障害者雇用率を段階的に引き上げ、2026年度中に2.7%へ
 ――労働政策審議会障害者雇用分科会が了承

国内トピックス

企業に義務づける障がい者の雇用率は、2026年度中に2.7%に引き上げられる。厚生労働省の労働政策審議会障害者雇用分科会が1月18日、改定案を了承した。ただ、経過措置が設けられる内容で、現在の2.3%が2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%と段階的に引き上げられる。民間企業に雇用されている障がい者の数は、2022年は前年より1万6,172.0人多い61万3,958.0人で、19年連続で過去最高を更新している。

2023年中は現行の2.3%に据え置き

障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合以上の障がい者を雇うことを義務づけている。障害者雇用率と言われているもので、民間企業は現在2.3%に設定されている。

1月18日に開かれた労働政策審議会障害者雇用分科会は、2023年度以降の5年間の障害者雇用率について2.7%に引き上げるものの、経過措置として民間企業については2023年度は2.3%に据え置き、2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%へと引き上げるとする内容で了承した。国・地方公共団体などは、現行2.6%を3.0%に引き上げるが、経過措置として2026年6月までは2.8%とする。

民間企業で雇用される障害者数は19年連続で過去最高

毎年、6月1日現在の身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者の雇用状況をまとめている「障害者雇用状況」(厚生労働省公表)によると、2022年は、民間企業で雇用されている障害者数は前年より1万6,172.0人多い61万3,958.0人となり、19年連続で過去最高を更新した。

障害種別にみると、身体障がい者が35万7,767.5人、知的障がい者が14万6,426.0人、精神障がい者が10万9,764.5人となっており、いずれも前年より増加している。伸び率は精神障がい者(対前年比11.9%増)が特に大きい。

実雇用率は11年連続で過去最高に

実雇用率(法定雇用障害者数の算定基礎となる労働者に占める雇用障害者数の割合)は前年から0.05ポイント上昇の2.25%となり、11年連続で過去最高を更新した。法定雇用率を達成している企業の割合は、48.3%で前年から1.3ポイント上昇している。

実雇用率を企業規模別にみると、「43.5~100人未満」で1.84%、「100~300人未満」で2.08%、「300~500人未満」で2.11%、「500~1,000人未満」で2.26%、「1,000人以上」で2.48%となっており、「1,000人以上」では法定の障害者雇用率の2.3%を上回っている。

法定雇用率を達成している企業の割合を企業規模別にみると、「43.5~100人未満」で45.8%(前年45.2%)、「100~300人未満」で51.7%(同50.6%)、「300~500人未満」で43.9%(同41.7%)、「500~1,000人未満」で47.2%(同42.9%)、「1,000人以上」で62.1%(同55.9%)となっており、いずれの規模も前年から上昇している。

実雇用率を産業別にみると、法定雇用率を上回ったのは「医療、福祉」(2.89%)、「鉱業、採石業、砂利採取業」(2.47%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(2.38%)、「農、林、漁業」(2.36%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(2.36%)、「運輸業、郵便業」(2.32%)の6業種。一方、実雇用率が比較的低いのは「教育、学習支援業」(1.78%)、「情報通信業」(1.84%)、「不動産業、物品賃貸業」(1.90%)などとなっている。

法定雇用率未達成の企業の半数超が雇用数ゼロ

法定雇用率の未達成企業は5万5,684社となっている。このうち、雇用されている障がい者の不足数が0.5人または1人の企業は65.4%で、全体の3分の2を占めている。また、法定雇用率の未達成企業のうち、障がい者を1人も雇用していない企業は58.1%となっている。

特例子会社(親会社の実雇用率に算入できる障がい者の雇用に特別の配慮をした子会社)の認定を受けている企業は579社で、前年から17社増加した。また、特例子会社に雇用されている障がい者数は4万3,857.0人となっている。障害種別にみると、身体障がい者が1万1,835.5人、知的障がい者が2万2,941.0人、精神障がい者が9,080.5人となっている。

国の機関の実雇用率は2.85%

公的機関での雇用状況をみると、国の機関に在職している障がい者の数は9,703.0人で前年から1.0%増加した。実雇用率は2.85%で前年から0.02ポイント上昇した。44機関のすべてが法定雇用率(2.6%)を達成している。

都道府県の機関に在職している障がい者の数は1万409.0人で、前年から2.6%増加。実雇用率は2.86%で前年から0.05ポイント上昇した。知事部局は47機関中46機関が法定雇用率(2.6%)を達成している。知事部局以外は117機関中107機関が法定雇用率を達成している。

市町村の機関に在職している障がい者の数は3万4,535.5人で、前年から3.5%増加した。実雇用率は2.57%で前年から0.06ポイント上昇。2,462機関中1,846機関が法定雇用率(2.6%)を達成している。

(調査部)

2023年3月号 国内トピックスの記事一覧