労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関する調査
平成16年7月 発表
独立行政法人 労働政策研究・研修機構
情報解析部 情報管理課
成果主義の普及は職場をどう変えたか
~「労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関する調査」結果~
1.調査結果のポイント
労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関する調査 要約版(PDF:65KB)
労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関する調査 詳細版(PDF:107KB)
<成果主義の普及は職場をどう変えたか>
- 成果主義について「評価の基準として年齢や勤続年数より成果を重視する」方針が「あてはまる」・「ややあてはまる」とする企業は約6割、「仕事の成果を賃金に反映させる制度」を「導入している」企業が約6割となるなど、成果主義は過半数の企業で導入されている(p3(1))。
- 職場の雰囲気については、「職場の業績や成果をあげようという雰囲気」が「強まった」としているのは労働者の約4割、企業の約7割で、企業が考えているほど実際の職場の雰囲気は業績・成果志向になっていない。その一方、労働者の約3割、企業の約4割が「ゆとりをもって仕事をしている雰囲気」は「弱まった」としており、労働者、企業ともにゆとりがなくなったと感じている(p3(2))。
- 成果主義が普及している一方で、約3割の労働者は「評価の賃金・賞与への反映に対する納得感」が「低下した」としており、「高まった」とする労働者より多くなっている(p5(3))。また「賃金」については半数以上の労働者が満足していない(p9(9))。
<非正規労働者のメリット・デメリット>
- 派遣労働者の4割は「他の就業形態に変わりたい」と考えている。正規従業員はもちろんパートタイマーと比べても現状に対する不満が強い。派遣労働者の不満の理由は「安定した仕事につきたい」、「賃金が低い」である(p5(4))。
- 一方、仕事と自分の生活時間のバランスが「希望にあっている」とするのは正規従業員では約3割であるのに対し、パートタイマーや派遣労働者ではそれぞれ約6割と高くなっている(p6(5))。また、仕事についてのストレスについては、正規従業員の約8割がストレスを感じているのに対し、パートタイマーや派遣労働者ではそれぞれ約6割となっており正規従業員よりも低くなっている(p7(6))。
<能力開発の重要性と課題>
- 能力開発が「重要である」とする労働者は約6割、今後「積極的に従業員の能力開発に関わる」とする企業は約6割となっており、労働者、企業ともに能力開発の重要性を認識している(p7(7))。
- 労働者の能力開発の課題を就業形態別にみると、正規従業員では「仕事が忙しくて勉強をする時間がない」、パートタイマーでは「育児・家事等が忙しくて勉強をする時間がない」、派遣労働者では「勉強をするためのお金がない」をあげるものがそれぞれ最も多い。一方企業では「指導人材の不足」、「時間がない」が多くなっている(p8(8))。
2.調査の概要
独立行政法人労働政策研究・研修機構では、企業の経営方針・人事方針等の取組みや労働者の意識・仕事への満足度等を明らかにすることを目的として、企業とそこで働く労働者に対し、労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関するアンケート調査を実施しました。調査の概要は下記のとおりです。
(1) 調査名 | 「労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関する調査」(企業調査、労働者調査) | |
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(2) 調査期間 | 平成16年1月14日~1月23日 | |
(3) 調査方法 | 郵送による調査票の配布・回収 | |
(4) 調査対象 | 企業調査: | 従業員数100人以上の企業10,000社(株式会社東京商工リサーチの企業情報ファイルから業種・規模別に層化無作為抽出) |
労働者調査: | 企業調査対象企業の労働者100,000人(※注) (※)企業調査対象企業に1企業あたり10人(原則として正社員5人、非正社員5人)への調査票配布を依頼した。 |
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(5) 有効回収数 | 企業調査: | 1,066社 |
労働者調査: | 7,828人 |
(参考)回答企業、回答者の属性
回答企業の属性(社) | 回答企業の属性(人) | ||||
総数 | 1,066 | 総数 | 7,828 | ||
業種 | 建設業 | 149 | 性 | 男性 | 4,259 |
製造業 | 202 | 女性 | 3,444 | ||
電気・ガス・熱供給・水道業 | 10 | 年齢 | 15~19歳 | 16 | |
情報通信業 | 28 | 20~29歳 | 1,801 | ||
運輸業 | 117 | 30~39歳 | 2,558 | ||
卸売・小売業 | 118 | 40~49歳 | 1,904 | ||
金融・保険業 | 172 | 50~59歳 | 1,115 | ||
不動産業 | 5 | 60~64歳 | 181 | ||
飲食・宿泊業 | 11 | 65歳以上 | 39 | ||
医療・福祉 | 57 | 就業形態 | 正規従業員 | 5,744 | |
教育・学習支援業 | 15 | 出向社員 | 142 | ||
その他のサービス業 | 124 | 契約社員 | 467 | ||
その他 | 45 | 臨時的雇用者 | 69 | ||
規模 | 100人未満 | 92 | パートタイマー | 863 | |
100~299人 | 448 | 派遣労働者 | 391 | ||
300~499人 | 187 | 職場内の請負社員 | 17 | ||
500~999人 | 129 | 職種 | 専門的な仕事 | 1,049 | |
1000人以上 | 148 | 技術的な仕事 | 454 | ||
※総数には業種、正規従業員規模不明の企業を含む。 ※規模別集計は企業の正規従業員数によるもの。 |
管理的な仕事 | 1,331 | |||
事務の仕事 | 3,626 | ||||
販売の仕事 | 299 | ||||
サービスの仕事 | 333 | ||||
保守の仕事 | 20 | ||||
運輸・通信の仕事 | 181 | ||||
技能工・生産工程の仕事 | 154 | ||||
労務作業等の仕事 | 133 | ||||
勤務先の業種 | 建設業 | 1,100 | |||
製造業 | 1,352 | ||||
電気・ガス・熱供給・水道業 | 136 | ||||
情報通信業 | 247 | ||||
運輸業 | 712 | ||||
卸売・小売業 | 774 | ||||
金融・保険業 | 1,065 | ||||
不動産業 | 27 | ||||
飲食・宿泊業 | 143 | ||||
医療・福祉 | 344 | ||||
教育・学習支援業 | 124 | ||||
その他のサービス業 | 961 | ||||
その他 | 502 | ||||
※総数には性、年齢、就業形態、職種、勤務先の業種が不明の者を含む。 |