推定組織率は16.5%で過去最低水準に
 ――厚生労働省が2022年「労働組合基礎調査」結果を発表

国内トピックス

厚生労働省が昨年12月に公表した2022年「労働組合基礎調査」結果によると、労働組合に加入している人が雇用者に占める割合を示す「推定組織率」は16.5%で、過去最低の水準を記録した。一方、パートタイム労働者の推定組織率は8.5%で、前年から0.1ポイント上昇した。労働組合数の対前年比減は2000年から続いている。

調査は労働組合や労働組合員を産業別、企業規模別、加盟上部組合別にみた分布状況など、労働組合組織の実態を明らかにすることを目的に毎年実施。すべての労働組合を対象に、6月30日現在の状況について7月に調査を行い、集計している

労働組合員数は5年ぶりに1,000万人を下回る

それによると、単一労働組合の労働組合数は2万3,046組合で、前年に比べ346組合(1.5%)減少した。単一労働組合数が前年から減少するのは2000年以来続いており、これで23年連続。なお、この調査では「単一労働組合」を「単位組織組合」と「単一組織組合」をあわせたものとしており、「単位組織組合」は個人加入形式で支部や分会などの下部組織を持たない労働組合を指す。「単一組織組合」は、個人加入形式で下部組織を持つ労働組合を指す。

労働組合員数は999万2,373人となり、前年から8万5,504人(0.8%)減った。1,000万人を下回ったのは2017年以来5年ぶりだ。

推定組織率は、こうした組合員数の状況に加え、雇用者数(総務省「労働力調査」6月原数値)が6,048万人と前年に比べ68万人増加したこともあり、16.5%と前年(16.9%)から0.4ポイント低下。1947年の調査開始以来、過去最低を記録した。

女性の労働組合員数は347万1,000人で、前年に比べ2,000人(0.0%)増加した。だが、推定組織率(女性雇用者数に占める女性労働組合員数の割合)は前年(12.8%)を0.3ポイント下回る12.5%となっている。

パートタイム労働者は前年から4万人以上増加

パートタイム労働者の労働組合員数は140万4,000人となっており、前年(136万3,000人)に比べて4万1,000 人(3.0%)増加した。全労働組合員数に占める割合は14.1%で、前年(13.6%)から0.5ポイント上昇している。推定組織率(パートタイム労働者数に占めるパートタイム労働者の労働組合員数の割合)は8.5%で、前年(8.4%)から0.1ポイント上昇した。

「不動産業、物品賃貸業」や「卸売業、小売業」などで前年比増

労働組合員数について産業別にみると、「製造業」が264万人5,000人(全体の26.6%)と最も多く、「卸売業、小売業」が153万4,000 人(同15.5%)、「建設業」が83 万7,000人(同8.4%)でこれに続く。

対前年差でみると、増加幅が大きかった産業は、「不動産業、物品賃貸業」が3万人(85.6%)増、「卸売業、小売業」が1万3,000人(0.8%)増など。一方、減少幅が大きかった産業は、「製造業」が2万5,000人(0.9%)減、「金融業、保険業」が2万人(2.7%)減、「公務(他に分類されるものを除く)」が1万8,000人(2.2%)減、「運輸業、郵便業」が1万5,000人(1.8%)減などとなっている。

組合員数の6割超は1,000人以上の大企業で占める

民営企業の労働組合員数は871万人で、前年(876万2,000人)に比べて5万2,000人(0.6%)の減少となった。これを、企業規模別にみると、1,000人以上規模が579万8,000人(全体の66.6%)と最も多く、300~999人規模が111万8,000人(同12.8%)、100~299人規模が55万8,000人(同6.4%)と続いている。対前年増減率をみると、すべての規模がマイナスとなっており、29人以下がマイナス3.2%で最も減少率が大きい。推定組織率をみると、1,000人以上は39.6%と4割近くに達するが、100~999人は10.5%で、99人以下となると0.8%で1%にも満たない。

多くの産業別組織組合で組合員数が減少

主要団体別に、産業別組織を通じて加盟している労働組合員数をみると、連合(日本労働組合総連合会)が683万7,000人(前年比4万2,000人減)、全労連(全国労働組合総連合)が47万7,000人(同1万7,000人減)、全労協(全国労働組合連絡協議会)が8万2,000人(同4,000人減)と、全国組織はすべて前年比減となっている。

産業別組織をみると、連合傘下では、「UAゼンセン」(186万7,000人、前年比4万8,000人増)、「電機連合」(56万5,000人、同3,000人増)などの増加幅が大きい一方、「自治労」(73万4,000人、同1万8,000人減)、「JP労組」(23万4,000人、同8,000人減)、「運輸労連」(15万5,000人、同8,000人減)、「日教組」(20万6,000人、同6,000人減)などで減少幅が大きくなっている。全労連傘下では、「全労連自治労連」(12万3,000人、同6,000人減)、「日本医労連」(14万6,000人、同4,000人減)、「国公労連」(5万3,000人、同3,000人減)、「全教」(5万5,000人、同2,000人減)などで組合員を減らしている。

組合員数の減少には危機意識を持って対処を/連合

連合は今回の調査結果について、「推定組織率の低下は、集団的労使関係に守られない労働者が増加していることを示しており、強い危機感を持たなければならない」と言及。また、組合員数の減少については、「連合全体として真摯に受け止め、危機意識を持って対処していくことが必要不可欠」としたうえで、「構成組織・地方連合会・ 連合本部が総力を挙げて組織拡大に取り組むことが重要である」などとする清水秀行事務局長の談話を発表した。

一方、全労連も、非正規労働者や女性労働者、中小企業労働者をはじめとする「すべての労働者のよりどころとしての労働組合の役割発揮が切実に求められており、そのためにも当事者の組織化は喫緊の課題」などとする黒澤幸一事務局長の談話を発表した。

(調査部)

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