障害者雇用の「質」として重視すべき要素を示すガイドラインの創設などの制度的対応について議論
――厚生労働省の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」報告書
スペシャルトピック
障害者雇用の「質」の向上と、障害者雇用率制度のあり方などについて検討していた厚生労働省の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」(座長:山川隆一・明治大学法学部教授)の報告書が2月にまとまり、4月17日に開催された労働政策審議会障害者雇用分科会でその内容が報告された。研究会では、障害者雇用の「質」として重視すべき要素を示すガイドラインの創設や、いわゆる「障害者雇用ビジネス」への対応などの制度的対応の方向性について議論した。分科会では、今後も報告書の内容などをもとにして、障害者雇用の「質」の向上に向けた方策などについて議論を深める。
<障害者雇用の現状と課題>
障害の有無にかかわらず労働の機会を確保する考えから法定雇用率が基準に
わが国の障害者雇用促進制度は、1960年に制定された「障害者雇用促進法」の施行以来、障害者の職業の安定という法目的の下で、障害者雇用率による障害者雇用義務制度をはじめ、事業主による雇用障害者の差別禁止や合理的配慮の提供義務、障害者職業リハビリテーション機関による就職支援などさまざまな措置が講じられてきた。
法定雇用率は、障害の有無にかかわらず労働者となり得る機会を確保するという考えの下、「労働者の総数」に対する「対象障害者である労働者の総数」の割合が基準とされてきた。
障害者雇用者数は22年連続で過去最高を更新
障害者の雇用の現状をみると、常用労働者40人以上の民間企業における障害者雇用者数は、2025年6月時点で約70万5,000人となっており、22年連続で過去最高を更新するなど、「着実に進展している」(報告書)。
特に常用労働者1,000人以上のいわゆる大企業では、「ビジネスと人権」などの国際的な要請やコンプライアンス意識の高まりも背景に、法定雇用率(民間企業は従業員の2.5%、7月1日からは2.7%に引き上げ)を達成する企業割合がこの約20年で約3割から約5~6割に増加した。
中小企業では障害者を全く雇用していない企業も
一方、課題も指摘されている。例えば、中小企業では、障害者雇用の伸び悩みがみられる。
企業等における労働者に占める障害者の割合を示す実雇用率は、常用労働者100人未満の企業では、直近10年間で1.55%から1.94%に高まってはいるものの、障害者を全く雇用していない企業も依然として多く、「比較的停滞している状況にある」(報告書)。
障害者雇用率制度の対象範囲は10年以上にわたる検討事項
障害者雇用率制度の対象範囲も課題の1つとなっている。
障害者雇用率制度に基づく雇用義務は、1976年から民間企業における身体障害者を対象として以降、1998年には知的障害者、2018年には精神障害者を対象に追加するなど、順次拡大してきた。しかし、障害者手帳を所持しない難病患者や精神・発達障害者の雇用率制度上の位置付けについては、10年以上にわたり検討事項とされてきた状況にあり、「改めて議論を前進させることが求められている」(報告書)。
「障害者雇用ビジネス」の利用に至る企業が急増
さらに、障害者雇用の「質」の向上も課題となっている。
2024年4月以降段階的に行われている法定雇用率の引き上げと除外率の引き下げによって、企業では、「何よりも法定雇用率の達成に向けた障害者雇用の『数』の確保に意識が向かう環境にある」(報告書)。そうしたなかで、法定雇用率の達成を目的に、障害者を雇用する企業に代わって第3者が就業場所を提供するなどの、いわゆる「障害者雇用ビジネス」の利用に至る企業が急増。「問題提起の声が大きくなっている」(同)からだ。
<研究会での議論の論点>
さらなる「質」の向上に向けてどのような対応が求められるか
こうした課題をふまえ、研究会は、①障害者雇用の『質』について②障害者雇用率制度等のあり方について③その他――の3つに論点を整理。そのうえで、関係団体や障害者支援に携わる関係者、障害者雇用に積極的に取り組む関係者などのヒアリングも進めながら、議論を行った。
「障害者雇用の『質』について」では具体的に、「障害者の雇用者数は堅調に増加しているが、雇用者数のみならず、障害者の雇用の『質』についても、その向上を図ることが求められている。前回の法改正においても、厚生労働省労働政策審議会障害者雇用分科会等の意見を踏まえ、事業主の責務として職業能力の開発及び向上に関する措置が追加される等、これまでも一定の措置が講じられているが、更なる雇用の『質』の向上に向けて、どのような対応が求められるか」と設定。
「障害者雇用率制度等の在り方について」では、「障害者雇用率制度等について、合理的配慮等の障害者雇用の促進のための施策と併せて、どのようにあるべきと考えるか」と設定。特に、労働政策審議会障害者雇用分科会等で「引き続き検討」とされている①手帳を所持していない難病患者や、精神・発達障害者の位置付けについて②就労継続支援A型事業所やその利用者の位置付けについて③精神障害者において雇用率制度における「重度」区分を設けることについて④障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲を、常用労働者数が100人以下の事業主へ拡大することについて――の4点を議論テーマに据えた。
「その他」では、「その他、障害者雇用を更に促進するため、どのような課題や対応が求められると考えるか」を論点とした。
<研究会での議論結果>
〔障害者雇用の『質』について〕
議論の結論について、報告書は大きく、〔障害者雇用の『質』について〕と〔障害者雇用率制度等の在り方について〕――の2つのテーマに分けて記述した。〔障害者雇用の『質』について〕では、障害者雇用の「質」の規定及び「質」の向上に向けた事業主の認定制度の創設・拡大等と、いわゆる「障害者雇用ビジネス」に係る対応、という論点についての議論結果を整理した。
一方、〔障害者雇用率制度等の在り方について〕では、手帳を所持していない難病患者の位置付け、手帳を所持していない精神・発達障害者の位置付けなど、事務局が示した議論テーマの順に、結論を記載した。
1.障害者雇用の「質」の規定及び「質」の向上に向けた事業主の認定制度の創設・拡大等
「障害者雇用の『質』の規定及び『質』の向上に向けた事業主の認定制度の創設・拡大等」では、事務局が制度的対応の方向性として、障害者雇用の「質」として特に重視されるべき5つの要素を提示し、そのうえで、「こうした『質』として重視すべき中心的な要素については、法令において明示する」という内容に対する委員からの主な意見を付したうえで、結論を明示した。
障害者雇用の「質」として特に重視されるべき要素としては具体的に、1)能力発揮の十分な促進(①職務の選定・創出と障害特性等との適切なマッチング、②成長を促す OJT や教育訓練機会の確保等)、2)能力発揮の成果の事業活動への十分な活用、3)適正な雇用管理(①採用・配置・育成等の計画的な実施、②障害特性に配慮した働きやすさを高める措置等)、4)発揮した能力に対する正当な評価とその反映(①評価結果に相応しい配置(職務内容)、②処遇(昇進・昇格))、5)雇用の安定(安定的な雇用契約期間等)――の5項目を提示した。
ガイドラインは必要、一定の高いハードルを示すことになる、などの意見も
報告書は、委員から出された意見として、「このような『質』として重視すべき要素を示すガイドライン等の根拠及び内容を法令上に規定することは、事業主が目指すべき方向性を明確に示す上で必要であり、これにより企業における取り組みを推進していく方向で検討を深めていくべき」「その際には、障害者雇用の現場をふまえて適用時期を検討すべき」「法令上に明示することは、一定の高いハードルを示すこととなり、これから障害者雇用を進める事業主を萎縮させることにつながりかねないものでもあることから、慎重に検討すべき」「法令上の規定の仕方として様々な選択肢を取り得るため、事業主を萎縮させない形で、どのように規定できるかを含めて検討すべき」などの内容があったことを紹介。
そのうえで、「今後、検討を深めていく際には、こうした意見も十分に踏まえ、進めていくことが必要」だと記した。
「もにす認定制度」の対象拡大や基準の見直しなどを議論
もう1つの制度的対応の方向性として、事務局は研究会のなかで、常用労働者300人以下の中小企業等を対象とし、障害者雇用に関する優良な中小事業主を取り組み内容の総合加点方式で認定する「もにす認定制度」の拡大などを論点として提示した。「もにす認定制度」は、2025年末時点で582の事業主が認定されている。
具体的には、同制度について、①企業規模にかかわらず「質」を高める取り組みを促進していく観点から、大企業を含む全ての企業を新たに認定制度の対象としたうえで、認定基準等を改めて見直す②認定基準の検討の際には、障害者自身による雇用の「質」に対する満足度やワーク・エンゲージメントについて勘案する、「質」における中心的な要素については達成必須とする、取り組み姿勢や内容に加えデータ等の客観的指標を組み合わせる③「質」を高めるために、一定の負担が生じることも想定されることから、障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図るものである調整金・報奨金や助成金などにおいて、認定事業主に対する一定の配慮を行う――との論点を提示し、意見を付しながら結論を明記した。
認定基準の見直しはおおむね意見が一致
報告書は、大企業を対象に含めたうえで、認定基準を改めて見直す方向性については、「概ね意見の一致があった」と紹介。
2点目、3点目の論点については、「この方向性で更に検討を深めていくべき」「その際は、認定事業主に対する一定の配慮(調整金・報奨金、助成金等)を行う場合には、更新制度等の認定後の検証が必要である」「認定を受けている旨を実雇用率の算定において評価することについては、『量』の概念である雇用率に『質』の評価を反映させることは適切でない」といった意見があったことを記載した。
また、「質」の評価の反映により雇用の「量」がトレードオフになるような仕組みであってはならないという意見があった一方、企業としては法定雇用率の達成に懸命に取り組んでおり、実雇用率へ算定することによる「質」の向上へのインセンティブが必要との意見もあったことも記述した。
そのうえで報告書は、「今後、検討を深めていく際には、こうした意見も十分に踏まえ議論を進めていくことが必要」だとした。
2.「障害者雇用ビジネス」に係る対応
「障害者雇用ビジネス」は増加する傾向にあるが、障害者雇用の「質」として重視すべき要素に照らして、①業務内容・就業場所の分離によるインクルージョンの観点からの課題・雇用責任の希薄化②固定的な業務付与による能力開発の制限や障害特性への理解の不十分さなど、雇用管理上の課題③障害者の能力発揮の成果が、有為な経済活動(事業活動)へ十分活用されないことに伴う課題――といった課題が指摘されている。
1つめの「業務内容・就業場所の分離によるインクルージョンの観点からの課題・雇用責任の希薄化」については、利用企業と障害者の間で業務内容・就業場所の分離があり、「障害の有無にかかわらず共に働く」という理念から離れていることや、それに伴い利用企業側における障害者への理解が深まっていかないこと、利用企業側の日常的な接点が薄いことにより雇用する障害者のキャリア形成等を含めた雇用管理等の意識に至らないといった課題がある。
2つめの「固定的な業務付与による能力開発の制限や障害特性への理解の不十分さなど、雇用管理上の課題」については、付与される業務が固定化して障害者の習熟に伴う職務内容のレベルアップが図られないほか、利用企業側の組織的関与が薄いことや「障害者雇用ビジネス」事業者の障害特性の理解が不十分であることなどにより、適正な雇用管理や障害特性に配慮した措置がなされていないといった課題がある。
3つめの「障害者の能力発揮の成果が、有為な経済活動(事業活動)へ十分活用されないことに伴う課題」については、法定雇用率達成のみを目的とした雇用となっているという課題がある。また、働く障害者に対して十分な業務付与等がないなかで賃金が支払われる構造であることにより、障害者自身の働く意欲を減退・喪失させることにつながっている。
従来の状況把握の取り組みだけでは不十分
報告書は、「このように、企業にとっての利用ニーズの増大が中長期的に継続すること、また、『障害者雇用=コスト』という認識・構造が強まっていくことは、中長期的な我が国の障害者雇用の進展にとって負の影響をもたらすことが懸念されること等も踏まえれば、『障害者雇用ビジネス』に対し、従来の状況把握の取組だけでは十分でない」との見方を示した。
その一方で、「大部分の『障害者雇用ビジネス』については、明らかな法令違反ではない中で、憲法上保障される経済活動の自由に対し、『公共の福祉に反する』ことを理由とした『禁止』(及び許可事業者のみの『禁止』の解除)を行うことは、法制上の課題がある」とも指摘し、以下のような制度的対応の検討を深めていくことが適当だとした。
報告によって行政庁で網羅的把握を可能にする
研究会で示された制度的対応の方向性とは、①利用企業による報告②「障害者雇用ビジネス」及び利用企業の望ましい在り方に向けたガイドラインの創設――の2点。
それぞれの内容を詳しくみると、1つめの「利用企業による報告」は、「障害者雇用状況報告において、『障害者雇用ビジネス』を使用している場合(主たる労働者の就業場所とは異なる第三者が提供する就業場所において障害者を勤務させている等)については、一定の項目(※)の報告を求めることにより、行政庁において網羅的に把握可能とし、必要な指導監督を行い得るようにする。(※就業場所、ビジネス事業者の情報、障害者が従事する業務内容、利用予定期間等の適正な雇用管理に係る情報)」というもの。
報告書はこれについても、出された意見と結論を明示。意見としては、「この方向性で更に検討を深めていくべき」といった内容や、「障害者雇用状況報告による『障害者雇用ビジネス』の利用状況の報告だけではなく、利用企業名の公表を求める意見もあった」と紹介。
一方、報告を求める前提となる「障害者雇用ビジネス」の定義について、「主たる労働者の就業場所と異なる第三者が提供する就業場所において障害者を勤務させている」のみでは報告義務の対象となる範囲が必ずしも明確と言えないといった意見や、利用企業としての事務負担及び心理的負担を考慮し、慎重に検討すべきとの意見があったことなども記載した。
そのうえで報告書は、「今後、検討を深めていく際には、こうした意見も十分に踏まえ、『障害者雇用ビジネス』の業態等に関する実態把握を更に進めた上で、より明確な定義付けに向けた検討を進めるとともに、利用企業側の負担を併せて考慮しながら、議論を進めていくことが必要である」との考えを提示した。
ガイドライン例には、資格者の配置やスタッフへの教育訓練などを提示
一方、「『障害者雇用ビジネス』及び利用企業の望ましい在り方に向けたガイドラインの創設」については、まず、事務局が提示したガイドラインの内容の例などを紹介。
それによると、ガイドラインの内容の例は「障害特性の十分な理解を含め障害者雇用に精通した一定の資格者等を配置すること、障害者及び利用企業への支援に従事するスタッフに対する教育訓練等を実施すること」「利用企業に対して、以下の支援メニューを提供すること①障害者の就業を通じた成果物が、利用企業自身の事業活動において有為に活用されるための提案・支援②利用企業自身の事業活動の中での障害者雇用のための業務切出しや業務設計・再構成、雇用される障害者の希望を踏まえた複数の就業場所・業務内容の提案・支援③最終的に、利用企業が、自社の就業場所での障害者雇用に移行させていくための提案・支援(利用企業自身の担当者の育成、自走開始後の助言等)」「上記の支援メニューの提供状況(実績)を含め、ガイドラインに沿った運営を行っている旨について、定期的に情報開示を行うこと」などとなっている。
また、すでに利用している企業には、雇用の「質」のためのガイドラインのなかで「『障害者雇用ビジネス』を利用する場合は、『障害者雇用ビジネス』のガイドラインに沿っていない運営を行う事業者の利用は望ましくない旨」「障害者の就業を通じた成果物は、利用企業自身の事業活動において有為に活用すべき旨」「一定期間の利用の後は、利用企業自身の事業活動の中で障害者雇用のための業務切出し等を行い、雇用される障害者の希望を踏まえつつ、自社の就業場所へ障害者雇用を移行させていくことが望ましい旨」を示すとしている。
問題の本質的要素も検討しながら検討を進めるべき
報告書は、ガイドライン創設の方向性について、「この方向性で更に検討を深めていくべき旨の意見があった。その際には、主たる労働者の就業場所とは異なる第三者が提供する就業場所で就業させる期間の望ましい在り方についても併せて検討すべき旨の意見があった」と紹介したほか、対象となる「障害者雇用ビジネス」の定義及び範囲が必ずしも明確と言えない点もふまえれば、慎重に検討すべき旨の意見があったことなども紹介。
そのうえで、議論の結論として、「今後、検討を深めていく際には、こうした意見も十分に踏まえ、『障害者雇用ビジネス』の定義や、問題があると判断される本質的要素の検討を進めるとともに、就労する障害者のために望まれる措置の内容の検討を含め、議論を進めていくことが必要である」と明記した。
〔障害者雇用率制度等の在り方について〕
手帳を所持していない難病患者や精神・発達障害者の位置付けなどを議論
報告書は、もう1つの大きな柱である「障害者雇用率制度等の在り方について」は、①手帳を所持していない難病患者の位置付け②手帳を所持していない精神・発達障害者の位置付け③就労継続支援A型事業所やその利用者の位置付け④精神障害者について障害者雇用率制度における「重度」区分を設けること⑤精神障害者である短時間労働者の算定特例⑥障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲を、常用労働者数が100人以下の事業主へ拡大すること――の6点について考え方を整理した。
個別判定制度の創設・実雇用率算定の妥当性について引き続き丁寧に議論を
主な項目について、議論の結論のみ紹介すると、「手帳を所持していない難病患者の位置付け」については、「就労困難性の個別判定のための判定基準等の仕組みについて、更なる調査研究等も併せて進めながら、手帳を所持していない難病患者の個別判定制度の創設及び実雇用率算定の妥当性について、引き続き丁寧に議論を進めていくことが必要」だとした。
「手帳を所持していない難病患者の位置付け」については、これまでの経緯では、そもそも障害者雇用促進法における「障害者」とは、「身体障害」「知的障害」「精神障害」に加えて「その他の心身の機能の障害」があり、「その他の心身の機能の障害」には難病による心身の機能の障害も含まれている。これまでも職業リハビリテーションの措置や差別の禁止、合理的配慮の提供義務等については、難病患者も対象とされてきた。
一方で、雇用義務の対象は「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」とされており、原則、手帳の所持者に限っている。2022年の分科会意見書においては、手帳を所持していない難病患者について、「個人の状況を踏まえることなく、一律に就労困難性があると認めることは難しい」ことから、「手帳を所持していない者に係る就労の困難性の判断の在り方にかかわる調査・研究等を進め」たうえで、取り扱いを検討することとされている。
対象を手帳の所持者とする現行の仕組みを維持することで意見が一致
「手帳を所持していない精神・発達障害者の位置付け」については、事務局が提示した「精神障害者保健福祉手帳における対象範囲の網羅性や、判定内容(日常生活等における制限の状態を認める)に加え、JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の精神・発達就労調査研究の状況を踏まえれば、手帳を所持しない者を別途の基準を用いて雇用率制度の対象とする必要性・合理性は高いとは言えず、雇用率の対象を精神障害者保健福祉手帳の所持者とする現行の仕組みを維持する」「その上で、引き続き職場を含めた社会全体の精神・発達障害に対する理解の促進を図っていくとともに、職場における合理的配慮の推進やハローワーク等の関係機関における支援を更に進めていく」との論点について、「この方向性で概ね意見の一致があった」としつつ、「手帳取得に抵抗感がある者や手帳取得方法の理解が十分でない者への丁寧な説明や相談支援、手帳の有無にかかわらない本人の働きづらさに対する支援や合理的配慮の必要性に対する職場の理解促進が重要との意見があった」ことも付記した。
更新が得られなかった場合も一定期間、対象とする
また、研究会では、精神障害者保健福祉手帳には有効期限があることから、更新が得られなかった場合に、一定の期間については引き続き雇用率制度の対象とすることについて、これまで検討課題とされてきたことから、「精神障害者保健福祉手帳の更新が得られなかった場合については、当該労働者が企業に引き続き雇用されており、かつ、今後も雇用される見込みであると判断できる場合においては、一定期間、雇用率制度及び障害者雇用納付金制度上の取扱いを検討する」「当該取扱いを検討する際には、同様にその他の手帳等の更新が得られなかった場合の取扱いについても合わせて検討する」ことについても議論。
報告書は、これらの論点について、「一定の場合、一定期間は引き続き対象障害者として取り扱う等制度上の取扱いを検討する方向で概ね意見の一致があった」とし、そのうえで、「『一定期間』については議論を進めていく必要がある」とした。
(調査部)


