4日~2024年1月19日に行った。2,007人(常勤職員1,403人、非常勤職員604人)から回答を得た。

ハラスメントの種類のトップは「パワハラ(暴言)」

調査結果によると、ハラスメントを受けたと感じたことがある職員は27.6%。ハラスメントの内容(複数回答)をみると、「パワハラ(暴言)」が56.6%で最も回答割合が高く、「セクハラ(性的な発言)」が26.1%、「パワハラ(私生活への干渉)」が15.3%、「パワハラ(仲間外し)」が14.9%、「セクハラ(身体への接触)」が14.7%、「パワハラ(暴力)」が3.9%などとなっている。

誰からハラスメントを受けたかをみると(複数回答)、「上司」が78.0%と8割近くに及び、「同僚」が24.9%、「行政サービスの利用者」が9.7%、「部下」が3.5%、「他府省の職員」が2.4%など。

ハラスメントと思われる行為を見かけたことがある職員の割合は36.0%。どのようなハラスメントを見かけたかについては(複数回答)、「パワハラ(暴言)」が80.3%と約8割にのぼり最も高い割合で、次いで「セクハラ(性的な発言)」(25.6%)、「パワハラ(仲間外し)」(13.3%)、「セクハラ(身体への接触)」(8.4%)、「パワハラ(私生活への干渉)」(7.9%)、「パワハラ(暴力)」(4.6%)などの順だった。

相談先は「上司」が68.4%でトップ

ハラスメントを受けたと感じたことがある職員のうち、相談をした職員は35.8%。相談したと回答した人に、誰に相談したか尋ねると(複数回答)、「上司」が68.4%で最も割合が高く、「同僚」が44.4%で続いた。「公務内の相談窓口(所属府省のハラスメント相談員、人事院の苦情相談等)」は16.8%で2割以下だった。

ハラスメントと思われる行為を見かけたことがある職員のうち、相談をした人の割合は30.5%。誰に相談したかをみると(複数回答)、「上司」(71.6%)、「同僚」(42.2%)、「人事担当部局」(13.8%)などの順となっており、「公務内の相談窓口(所属府省のハラスメント相談員、人事院の苦情相談等)」は11.5%にとどまった。

公務内の相談窓口は相談者が望んだ対応を実施

「ハラスメントを受けたと感じたことがあり相談した」または「ハラスメントを見かけたことがあり相談した」と回答した職員が、相談相手に望んだ対応について(複数回答)、「公務内の相談窓口(所属府省のハラスメント相談員、人事院の苦情相談等)」に相談した人の回答でみると、「問題を解決するために相談に乗る」(79.1%)が最も割合が高く、次いで「あなたに事実確認のためのヒアリングを行う」(41.9%)が高かった。「公務内の相談窓口(所属府省のハラスメント相談員、人事院の苦情相談等)」に相談した人以外の回答では、「問題を解決するために相談に乗る」(70.6%)が最も割合が高く、次いで高かったのは「話を傾聴する」(32.8%)だった。

相談相手が実際どのような対応をしたか(複数回答)をみると、「公務内の相談窓口(所属府省のハラスメント相談員、人事院の苦情相談等)」に相談した人の回答では、「問題を解決するために相談に乗ってくれた」(58.7%)が最も割合が高く、次いで高いのは「あなたに事実確認のためのヒアリングを行った」(39.1%)で、上位2つは望んだ対応と同じ選択肢だった。

「公務内の相談窓口(所属府省のハラスメント相談員、人事院の苦情相談等)」に相談した人以外の回答では、「問題を解決するために相談に乗ってくれた」(63.1%)が最も割合が高く、「あなたに事実確認のためのヒアリングを行った」(29.3%)が次いで高かった。

公務内の相談窓口を選ばない理由は「身近な人の方が相談しやすい」から

「ハラスメントを受けたと感じたことがあり相談した」または「ハラスメントを見かけたことがあり相談した」と回答した職員のうち、「公務内の相談窓口(所属府省のハラスメント相談員、人事院の苦情相談等)」以外に相談した職員に、同窓口を選択しなかった理由を尋ねると(複数回答)、「相談窓口より身近な人の方が相談しやすいから」(59.8%)が最も割合が高く、「相談することで面倒な人だと思われたくないから」が20.6%、「相談窓口の敷居が高いと感じたから」が19.1%などとなっている。

「ハラスメントを受けたことがある」または「ハラスメントを見かけたことがある」と回答した職員のうち、「相談をしていない」と回答した人に、相談をしなかった理由を聞くと(複数回答)、「相談をしても解決しないと思ったから」が52.2%にのぼり、「相談することで状況が悪くなると感じたから」も36.3%と3割以上あがった。

(調査部)

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