2021年第4四半期(10~12月期)実績および2022年第1四半期(1~3月期)の見通し
地域シンクタンク・モニター調査
緊急事態宣言の解除で消費回復も、ウクライナ情勢に懸念広がる ――来期は10地域で実績より下向く見通し
JILPTでは、各地域のシンクタンクにモニターを委託し、四半期ごとに各地の経済や雇用の動向を尋ねる「地域シンクタンク・モニター調査」を実施している。今回の調査では、2021年第4四半期(10~12月期)の実績と2022年第1四半期(1~3月期)の見通しについて回答を得た(回答締切りは3月23日、モニターの一覧は表1)。各地域モニターの報告から経済動向および雇用動向(表2)を紹介する。
各地の10~12月期の経済動向は「好転」が1地域、「やや好転」が6地域、「横ばい」6地域だった。緊急事態宣言の解除で、消費が回復したとする報告が多くの地域からよせられた。これに対し1~3月期見通しでは、「やや好転」が1地域、「横ばい」が3地域、「やや悪化」が8地域、「悪化」が1地域だった。オミクロン株の流行にともなうまん延防止等重点措置の実施のほか、半導体不足や原材料高、ウクライナ情勢の影響で先行きに不透明感がみられ、13地域中10地域が前期実績より下向く見通しを示した。
一方、雇用動向については、10~12月期実績で「やや好転」が4地域、「横ばい」が7地域、「やや悪化」が2地域だった。岩手県では新規求人倍率が統計開始以来はじめて、四半期ベースで2倍を超えた。1~3月期見通しは「やや好転」が3地域、「横ばい」が9地域、「やや悪化」が1地域だった。1~3月期に前期実績より上向く見通しを示した地域は秋田、山形、茨城の3地域。なお、本文中に出てくる有効求人倍率、新規求人倍率は特に断りがない限り、季節調整値である。
地域 | 組織名 | 回答者 |
北海道 | 株式会社北海道二十一世紀総合研究所 | 横浜 啓氏 |
秋田・山形県 | 株式会社フィデア情報総研 | 手塚 綾子氏 |
岩手県 | いわぎんリサーチ&コンサルティング株式会社 | 佐藤 和孝氏 |
宮城県 | 七十七リサーチ&コンサルティング株式会社 | 田口 康友氏 |
福島県 | 一般財団法人とうほう地域総合研究所 | 和田 賢一氏 |
茨城県 | 株式会社常陽産業研究所 | 金子 充氏 |
北陸 | 福井県立大学地域経済研究所 | 南保 勝氏 |
東海 | 株式会社OKB総研 | 市來 圭氏 |
近畿 | 一般財団法人アジア太平洋研究所 | 長谷川 裕子氏 |
中国 | 公益財団法人中国地域創造研究センター | 江種 浩文氏 |
四国 | 四国経済連合会 | 柴田 良氏 |
九州 | 公益財団法人九州経済調査協会 | 小柳 真二氏 |
地域 | 経済動向 | 雇用動向 | ||
実績 (2021第4四半期) |
見通し (2022第1四半期) |
実績 (2021第4四半期) |
見通し (2022第1四半期) |
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北海道 | やや好転 | やや悪化 | やや好転 | 横ばい |
秋田県 | 横ばい | やや悪化 | やや悪化 | 横ばい |
山形県 | 横ばい | やや悪化 | 横ばい | やや好転 |
岩手県 | 横ばい | やや悪化 | やや好転 | 横ばい |
宮城県 | やや好転 | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
福島県 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
茨城県 | 好転 | 悪化 | 横ばい | やや好転 |
北陸 | 横ばい | やや悪化 | 横ばい | 横ばい |
東海 | やや好転 | やや悪化 | やや好転 | 横ばい |
近畿 | やや好転 | やや悪化 | やや悪化 | やや悪化 |
中国 | 横ばい | 横ばい | 横ばい | 横ばい |
四国 | やや好転 | やや悪化 | 横ばい | 横ばい |
九州 | やや好転 | やや好転 | やや好転 | やや好転 |
(調査部)