前年に続き多くの組合で高水準かつ格差是正分を上乗せした要求を提出。要求超えの賃上げ額を達成した組合も
 ――【産別労組】2026春闘ヤマ場までの賃上げ要求・回答状況など

ビジネス・レーバー・モニター定例調査

JILPTはこのほど、「ビジネス・レーバー・モニター」を委嘱している産別労組・単組に対し、2026春闘での賃上げ要求基準等の方針や3月ヤマ場を含めた回答状況などについて尋ねた。産別労組モニターからの報告をみると、多くの組合が、前年に続き物価上昇の影響や人材確保・定着の観点から、高水準の賃上げを要求しており、規模間格差是正分を上乗せする組合も多くみられた。回答状況では、平均賃上げ額・率が要求をやや下回る組合が複数みられる一方で、セラミックス連合では要求を超える賃上げ額となっている。特徴的な交渉・協議項目では、価格転嫁の推進に向けた取り組みや、60歳以降の雇用に関する取り組みなどの回答がみられた。

今回の調査では、①2026年の春季労使交渉における賃上げ要求基準等の方針の概要と3月ヤマ場を含めた回答・妥結結果、交渉における経営側の姿勢や交渉ムードと、労働条件改定の内容②賃上げ・その他の労働条件改定以外で交渉・協議した特徴的なテーマ――の2点について尋ねた。

調査期間は2026年3月23日~4月24日。調査票を産別労組には27組織、単組には23組織に配布し、産別では11組織、単組では13組織から回答を得た。なお、単組はほとんどを大手組合で占めている。

産別で回答があったのは、電機連合、基幹労連、JEC連合、ゴム連合、紙パ連合、印刷労連、セラミックス連合、生保労連、運輸労連、日建協、全建総連。賃金・一時金等の処遇改善の要求・回答状況と、その他の労働条件改定の内容について、各組織の回答をみていく(※単組の調査結果については別稿で紹介)。

[賃金・一時金等の処遇改善の要求・回答状況]

中闘組合や拡大中闘組合の「多くが昨年以上の回答」

賃金・一時金等の処遇改善の要求・回答状況の報告について、製造業の産別労組からみていくと、電機業界の労働組合でつくる電機連合(組合員56万5,000人)は、産別統一闘争における要求額について、賃金体系の維持を図ったうえで、「水準改善1万8,000円以上」と掲げた。

回答状況についてモニターは、大手メーカーを中心に構成される中闘組合や拡大中闘組合では「多くの組合が昨年以上の回答を得ている」とコメント。一括加盟構成組合を含むベースアップ額は、単純平均で1万5,000円超となっていることを報告した。「地闘組合(中堅中小組合)は中闘組合、拡大中闘組合の結果などを受け、鋭意交渉中」としつつも、「現在回答が出ている組合の多くが、昨年以上の水準での妥結となっている」としている。

要求額を1万5,000円と設定しつつ一定の柔軟な設定も認める

鉄鋼、造船重機、非鉄などの労働組合でつくる基幹労連(組合員27万2,000人)は、賃金改善の方針を、「消費者物価や経済成長といった基本的要素に加え、継続した『人への投資』、並びに経済の好循環や人材の確保・定着を総合的に判断し、基幹労連として相乗効果を生むべく、全体が一体感を持って取り組める水準とする」として、要求額を「1万5,000円」と設定した。

なお、方針では「部門・部会ごとの置かれた状況の違いを相互に認識したうえで、一定の柔軟な設定を認め合うこととする。ただし、部門・部会のまとまりのもとで取り組むことを徹底する」ことも明記した。

基幹労連では、春の労使交渉を「AP(アクティブプラン)春季取り組み」と呼んでおり、2年間を1サイクルとして考える「2年サイクル」方式を取り入れている。1年目は「総合改善年度」、2年目は「個別改善年度」と位置づけており、賃上げについては基本的に1年目で2年分の賃上げを交渉・協議しているが、物価上昇や先行き不透明な経済情勢をふまえて、AP26(2026年度)、AP27(2027年度)の賃金改善はそれぞれ単年度で取り組むこととした。

定期昇給を含まない回答額の平均は1万1,987円に

4月15日時点の回答結果をみると、269組合が賃金改善を要求し、229組合が回答を受け、いずれも前進回答を獲得公表している(公表ベース)。定期昇給を含まない回答額の平均は1万1,987円となっている(モニター報告)。また、定期昇給は118組合が要求し、112組合が回答を獲得(同)。年間一時金は162組合が要求し、145組合が回答を受けた(同)。

経営側の姿勢や交渉ムードについてモニターは、政府の要請や、経団連が表明する「賃金引き上げの力強いモメンタムのさらなる定着」などを受け、「賃金改善に対する企業の社会的責務は強く認識されており、また、先行き不透明な環境下にあっても『人への投資』を検討する必要があるとのことで、賃上げに前向きな企業があった」と説明。

一方、経営環境が厳しい企業では「賃金改善による労務費増をふまえれば、さらなる多額の財源投入には慎重にならざるを得ない」と判断した事例や、「多額の設備投資を優先せざるを得ない状況で、固定的・構造的なコスト増となる賃金改善を抑え、一時金等で還元する企業もあった」としている。

「底上げ」に重点を置いた交渉や、格差是正に向けた取り組みを掲げる

化学・エネルギー関連の労組で構成するJEC連合(組合員12万9,000人)は、「四半世紀に及ぶ慢性デフレに終止符を打ち、動き始めた賃金、経済、物価を安定した巡航軌道に乗せる年とすべく、2026春闘では引き続き賃上げに全力で取り組み、すべての加盟組合がその実現に強くこだわる」との方針を示し、物価上昇分や生活向上分もふまえた「底上げ」に重点を置いた交渉を行うことを掲げた。

また、2025春闘の結果、企業規模間における賃上げ額に差異が生じていることを鑑み、「業種別部会の補強的な取り組みに任せることなく、JEC連合全体として、加盟する中小組合の格差是正に向けた取り組みを行う」ことや、「加盟組合が組合員はもとより、企業内で働くすべての労働者を対象に、働き方を含めた労働諸条件の点検を実施し、処遇改善に取り組む」ことも示した。

3月末におけるベースアップのみの賃上げ率は加重平均で3.68%

具体的な要求基準については、全加盟組合の賃金水準の底上げと社会的な責任の観点から、「JEC連合方針として定期昇給(賃金カーブ維持)相当分(約2%)の確保を大前提に、平均所定内賃金の『4%以上』のベースアップ」を掲げた(賃金全体では「6%以上」となる)。

また、JEC連合が定める「ミニマム水準」に到達していない組合については、「賃金カーブ維持相当分(約2%)を確保したうえで、その水準の到達に必要な額を加えた総額で賃金引き上げを求める」(賃金全体では6%+格差是正分)とした。なお、賃金実態がわからない組合については、格差是正分として1%を上乗せして要求する(賃金全体では「7%」となる)とした。

3月末段階での回答状況をみると、111組合が妥結。賃上げ(ベースアップ)回答額は単純平均で1万1,709円(賃上げ率3.51%)、加重平均で1万3,489円(同3.68%)となっている。定昇込みの回答額は単純平均で1万6,969円(同5.05%)、加重平均で1万9,834円(同5.47%)となった。

生活向上を実感できる賃金改善の実現に向けて取り組みを継続

タイヤ、履き物、工業用品などの業種の労組が加盟するゴム連合(組合員4万4,000人)は、2026春季生活改善の取り組み方針に関する基本スタンスとして、産業をとりまく環境や現在の課題、昨年の春季生活改善の取り組みの反省をふまえ、「不確実性が与える自社への影響を注視し、置かれた環境を正しく認識したうえで、ゴム産業で働くすべての労働者の労働条件改善を力強く推し進める」と提示。ここ数年での取り組みにより賃金改善はできているものの、「今後の生活に対する不安感を払しょくするに至っておらず、生活向上を実感できる賃金改善の実現に向けて取り組みを継続する」としている。

また、各加盟単組において、自組織の賃金水準のゴム連合内における相対的な位置づけや賃金制度課題を労使で把握し改善できるよう推進を行い、産業全体の底上げと産業内における格差是正に向けて、具体的な目安を方針に掲げて取り組むことなども掲げた。

要求基準は定期昇給に加えて「賃金改善1万円以上」

賃金改善の具体的な要求基準は、「定期昇給・賃金カーブ維持分の確保を前提とする」としたうえで、「賃金の底上げや改善に向けては、『目指すべき賃金水準』を設定し、自社の賃金課題を明確にしたうえで目標への到達と課題の改善に取り組む」などの考え方を提示し、「定期昇給に加えて賃金改善1万円以上」をめざすことを掲げた。

また、産業間、産業内における格差拡大などをふまえ、「35歳標準者モデルの所定内賃金額が28万円以下」の単組では、「定期昇給に加えて賃金改善1万2,000円以上」をめざして取り組むこととした。なお、要求方式は、「自社の賃金水準の位置づけを把握し、名目賃金の絶対額を意識した取り組みとするために個別賃金方式とする」とともに、「全体像を捉える目的で平均賃上げ額も表示する」こととした。

一時金については、安定した生活を送るうえで欠かすことのできない重要な位置づけであることなどから、「自社の業績や今後の動向もふまえ水準の維持・向上に向けて取り組む」として、①昨年実績をもとに水準の維持・向上②業績低迷や企業存続への取り組みを継続している場合は、生活防衛を勘案する③春年間方式を基本とする――の3点を掲げた。

産業間格差是正分として3,000円以上を加えて賃上げ要求を設定

紙パルプ・紙加工産業の労組で構成する紙パ連合(組合員2万5,000人)は、賃上げについて「底上げ」「底支え」「格差是正」の実現や、生産性三原則(雇用拡大・労使協議・公正分配)に基づいた「賃上げ」「働き方の見直し」を求める取り組みを進めるなどの考え方を提示。

そのうえで、2026春闘での具体的要求について、まず、「すべての組合は賃金カーブ維持分を確保したうえで、実質賃金の向上に向けて賃上げに取り組む。賃上げの範囲は月例賃金の改善を念頭に置き所定内賃金とする」と掲げ、賃上げ分として1万2,000円以上(賃上げ9,000円以上+産業間格差是正分3,000円以上)およびSグループ組合(300人未満規模の組合)は、これに加えて産業内格差是正分2,500円以上に取り組むこととした。

なお、賃上げ9,000円以上は、連合加盟組合平均賃金水準(約30万円)における、連合方針での賃上げ分3%に相当する額を参考とした。産業間格差是正分については、中期的に連合加盟組合所定内賃金(加重平均)をめざし格差是正を図る金額として、2023春季生活闘争より産業間格差の取り組み目安とする「3,000円(1%相当)以上」を参考としている。Sグループ組合の産業内格差是正分は、紙パ連合全体とSグループ組合の2025年賃上げ額の加重平均での差(2,286円)を参考にした。

一時金については、生活給の一部として月例賃金を補完することを基本に月数要求とするなどの考えのもと、年間集約要求の場合は基準とする賃金の5.0カ月を中心、期ごとに要求する場合は年間5.0カ月をめざすことを掲げている。

3月23日時点で18組合が妥結、2万円超の妥結額となった組合も

3月23日時点の回答状況では、66組合が賃金要求を行い、うち18組合が妥結している。妥結組合のうち賃上げ回答を公表しているのは16組合となっており、最も高い妥結額は2万2,000円(定昇込み)。一時金は要求済み66組合のうち16組合が妥結している。

3月18日時点で5組合が回答を引き出し、加重平均での賃上げ率は4.48%

印刷・情報・メディア産業の労組で構成する印刷労連(組合員2万人)は、3月18日時点での回答状況を報告。それによると、11組合が要求を提出し、うち5組合が回答を引き出しており、加重平均での賃上げ率は4.48%となっている。また、「中小組合の中には満額回答を引き出している組織もある」としている。

3月19日時点の加重平均での賃上げ率は「300人未満」が「300人以上」を上回る

セラミックス産業の労組で構成するセラミックス連合(組合員2万人)は、「賃上げの流れを継続・拡大し、セラミックス産業で働くすべての人の生活向上を実現する」との方針のもと、要求基準として「賃金カーブ維持相当分を確保したうえで、格差是正分および配分のゆがみ是正分等を改善し、『底上げ』『底支え』『格差是正』の実現に向け、3%以上の上積みにこだわる」ことを掲げた。

また、中小の組合(組織人員300人未満)については「格差是正分を加えた「総額1万6,000円(6%以上)」、賃金カーブ維持分および個別賃金が不明な組合については「1万6,000円以上」を基準に取り組むこととした。

3月19日時点の回答・妥結状況をみると、8組合が回答を獲得し、賃上げ総額は加重平均で2万318円(賃上げ率5.75%)、ベースアップのみは加重平均で1万5,081円(同4.27%)となっている。

回答組合を規模別にみると、「300人以上」(5組合)の賃上げ総額は加重平均で2万453円(同5.74%)、ベースアップのみは加重平均で1万5,113円(同4.26%)、「300人未満」(3組合)の賃上げ総額は加重平均で1万6,038円(同5.96%)、ベースアップのみは加重平均で1万2,392円(同4.61%)となっている。

満額回答を早期に出す会社が2025春闘よりも増加の傾向に

経営側の姿勢・交渉ムードについては、「労使ともに実質賃金向上と従業員のモチベーション向上といった観点により満額回答を早期に出す組織が2025春闘に比べ増加傾向にある」と指摘。「特に地方においては人手不足が顕著であり、企業側が一層危機感を持って賃上げ・人への投資を行っている」とコメントした。

内勤職員関係では「年間総収入の向上」を統一要求基準に

製造業以外の産別組織についてみていくと、生命保険会社の労組を束ねる生保労連(組合員22万8,000人)は、全組合が統一して取り組む「統一取り組み課題」を設定し、統一闘争を進めた。2026春闘の統一取り組み課題として、水準・施策面では「営業支援策の充実」「賃金改善」を掲げ、制度・運用面では「営業職員体制の発展・強化の取り組み」「人事・賃金制度に関する取り組み」を設定。そのうえで、引き続き産業全体でさらなる「人への投資」に取り組む必要があるとの認識のもと、「統一要求基準」の方向性として「全組合が創意工夫をもって『さらなる収入の向上』に最大限取り組む」とした。

営業職員関係(比例給職種)では、営業職員が募集活動を中心とした活動量を確保するとともに、各種活動に専心して取り組むことができるよう、「『営業支援策の充実』と『賃金改善』により『実質的な収入の向上』を図る」とした。特に「営業支援策の充実」は最重要課題と位置づけ、これまでに導入された営業支援策の実効性・利便性向上に向けて取り組むとした。

内勤職員関係(固定給職種)では、組合員が安心して暮らし働き続けられることや、モチベーション・働きがいのさらなる向上を図るため、「月例給与で取り組む場合は5%程度、年間総収入ベースでは3%以上」を引き上げ率の目安として示し、「年間総収入の向上」を統一要求基準とした。

回答状況について、モニターは、「労使で産業を取り巻く課題認識を共有したうえで、現在までに、賃金、営業活動支援等、広く『人への投資』や組合員の生活の安定・向上につながる前向きな対応を引き出している」と報告。営業職員関係(比例給職種)では、新商品の発売や新規契約への評価拡大などの「営業支援策」や、固定的手当の増額等の「賃金改善」に関する回答を引き出し、「営業職員の実質的な収入の向上という点で前進が図られている」としている。

内勤職員関係(固定給職種)では、月例給与のベースアップや特別一時金の支給など「『年間総収入の向上』につながる回答を引き出している」とした。

減益や燃料費の高騰などで「近年にない厳しい春闘」に

トラック運輸などの輸送分野の労組を組織する運輸労連(組合員15万5,000人)は、産業を取り巻く状況について、対応企業(全国単組10単組)の売り上げが横ばいで、利益は8割の企業で減益という状況や、中東情勢の緊迫化に伴う燃料費の高騰など、「近年にない厳しい春闘。多くのトラック事業者が先行きに不安を覚える中で春季生活闘争を迎えた」などとコメント。

また、「トラック運送業におけるエネルギー費の価格転嫁率は33.9%と低い水準にとどまり、燃料費上昇分の多くは経営努力と称し、内部で負担されているのが実態」と説明している。

こうした厳しい状況下で、運輸労連の要求・回答状況についてモニターは、「統一要求額1万7,300円を掲げて臨んだところ、3月24日時点の妥結状況・有額回答を合わせた単純平均は7,853円(加重平均8,421円)となっており、産業間格差はさらに広がる様相」と回答。また、「トラック運送業の平均営業利益率は約0.6%~2.4%と、全産業平均と比較しても非常に低い水準にあり、サプライチェーン全体で生み出した付加価値は、適正な分配がされていない構造にある」と指摘した。

働き方改革に高い意識で取り組むためにも月例賃金を引き続き向上させる

建設産業の労組で組織する日建協(組合員4万人)は要求基準で、全加盟組合が「建設産業が『魅力ある産業』になるために、あるべき賃金水準の実現に向け、加盟組合間で連帯して賃金水準の維持・向上に取り組む」と掲げた。

そのうえで、月例賃金については、安定した生活の基盤を確保するため、また、組合員が期待とやりがいをもって仕事にのぞみ、生産性の向上など働き方改革に高い意識で取り組むために、引き続き向上に取り組むとした。

一時金については、組合員の勤労意欲向上や豊かな生活水準の確保のために、「昨年実績以上の水準を目指す」とし、一時金水準の継続的な向上に向けて計画的に取り組むこともあわせて掲げた。

初任給も要求基準の項目に盛り込み、継続的な人材確保のために、各加盟組合において目標を定めて取り組むとした。

加盟組合の要求動向について、昨年12月に開催した第2回書記長会議の時点で、「素案の段階であるものの、多くの加盟組合が月例賃金のベースアップ、一時金については業績等を勘案しつつ前年同水準の要求を検討している」ことを報告した。

具体的成果の獲得を目指し「賃上げチャレンジミッション」を提起

大工・左官などの建設業に従事する労働者・職人、一人親方などが加入する全建総連(組合員56万2,000人)は、「賃上げチャレンジミッション」を提起し、全国の仲間が一丸となって賃金・単価引き上げの「要求・請求・交渉」に取り組んでいると報告した。

「賃上げチャレンジミッション」は、物価高騰を上回る賃上げの実現や、「第3次・担い手3法」(「建設業法」「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」「公共工事の品質確保の促進に関する法律」)の改正の具体化を図ることを最重点課題に掲げ、「組合員が『要求・請求・交渉』の具体的1歩を踏み出すことができる環境づくりを推進し、具体的成果の獲得を目指す。仲間の経験・確信を得ることで、運動の前進、組合への結集・組織化を図る」などとしている。

目標・計画(第1次)については、現状から「最低限10%(1割)以上の賃金・単価引き上げ獲得を目指す」ことや、「労働契約締結・標準見積書作成・書面による請負契約等について、現状から10%(1割)以上の増加を目指す」ことなどを掲げている。

また、全建総連では「ファーストミッション」として、①建設キャリアアップシステムへの登録、レベル判定の推進②労務費基準に基づいた見積り作成③コミットメント条項を入れた請負契約締結④建退共加入――の4点に取り組むことを提起しており、「全国の多くの仲間から、要求・請求・交渉の結果、賃金・単価の引き上げを勝ち取っているとの報告が来ている」とコメントした。

[その他の労働条件改定の内容]

2027年度から特別条項限度時間を640時間に引き下げる中闘組合も

その他の労働条件改定の内容について報告をみていくと、電機連合は、労働協約関係の取り組みとして、「36協定の特別条項限度時間の引き下げなどに取り組み、2027年度から特別条項限度時間を640時間へ引き下げることを労使で確認した中闘組合もあった」と報告。

また、交渉・協議した特徴的なテーマとして、介護短時間勤務の利用期間を「介護が必要な期間(事由消滅まで)」とすることや、生成AIの活用に向けた教育体系の整備、創造性を高める働き方に資する職場環境の整備をあげている(※電機連合の労働協約関係の取り組みについては、本号特集事例記事にて詳報)。

全加盟組合で65歳定年の制度導入を目指す取り組みを推進

基幹労連は、2025年度から公的年金の支給開始年齢が65歳へ引き上げられたことをふまえ、「18~65歳までの一貫した雇用形態、かつ60歳以前から連続した処遇とすることなどに留意し、全加盟組合において65歳定年の制度導入を目指し取り組みを進めた」と報告。

また、交渉・協議項目ではないものの、特徴的な取り組みとして、2026年1月に施行された「中小受託取引適正化法(取適法)」や、同年4月の「女性活躍推進法」の改正に伴う関係資料の加盟組合・構成組織への周知に取り組んだこと、また、産業政策課題の解決に向けて上部団体である連合や金属労協との連携強化と省庁要請などに取り組んだことをあげた。

JEC連合は、価格転嫁や労働時間短縮、交替勤務者の働き方、処遇の見直しなどに取り組んでいることを報告した。

連合のチェックリストに基づいた価格転嫁の実施状況を調査

ゴム連合は、過重労働の撲滅や、メリハリのある働き方や多様な人材の活躍を可能にする制度・職場環境の実現に向けて取り組むことなどをめざし、ワーク・ライフ・バランスの推進やジェンダー平等・多様性に関する取り組みを行うことを掲げた。

交渉・協議した特徴的なテーマについては、連合が作成した「価格転嫁チェックリスト」に基づいた実施状況の調査を行い、結果を共有することで価格転嫁の取り組みの推進を図ったと報告。また、モニターは加盟組合への調査結果も紹介し、「女性活躍推進法」や「男女雇用機会均等法」に関する周知徹底と点検活動、およびジェンダー平等・多様性の推進の取り組みについては「どちらも5割の単組で課題がある」状況として、「各種会議等で適宜必要な確認を行っている組合が大半であった」と報告した。

ほかにも、人材育成と教育訓練の充実に関して「6割の単組において課題がある」として、組合員の資格やスキルの向上に向けて協議が行われたことや、安全衛生対策の推進に関しては「8割の単組で課題がある」として、課題があるとしたほぼすべての単組では春の取り組み以外で暑熱への対応などについて協議が行われていることを説明した。

定年延長やジェンダー平等・多様性推進などを要求基準に

紙パ連合は、要求基準として、「定年延長、70歳までの雇用機会確保の取り組みの推進」「豊かな生活時間の確保とあるべき労働時間の実現の取り組み」「すべての労働者の雇用安定に向けた取り組み」「ジェンダー平等・多様性推進の取り組み」の4項目を設定。また、「持続的な賃上げと格差是正が実現できる環境をつくっていくために、適切な価格転嫁・適正取引の取り組みを強化する」ことも掲げた。

3月23日時点で、回答を獲得した組合からは、「60歳以降の雇用制度適用準組合員」の基本給改定や年休付与日数増、出張旅費規定の見直しなどを獲得したとの報告があった。

「所定内労働時間の短縮・休日増」「職場の熱中症対策」を要求した組合も

セラミックス連合は、「所定内労働時間の短縮・休日増」や「年次有給休暇の取得促進」、「60歳以降の高齢期の処遇改善」、「職場の熱中症対策」などを要求した組合があったとコメント。

また、交渉・協議した特徴的なテーマについては、「加盟単組の交渉として、副業(業務委託型)の導入を要求し、回答を得た組織がある」とした。

所定労働時間の短縮や子の看護等休暇の対象者拡大を引き出す

生保労連は、各組合の課題認識に基づき取り組む「主体的取り組み課題」として、「経営の健全性向上の取り組み」「誰もが安心と働きがい・生きがいをもてる職場の実現に向けた取り組み」「DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)に関する取り組み」などを設定。

回答の引き出し状況については、「総労働時間の短縮と生活時間の充実」に向けた取り組みにおいて、所定労働時間の短縮や早帰り推奨日のPCシャットダウン時間前倒し等の回答が引き出されていることや、「両立支援制度の拡充・活用促進」に向けた取り組みにおいて、子の看護等休暇の対象者拡大、勤務時間短縮の対象者拡大等の回答が引き出されていることを報告した。

取引適正化に向けて価格転嫁を進めるフェーズに入る必要性も

運輸労連は、モニターが取引適正化に向けて、「持続可能なサプライチェーンの実現のために、物流はコストではなく、新たな価値を創造するサービスとして、これから本格交渉を進め、価格転嫁を進めるフェーズに入る」必要性をコメント。また、時間外労働の上限規制(運輸業界は一般則よりも長い年960時間が適用)については、一般則適用を目指すことを掲げた。

日建協は、交渉・協議した特徴的なテーマとして、帰省旅費の回数増や単身赴任手当の増額などを要求する加盟組合があったことを報告。

全建総連は、交渉・協議した特徴的なテーマで、「中東情勢による建設資材不足、価格高騰などについて、目詰まりの解消、適正な価格転嫁等を関係者へ要請している」とした。