最近の統計調査結果から2012年9月
統計調査報告
労働経済動向調査 ―平成24年8月―
平成24年8月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.(「不足」-「過剰」)は、調査産業計12ポイントと5期連続不足となった(平成24年5月調査12ポイント不足)。パートタイム労働者過不足判断D.I.は、調査産業計で16ポイントと12期連続不足となった(同17ポイント不足)。
国民経済計算 ―平成24年4~6月期・2次速報―
実質GDP(国内総生産)成長率(季調値)は前期比0.2%(年率0.7%)と1次速報値と比べて0.1ポイント(年率0.7ポイント)の下方修正となった。 実質GDP成長率の寄与度は、国内需要(内需)が0.2%、財貨・サービスの純輸出(外需)が-0.1%となった。
被保護者調査 ―4、5月分概数―
4月の生活保護の被保護世帯数は1,529,524世帯、被保護実人員は2,102,081人、5月はそれぞれ1,538,096世帯、2,110,816人となった。
平成24年度高校・中学新卒者の求人・求職状況
平成24年7月末現在、高校新卒者の求人数は約14万6千人で、前年同期に比べ14.5%の増加、求職者数は約19万3千人で、同3.4%の増加、求人倍率は0.75倍で、同0.07ポイントの増加となった。
中学新卒者の求人倍率は0.27倍で、前年同期に比べ0.01ポイントの増加となった。
平成23年雇用動向調査
入職率(年初の常用労働者数に対する、入職者数の割合)は14.2%で前年より0.1ポイントの低下、離職率(年初の常用労働者数に対する、離職者数の割合)は14.4%と0.1ポイントの低下となった。
離職理由別離職率は「個人的理由」が9.8%(前年より0.1ポイント低下)、「事業所側の理由」は1.2%(同0.2ポイント低下)となった。
転職入職後の賃金が前職に比べ「増加」した人は28.5%で、前年より0.9ポイント低下した。「減少」は32.0%と0.3ポイント低下した。
(参考)雇用動向調査結果と雇用保険の事業所の新設、廃止の記録を用いた試算(注)によれば、2011年の雇用創出率は5.2%、雇用消失率は5.9%、雇用純増率は-0.7%、雇用再分配率は11.1%となった。
(注)「雇用創出率(雇用消失率)」は、それぞれ、1年間で創出(消失)された雇用者数を、前年末の雇用者数に対する割合で表したもの。1年間で創出(消失)された雇用者数は、「前年末から本年末にかけて雇用を増やした(減らした)事業所の雇用増(減)分の総数」と「同じ間に新設された(廃止した)事業所の本年末の雇用の総数」の合計である。
毎月勤労統計調査 ―7月確報―
平成24年7月の現金給与総額(規模5人以上)は前年同月比1.6%減。きまって支給する給与は前年同月比0.1%減となった。また、所定内給与は前年同月比0.2%減、所定外給与は1.1%増となった。特別に支払われた給与は前年同月比5.1%減となった
製造業の所定外労働時間(規模5人以上)(季調値)の平成24年7月は前月比4.4%減となった。
景気動向指数 ―7月分速報の改訂―
7月のCI(改訂値・平成17年=100)の一致指数は1.1ポイント下降の93.8、3ヶ月後方移動平均は1.17ポイントの下降、7ヶ月後方移動平均は0.13ポイントの下降となった。一致指数の基調判断は「足踏みを示している。」(前月と同じ)となった。なお、先行指数は1.1ポイント下降の93.0、遅行指数は0.1ポイント下降の86.7となった。
被保護者調査 ―6月分概数―
6月の生活保護の被保護世帯数は1,542,784世帯、被保護実人員は2,115,477人となった。
サービス産業動向調査 ―7月速報―
平成24年7月のサービス産業の月間売上高は23.2兆円、前年同月比1.3%の増加となった。従事者数は2520万人で、前年同月比1.3%の減少となった。
消費者物価指数 ―8月―
平成24年8月の消費者物価指数(平成22年=100)は99.4となり、前年同月比は0.4%の下落となった。生鮮食品を除く総合指数は99.6となり、前年同月比は0.3%の下落となった。
9月の東京都区部の速報は98.9となり、前年同月比は0.7%の下落、生鮮食品を除く総合指数は99.3となり、前年同月比は0.4%の下落となった。
鉱工業生産指数 ―8月速報―
鉱工業生産指数(季調値)は前月比1.3%の低下。製造工業生産予測調査によると、9月低下の後、10月は横ばいを予測している。「総じてみれば、生産は弱含み傾向にある。」(前月:総じてみれば、生産は横ばい傾向にある)との判断となった。
家計調査 ―8月―
9月28日(金曜)総務省発表
二人以上世帯のうち勤労者世帯の実収入は、前年同月比で実質1.8%の増加。
実質増減率への寄与度は、世帯主収入が-0.98%、配偶者の収入が1.05%、他の世帯員収入が-0.09%などとなった。
勤労者世帯の消費支出は、前年同月比で実質0.9%の増加。
労働力調査 ―8月―
平成24年8月の完全失業率(季調値)は4.2%と前月に比べ0.1ポイントの低下となった。男性は4.5%と前月と同率、女性は3.7%と前月に比べ0.4ポイントの低下となった。
平成24年8月の完全失業者数(季調値)は272万人と前月に比べ10万人の減少となった。
平成24年8月の雇用者数(季調値)は5,513万人と前月に比べ1万人の増加となった。
一般職業紹介状況 ―8月―
平成24年8月の有効求人倍率(季調値)は0.83倍で、前月と同水準となった。
平成24年民間主要企業夏季一時金妥結状況
平均妥結額は726,345円で、前年に比べ20,842円(2.79%)の減となった。
(注)集計の対象は、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業のうち、妥結額を把握できた391社。
全国企業短期経済観測調査(短観) ―9月―
全国大企業の業況判断D.I.(「良い」-「悪い」)は製造業で-3%ポイント(前期-1、先行き-3)、非製造業で8%ポイント(前期8、先行き5)となった。
雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、大企業全産業で2%ポイント(前期3、先行き3)となった。
毎月勤労統計調査 ―8月速報―
平成24年8月の現金給与総額(規模5人以上)は前年同月比0.2%増。きまって支給する給与は前年同月比0.3%増となった。また、所定内給与は前年同月比0.1%増、所定外給与は2.7%増となった。特別に支払われた給与は前年同月比1.1%増となった。
なお、実質賃金(総額)は前年同月比0.7%増となった。
製造業の所定外労働時間(規模5人以上)(季調値)の平成24年8月は前月比4.7%減。
研究会報告等
平成24年版労働経済の分析(労働経済白書)
「分厚い中間層の復活に向けた課題」と題され、自ら働いて人間らしい生活を営むことができる「分厚い中間層」の復活が、日本経済の需要面では所得増、消費増を通じた需要不足の解消に、供給面では経済社会、社会保障を支える基盤強化につながるという観点から分析がされている。
第1章「労働経済の推移と特徴」では震災や円高による雇用・労働面への影響を中心に、第2章「貧困・格差の現状と分厚い中間層の復活に向けた課題」では非正規雇用者の増加などが消費をはじめとする需要に与える影響を中心に、第3章「就労促進に向けた労働市場の需給面及び質面の課題」では就業率の向上や生産性を高めるための能力開発等の課題を中心に分析がされている。
主な分析のポイント
- 2011年の非正規雇用者比率は35.1%。一方で、非正社員を正社員に登用する企業も増え、企業の意識面からは非正規雇用者の増加傾向には変化の兆し。
- バブル以降の所得の伸び率の鈍化が、消費の伸び率鈍化の最大の要因。世帯年収は、年収が低い層に分布がシフトしているが、消費を最も期待できる中所得者層の増加が潜在需要の顕在化のためにも重要。
- 非正規雇用者でも、約半数が自らの収入を主な収入源として生活する社会となる中、これらの労働者が、一定水準以上の生活を送ることができる社会を目指すべき。
まとめ
「分厚い中間層」の復活に向けては、1.誰もが持続的に働ける全員参加型社会の構築、2.能力開発による人的資本の蓄積、3.ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現が不可欠。
月例経済報告 ―9月―
景気は、世界景気の減速等を背景として、回復の動きに足踏みがみられる。(前月:このところ一部に弱い動きがみられるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある)
- 生産、輸出は、弱含んでいる。(前月:生産は、このところ横ばいとなっている)
- 企業収益は、持ち直しているが、頭打ち感がみられる。設備投資は、一部に弱い動きもみられるものの、緩やかに持ち直している。(前月:企業収益は、持ち直している。設備投資は、緩やかに持ち直している)
- 企業の業況判断は、大企業を中心に小幅改善となっている。(前月とかわらず)
- 雇用情勢は、依然として厳しさが残るものの、改善の動きがみられる。(前月とかわらず)
- 個人消費は、おおむね横ばいとなっているが、足下で弱い動きがみられる。(前月:緩やかな増加傾向にある)
- 物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、緩やかなデフレ状況にある。(前月とかわらず)
月例労働経済報告 ―9月―
労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しさが残るものの、改善の動きがみられる。(前月とかわらず)