就業者数は18年連続で増加し、65~69歳の就業率が初めて50%超え
 ――65歳以上の高齢就業者のすがた

高齢者雇用の近年の動向

総務省が「労働力調査」の結果からまとめた65歳以上の高齢者の就業状況によれば、65歳以上の高齢者の就業者数は900万人を突破し、18年連続で上昇している。65~69歳の就業率は、2021年は50.3%となり、初めて50%を超えた。総務省が「敬老の日」にちなんで毎年発表している統計トピックス「統計からみた我が国の高齢者」から、わが国の高齢者の就業の最新状況を紹介する。

65歳以上の高齢者の就業者数は18年連続で増加

いま、65歳以上の高齢者の就業者(以下、高齢就業者)はどれくらい、いるのだろうか。「労働力調査」によると、2021年は909万人で、比較可能な1968年以降で過去最高となっている(図表1)。また、18年連続で増加している。

図表1:高齢就業者数の推移(2011年~2021年)~労働力調査
画像:図表1

(公表資料から編集部で作成)

対前年増減をみると、2012年に、いわゆる「団塊の世代」が65歳となり始めたことなどにより、2013年~2016年を中心に、65~69歳で増加した。2017年以降は「団塊の世代」が70歳となり始めたことなどにより、主に70歳以上で増加している状況にあるという。

65~69歳の就業率は10年連続で上昇

次に就業率をみていく。2021年の高齢者の就業率は25.1%で、前年と同率だったが、10年前の2011年(19.2%)と比べれば、ほぼ6ポイント上昇している。なお、高齢者の就業率とは、65歳以上人口に占める就業者の割合である。

年齢階級別にみると、65~69歳は10年連続で上昇し、2021年に初めて50%を超えて50.3%となった(10年前の2011年では36.2%)(図表2)。70歳以上は5年連続での上昇となっており、2021年は18.1%となっている。

図表2:高齢者の就業率の推移(2011年~2021年)~労働力調査
画像:図表2

注:2011年は東日本大震災に伴う補完推計値

(公表資料から編集部で作成)

15歳以上の就業者総数に占める高齢就業者の割合も2021年は過去最高で、13.5%となっている。

高齢者就業者はどんな産業で多いのだろうか。主な産業別にみると、「卸売業、小売業」が130万人と最も多く、次いで「農業、林業」が104万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が103万人、「医療、福祉」が101万人などとなっている。就業者数に占める高齢就業者の割合でみると、「農業、林業」では53.3%と50%を超えて最も高く、次いで「不動産業、物品賃貸業」が26.8%、「サービス業(他に分類されないもの)」が22.8%などとなっている。

雇用形態は「パート・アルバイト」が最多で半数強

高齢就業者を従業上の地位別にみると、「役員を除く雇用者」が517万人(57.6%)、「自営業主・家族従業者」が270万人(30.1%)、「役員」が111万人(12.4%)となっている。「役員を除く雇用者」について、雇用形態の状況をみると、「パート・アルバイト」が270万人(52.2%)で最も多く、「正規の職員・従業員」が124万人(24.1%)、「契約社員」が49万人(9.5%)、「嘱託」が36万人(7.0%)などとなっている。

「正規の職員・従業員」以外の雇用形態を「非正規の職員・従業員」としてその割合をみると、75.9%とほぼ4人に3人の割合となっている。「非正規の職員・従業員」の数(393万人)は10年前の2011年から225万人増加している。

「非正規の職員・従業員」の現在の雇用形態に就いた主な理由をみると、男女ともに「自分の都合によい時間に働きたいから」がそれぞれ30.7%、38.0%で最も回答割合が高く、次いで割合が高いのは男性では「専門的な技能等をいかせるから」(18.5%)で、女性では「家計の補助・学費等を得たいから」(21.7%)。男性は「正規の職員・従業員の仕事がないから」という人も約1割(10.6%)いた。

(調査部)

2023年3月号 高齢者雇用の近年の動向の記事一覧