女性役員比率拡大や組合員への情報発信強化など、目立つ自組織の変化・改善の方針
 ――単組の運動方針

ビジネス・レーバー・モニター定例調査

単組モニターからの回答では、男女共同参画の一環での代議員・役員の女性比率の目標設定のほか、組合員への情報発信強化など、会社への要求だけでなく、組合自身の変化・改善を目指す運動方針の報告が目立った。オンラインの活用も含めて、ウイズコロナでの組合員の交流に取り組む単組もみられた。

女性活躍を進めるとともに、組織再編も検討――造船・重機の単組

【造船・重機】では2単組から報告があった。A社単組は運動方針の特徴として、「A社グループ労連の第2次男女共同参画推進計画の策定」と「組織・活動対策委員会の設置」の2点をあげた。第2次男女共同参画推進計画の策定については、大会代議員の女性比率10%以上を目指すことや、役員の女性比率が10%以上となるように人材育成と環境整備を図ることを明記した。

新たに設置される組織・活動対策委員会では、A社グループ労連に加盟する労働組合の組織体制・活動全般の抜本的な見直しのほか、専従執行委員の削減、専門部の再編、地区本部・支部体制のあり方について検討する。

予防接種補助手当や休暇制度について議論

【造船・重機】のB社単組は定期大会で、来年の春闘要求の項目に「予防接種補助手当の新設」「選択定年制度の定率の改定」「休暇制度の改定」「一斉年休使用日の日数増」を含めるかどうかについて議論した。教育活動の充実や男女共同参画についても話し合った。

安全な職場や雇用の確保、生活の維持向上などの活動を推進――非鉄金属の単組

【非鉄金属】の単組は1期2年の運動を展開しており、今年度は後半年にあたる。この2年間の運動の基調である「安全な職場の確保、雇用確保、生活の維持向上、永続的な組織の発展と組織力強化のための人材育成」のもと、活動を推進していく。

重点項目として①保安・安全衛生②雇用の安定・確保③労働条件向上④組織の強化と拡大・人材育成⑤政策実現――の5つの取り組みを掲げている。

会社への要求だけでなく、組合員自身の変革にも取り組む――電機の単組

【電機】の単組は、基軸を「継続的に行ってきた賃金・労働条件の改善等」としたうえで、組合が定める各活動領域について運動方針を決定した。今年度の特徴は、すべての活動領域で「ジョブ型人材マネジメント」「Smart Work」を見据えた方針にしたこと。各方針を実現するために、「自らがキャリアや働き方を考え、デザインする力を養うことも必要」と訴え、会社への要求だけではなく、組合員自身が変革するための取り組みも進める。

60歳以降の働き方や若手組合員の活動充実を強化項目に――自動車の単組

今年度は活動の中間年となる【自動車】のA社単組は、基本的には2021年度に策定した運動方針を踏襲したうえで、活動の重点として強化項目を決定している。

具体的には、①中央労使協議会・生産分科会での経営へのチェック機能と会社への提言②60歳以降の働き方に関する労使での検討③組合員の家族をサポートする共済制度④各選挙活動の支援⑤若手組合員の活動充実および役員の育成⑥ホームページの充実――の6つ。また特別決議として、2023年4月の統一地方選挙・中間地方選挙の必勝決議案を採択した。

職種ごとの課題をテーマアップして労使の話し合いへ

【自動車】のB社単組は活動の基調として、組合の強み(付加価値)は「本音である生の声をもとに明確化した課題を、率直に会社に伝えられること」としたうえで、職場や産業の仲間の声を聞き、取り組むべき課題を明確化するとともに、労使の話し合いでアクションにつなげる活動を全員参加で進めていくことを基本とした。重点取り組み事項として、職場の組合員の全員活躍に向け、各職種それぞれの課題をテーマアップし、労使各層で話し合っていくとした。

年収ベースでの賃金水準向上に取り組む――建設の単組

【建設】の単組は運動方針として、①既存の制度や手当の拡充に向けた会社との協働②ベースアップ、年間一時金、諸手当を含めた年収ベースでの賃金水準向上③緩やかな賃金カーブの見直しについての会社への働きかけ④組合員のつながり強化を目的とした自発的活動の支援の検討⑤人間ドック受診率向上につながる有意義な情報発信⑥福利厚生サービスの利用率向上につながる有意義な情報発信⑦組合ポータルサイトの運用に向けた既存データベースの確認⑧各支部の情報を共有するための媒体を整備し、組合活動の周知に活かす――の8つを掲げた。

ウイズコロナを念頭に未実施だった活動を再開――陶業の単組

【陶業】の単組はウイズコロナを念頭におきながら、コロナ禍で実施できていなかった各種活動を再開させていく方針。具体的には、「意識調査の結果を活動に反映し、組合員のやりがい・働きがいの向上に繋げる」ことや、「コロナ禍で中断していた週2日のノー残業デーのあり方の検討」のほか、「組合の活性化に向けた他労組との交流推進」「全社ボーリング大会の開催方法見直しによる再開」「ライフイベントをテーマとしたセミナーの企画」などに取り組む。

物価高騰の影響をふまえて組合費を減額――事務・精密機器の単組

【事務・精密機器】の単組は定期大会で、組合費の減額を決定した。これまで、給与・賞与のいずれからも組合費を徴収していたが、今後は給与からのみ徴収する。理由は、物価の高騰が、組合員の生活に影響していることが大きい。また、機関誌の発行を廃止してホームページでの情報発信に切り替えたことで、以前よりも活動コストを削減できていることもあったという。

このほか、「賃金、一時金、労働条件の向上」「労働運動の活性化・上部団体との連携」「男女平等参画社会の実現」「平和・環境活動の推進」「労働者自主福祉運動の推進」に取り組む。

希薄となったつながりをオンラインも活用して改善へ――医薬品の単組

【医薬品】の単組の報告によると、これまでも労働組合として人と人とのつながりを大切にしてきていたが、ここ数年はコロナの影響により、つながりが希薄になっているという。そこで、運動方針は「つながり」を重視したものとしており、対面とオンラインを効果的に組み合わせた活動を立案している。

【ゴム】の単組は定期大会で、労働組合・組合員が成長することで会社の成長に貢献することが、労働組合・組合員の「安心・安定」につながることを確認。すべての活動で「成長」をキーワードとしながら進めていくことも決めた。

【化繊】の単組は、運動方針に「今後につながる会社の働きがい向上や人材力強化」「組合自身の組織運営の強化と組合人材の育成」を掲げている。

(調査部)

2022年12月号 ビジネス・レーバー・モニターの記事一覧