【東海】(OKB総研)
生産活動が増加基調で今期の経済動向は「やや好転」。男女間の賃金格差は全国平均よりも大きく、管理職に占める女性比率は全国平均を下回る

地域シンクタンク・モニター定例調査

2025年10~12月期の東海地域の経済は、生産活動は増加基調となっているほか、個人消費は底堅く推移していることから、モニターであるOKB総研は【やや好転】と判断した。1~3月期の見通しは、景況判断が改善しているほか、個人消費が拡大しているものの、判断は【横ばい】とした。雇用動向の10~12月期実績は、企業の人手不足感は続いているとして【横ばい】。1~3月期見通しも【横ばい】と判断している。東海地域では、男女間の賃金格差が全国平均よりも大きくなっているほか、管理職に占める女性比率は全国平均を下回っている。

<経済動向>

鉱工業生産指数が3四半期ぶりに前期を上回る

10~12月期の経済動向からみると、生産は増加基調で推移した。

当期の鉱工業生産指数は前期比プラス2.1%で、3四半期ぶりに前期を上回った。主な6業種をみると、「汎用機械工業」(前期比マイナス1.0%)、「業務用機械工業」(同マイナス1.7%)は低下したものの、「電子部品・デバイス工業」(同プラス23.3%)は大幅に上昇。 「生産用機械工業」(同プラス0.4%)、「電気機械工業」(同プラス1.0%)、「輸送機械工業」(同プラス1.7%)もやや上昇した。

東海財務局「法人企業統計調査」によれば、東海4県(静岡県含む)の当期の設備投資額は前年同期比プラス11.0%で、2四半期ぶりに前年同期を上回った。業種別にみると、製造業は同プラス7.5%で、非製造業は同プラス16.6%となっている。

個人消費は底堅く推移

個人消費は一部に弱い動きもみられるが、底堅く推移した。

中部経済産業局管内5県(愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県)の当期の販売額をみると、「ホームセンター」(前年同期比マイナス1.2%)が落ち込んだものの、「家電大型専門店」(同プラス5.2%)、「ドラッグストア」(同プラス5.0%)、「スーパーマーケット」(同プラス4.2%)、「百貨店」(同プラス3.2%)、「コンビニエンスストア」(同プラス1.2%)は前年同期を上回った。

輸出をみると、名古屋税関管内の輸出通関額は10月が前年同月比プラス5.3%、11月が同プラス3.9%、12月が同マイナス1.4%と推移した。

モニターはこうした動きをもとに、10~12月期の地域経済を【やや好転】と判断した。

モニター実施の景況判断ではマイナス圏を脱出

1~3月期について、個人消費をみると、1月の大型小売店販売は家電大型専門店、百貨店、ドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンターのいずれも前年同月比でプラスとなった。モニター作成の「OKB景況指数(3月期)」の個人消費はマイナス9.5で、12月期から3.7ポイント上昇している。

東海財務局「法人企業景気予測調査」では、1~3月期の景況判断BSIはマイナス4.1で、前期のマイナス0.3から「下降」超の幅が拡大している。企業規模別では大企業が2.4、中堅企業がマイナス4.2、中小企業がマイナス8.1となっている。業種別にみると、製造業がマイナス6.9、非製造業がマイナス2.1となっている。

「OKB景況指数(3月期)」の景気水準は0で、前期から4.2ポイント改善している。上昇は3期連続。

1月の鉱工業生産指数(速報値)は117.4で前月比プラス13.9%と上昇した。

輸出をみると、名古屋税関管内の輸出通関額は2月(速報値)が前年同月比マイナス1.7%となっている。モニターは「今後は、中東情勢悪化の輸出への影響が懸念される」としている。

こうした動きをもとにモニターは、1~3月期の見通しを【横ばい】と判断した。

<雇用動向>

雇用情勢はほぼ横ばいに推移

雇用の実績(10~12月期)について、有効求人倍率をみると当期は1.18倍で、前期から0.03ポイント低下した。新規求人数は10月が前年同月比マイナス4.7%、11月が同マイナス9.5%、12月が同プラス0.8%と推移している。

当期の完全失業率は2.5%で、前期から変化がなかった。

モニターはこれらの動きをふまえつつ、「企業の人手不足感が続くなか、雇用情勢は有効求人倍率などにわずかな改善の動きがみられるものの、そのペースは緩やか」だとして10~12月期の判断を【横ばい】とした。

来期も横ばいが続く見通し

「法人企業景気予測調査」によると、3月末時点の従業員数判断BSIは31.4の「不足気味」超で、12月末(33.5)から「不足気味」超の幅が縮小した。規模別、業種別のいずれも「不足気味」超となっている。

モニター作成の「OKB景況指数(3月期)」をみても、雇用は64.7の「不足」超の状況で、前期(66.7)から「不足」超の幅が縮小した。

1月の有効求人倍率は1.18倍で前期から0.01ポイント低下と横ばいの動きとなっている。

モニターはこうした動きをふまえて、1~3月期の見通しについても【横ばい】と判断した。

男女間の賃金格差の大きさは三重が全国でトップ

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに共同通信が実施した分析によると、男女間の賃金格差が最も大きいのは三重県で、そのほか愛知県が3位、静岡県が4位、岐阜県が7位となっており、東海地域で男女の賃金格差が目立っている。

また、中部経済連合会の報告によると、中部地域企業における2025年の女性の管理職比率は、部長相当職が5.9%で全国平均(8.7%)より約3ポイント低くなっているほか、課長相当職は7.5%で全国平均の12.3%と比べて約5ポイント低い。将来の管理職候補となり得る係長については12.9%で、全国平均の21.1%よりも約8ポイント低い。

中部経済連合会は、「中部圏は、自動車をはじめとする製造業が地域経済をけん引してきた一方で、少子高齢化に伴う人手不足が深刻化するなか、今後の持続的な成長に向けて、女性を含む多様な人材が能力を十分に発揮し、活躍できる職場環境の整備が一層重要」だとしている。