2017年3月の図書紹介(2017年2月受け入れ図書)

1.小酒部 さやか著 『ずっと働ける会社』花伝社

(212頁,四六判)

本書は、マタニティーハラスメント(妊婦への嫌がらせ)防止のノウハウや働き方のヒントを探るため、ワーク・ライフ・バランス(WLB)やダイバーシティで先進的な企業を取材、どうすれば働き続けられるかについて事例を提示する。H社はブラック企業とやゆされ、残業の慢性化に悩んでいたが、管理職に育児休業を命じた結果、男性社員の意識が変わり、取得率は現在33%。かつては離職率28%という危機的状況にあったS社は、最長6年の育児・介護休業制度を始めたことにより、妊娠による退職が激減し、社長自らも育休を取得した。こうした取材を通じて著者は、マタハラ防止のための第一の秘けつとは、誰にとっても働きやすい職場づくりである、との確信を得る。

請求番号:336.4/zut
書誌番号:JB00107417
ISBN:9784763407986

2.鶴 光太郎著 『人材覚醒経済』 日本経済新聞出版社

(311頁,四六判)

著者は、安倍内閣が目指す「一億総活躍社会」の中心に人材・働き方改革を据えることで、将来的に生産性向上に不可欠なイノベーション(技術革新)を生み出し、男女を問わず、子育て、介護をしながら活躍できる社会を構築することが可能と主張。「ヒト」が日本経済の命運を握ると分析する。その人材改革を阻んでいるのが、日本の正社員において、勤務地、職務、労働時間(残業の有無)が事前に明確に定められていないという「無限定性」にあると断じる。無限定性がメリットだった時代は過ぎ去り、この雇用システムの「岩盤」を打破しなければならないと説く。いまこそジョブ型正社員を導入することで、眠れる人材が覚醒され、様々な難問が解決されるとの見方を示す。

請求番号:366.21/jin
書誌番号:JB00107413
ISBN:9784532357023

3.髙崎 順子著 『フランスはどう少子化を克服したか』新潮社

(219頁,新書判)

フランスは過去10年、合計特殊出生率を2.0で維持し、「少子化対策に成功した国」と言われている。1993年に1.66まで落ち込んだ出生率をなぜ向上させることができたのか。本書では、その背景に「3+11日間の父親産休を導入し男を2週間で父親にする」「無痛分娩の普及で体力の消耗を抑え、大変な育児に備える」「妊婦の乳幼児には医療費がかからない」「保育ではなく3歳からは全員学校に行く」などの秘策があったことが明かされる。フランス人サラリーマンの夫と共稼ぎで、パリ郊外でライターとして働く著者が自ら二児を育てた経験を踏まえ、現地の実情と生の声をリポート。日本の保育の問題点にも触れるなど今後の育児と少子化問題を考えるうえで必読の一冊。

請求番号:369.4/fur
書誌番号:JB00107425
ISBN:9784106106897

4.見波 利幸著 『心が折れる職場』日本経済新聞出版社

(219頁,新書判)

メンタルヘルスのベテランカウンセラーである著者が、心が折れるメンタル不調者が働く職場の特徴やそこで起こっていることについて、具体的なエピソードとともに解説。「職場で自然発生的な飲み会が開かれない」「キレ者上司の押しつけアドバイスがある」「無駄口をきかず効率最優先で仕事をする」――といった職場では、心が折れやすい社員が多くなる傾向があるという。不調を起こす本当の理由はパワハラや長時間労働以外にも隠れているとも指摘。心が折れる職場の形成を防ぐには、①勤務状況は、他人と比べず、過去と比べる②復職者を特別扱いしない③「頑張れは禁句」は間違い――などをあげ、大切なのは職場のリーダーが「関わる気持ち」を持つことと強調する。

請求番号:498.8/kok
書誌番号:JB00107408
ISBN:9784532263126

(日本十進分類[NDC]順に掲載)

主な受け入れ図書

2016年12月~2017年1月の労働図書館受け入れ図書

  1. 田中 周紀著『会社はいつ道を踏み外すのか』新潮社(255頁,新書判)
  2. 大塚 達生著『高齢者雇用・競業避止義務・企業年金』旬報社(241頁,A5判)
  3. 藤池 尚恵著『弁護士は見た!職場の労働トラブル』日本経済新聞出版社(158頁,A5判)
  4. 石井 京子他著『人材紹介のプロがつくった発達障害の人の転職ノート』弘文堂(vii+179頁,A5判)
  5. 藤原 佳典他著『何歳まで働くべきか?』社会保険出版社(179頁,A5判)
  6. 筒井 美紀著『殻を突き破るキャリアデザイン』有斐閣(xvi+204頁,四六判)
  7. 町田 祐一著『近代都市の下層社会』法政大学出版局(vi+281+7頁,A5判)
  8. 秋山 輝之著『退職金制度の教科書』労務行政(239頁,A5判)
  9. 鈴木 亘著『経済学者日本の最貧困地域に挑む』東洋経済新報社(xiii+470頁,四六判)
  10. 三枝 匡著『ザ・会社改造』日本経済新聞出版社(440頁,A5判)