【近畿】(アジア太平洋研究所)
輸出は半導体等電子部品が好調、来期の新規求人倍率は低下

地域シンクタンク・モニター定例調査

近畿の4~6月期の経済動向は、消費が底堅い動きとなったほか、輸出はアジア・中国向けの半導体等電子部品を中心に高い伸びとなったことから、モニターのアジア太平洋研究所は【やや好転】とした。7~9月期の見通しは、猛暑による夏物商材や家電製品の販売増があったものの、鉱工業生産指数が低下しており【横ばい】。4~6月期の雇用実績は、新規求人倍率や雇用人員判断DIの動きをもとに【横ばい】とした。7~9月期見通しは、新規求人倍率が低下しており【やや悪化】としている。

<経済動向>

百貨店免税売上高が円安を背景に回復

4~6月期の動向をみると、家計部門は、大型小売店販売が伸びを拡大し、賃上げの継続と物価上昇ペースの鈍化から実質賃金もプラス圏で推移するなど、所得・消費面では底堅い動きがみられた。

企業部門では、生産が3四半期連続で増加し、在庫循環も回復局面が続くなど、持ち直しの動きがみられる。また、2026年度の設備投資は高い伸びが計画されるなど、企業の投資意欲も底堅い。

対外部門では、財輸出が米国、EU、アジア向けのいずれも前年を上回るなど、好調に推移した。特にアジア・中国向けでは半導体等電子部品を中心に高い伸びが続き、輸出全体をけん引している。輸入も半導体等電子部品や石油製品を中心に大幅に増加した。インバウンドでは、中国人観光客の減少を背景に、関西国際空港経由の外国人入国者数が2四半期連続で前年を下回った。一方、百貨店免税売上高は、円安を背景とした客単価の上昇により5四半期ぶりに前年を上回った。

日銀短観の業況判断DIは2018年12月以来の高水準に

景況感について、関西経済連合会・大阪商工会議所「経営・経済動向調査」(5月調査)によると、自社業況BSIはマイナス1.9で前期比5.3ポイント低下した。国内景気BSIもマイナス18.5で同26.0ポイント低下した。

一方、日銀短観(6月調査)をみると、業況判断DIは17で前期から2ポイント上昇しており、2018年12月以来の高水準となっている。

公的部門は出来高が10四半期ぶりに前年を上回るなど、持ち直しの動きがみられる。万博関連工事の反動などから全国に比べて弱い動きが続いていたが、足元では改善している。

モニターはこうした結果をふまえて4~6月期の判断を【やや好転】とした。

景況感は改善も、鉱工業生産指数が4カ月ぶりに低下

7月の鉱工業生産指数(速報値)は99.6で、前月から4.0%低下して4カ月ぶりに減産となった。

8月の内閣府「景気ウォッチャー」の先行き判断DIは46.0で、前月から1.7ポイント上昇した。中東情勢の影響がいくらか緩和するなか、猛暑による夏物商材や家電製品の販売増に加え、中国以外のインバウンド需要が堅調に推移したことなどが、景況感全体を押し上げた形。ただし、景気判断の分岐点である「50」を下回った。

「経営・経済動向調査」によると、7~9月期の国内景気BSIは4.1で、2期ぶりにプラスに転じた。自社業況BSIは11.3で、こちらも2期ぶりにプラスに転じた。

これらの状況をふまえ、7~9月期の見通しについては【横ばい】と判断した。

<雇用動向>

非製造業で強い人手不足感

4~6月期の雇用実績について、雇用統計をみると、有効求人倍率は1.08倍で前期から0.01ポイント低下した。新規求人倍率は前期より0.02ポイント上昇して2.06倍となった。上昇は5四半期ぶり。

「経営・経済動向調査」における4~6月期の雇用判断BSIはマイナス30.7で、不足超過は24四半期連続となっている。

日銀短観(6月調査)によると、雇用人員判断DIはマイナス33で、3月調査から1ポイント上昇した。業種別では製造業がマイナス23、非製造業がマイナス42で、特に非製造業で不足感が強い。

モニターはこうした動きをもとに、4~6月期の雇用実績を【横ばい】と判断した。

新規求人倍率が3カ月ぶりに低下、新規求職者数は4%超の増加

7月の完全失業率(モニターによる季節調整値)は2.8%で前月比プラス0.1ポイントと、2カ月ぶりに悪化した。就業者数は1,092万人で同4万人減少している。

7月の有効求人倍率は1.07倍で、前月比0.01ポイント低下した。有効求人数は同マイナス0.4%、有効求職者数は同プラス0.7%となっている。

新規求人倍率をみると、7月は2.04倍(前月比マイナス0.08ポイント)で、3カ月ぶりに低下した。新規求人数は同プラス0.1%、新規求職者数は同プラス4.1%となっている。新規求人数(原数値)の前年同月比を業種別にみると、特に「宿泊・飲食業」「卸売・小売業」の減少が大きい。

「経営・経済動向調査」における7~9月期の雇用判断BSIはマイナス32.0の「不足」超で、24四半期連続の「不足」超となった。

モニターは、7~9月期の雇用の見通しについては【やや悪化】と判断している。