2年連続で実質賃金が前年比マイナス
 ――厚生労働省「毎月勤労統計調査2023年分結果確報」

国内トピックス

厚生労働省が2月27日に発表した毎月勤労統計調査の2023年分結果確報によると、一般労働者の「現金給与総額」は前年に比べ1.8%増加したものの、消費者物価指数を加味した「実質賃金」では対前年比マイナス2.5%となり、2年連続での同比マイナスとなった。賞与などの所定外給与を含まない「きまって支給する給与」でみた実質賃金でも、マイナス2.6%となっている。

「きまって支給する給与」の水準は1994年以降で最高

毎月勤労統計調査では、規模5人以上の事業所について調べている。結果をみると、基本給などだけでなく、手当や残業代なども含めた「きまって支給する給与」(定期給与)は一般労働者で35万430円となり、前年に比べプラス1.6%となっている。3年連続で増加しており、対前年比のデータがとれる1994年以降で最も高い水準となった。

一般労働者の「きまって支給する給与」(定期給与)の内訳をみると、残業代などの「所定外給与」を除く「所定内給与」が32万3,807円で対年比プラス1.6%。「所定外給与」が同プラス1.0%の2万6,623円となっている。「所定内給与」は4年連続の増加。

一般労働者の夏冬の賞与などの「特別に支払われた給与」は8万6,376円で同プラス2.8%となっている。

「きまって支給する給与」(定期給与)と「特別に支払われた給与」を合わせた「現金給与総額」は43万6,806円で、前年に比べプラス1.8%となった。

昨年よりも大きい実質賃金のマイナス幅

現金給与総額について、消費者物価指数を加味した「実質賃金」でみると、前年に比べマイナス2.5%となり、2年連続でのマイナスとなるとともに、マイナス幅は前年(マイナス1.0%)よりも拡大した。対前年比のデータがとれる1991年から時系列でみると、今回のマイナス幅は2014年(マイナス2.8%)以来の高い水準で、過去2番目に大きいマイナス幅となっている(図表)。

図表:実質賃金(現金給与総額)対前年比の推移 (単位:%)
画像:図表

(公表データから編集部で作成)

パートタイム労働者の時給が過去最高水準

パートタイム労働者についてみていくと、どの項目も一般労働者よりも大きな増加幅となっている。対前年比は、「現金給与総額」でプラス2.4%、「きまって支給する給与」(定期給与)でプラス2.6%、「所定内給与」でプラス2.5%、「所定外給与」でプラス1.7%。ただ、「特別に支払われた給与」はマイナス0.7%だった。「現金給与総額」「きまって支給する給与」「所定内給与」ともに、3年連続での増加となっている。

「時間あたり給与」は1,279円で、前年比プラス3.0%となった。データのとれる2012年以降で最高水準となっている。

(調査部)

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