【宮城】(七十七リサーチ&コンサルティング)
経済動向は今期・来期ともに「横ばい」。民間設備投資はDX関連が堅調も、建設では見直し・見送りが増える見込み
地域シンクタンク・モニター定例調査
宮城県の2025年10~12月期の経済動向は、生産活動が一進一退の動きとなっているほか、個人消費は物価上昇で節約志向が強まっており、全体としては足踏みが続いていることから、モニターである七十七リサーチ&コンサルティングは【横ばい】と判断した。1~3月期の見通しも、民間設備投資はDX関連が堅調なものの、建設では見直し・見送りが増える見込みで【横ばい】。雇用については、10~12月期実績は各種統計の動きをふまえて【横ばい】とし、1~3月期見通しも人手不足の深刻さに変化はないとみて【横ばい】とした。
<経済動向>
電子部品・デバイスの生産がAI需要の拡大などで2期ぶりにプラスに
モニターは10~12月期の地域経済について、「全体としては足踏みが続いている」として【横ばい】と判断した。
生産について鉱工業生産指数をみると、米国向けの相互関税の対象である自動車関連は、輸送機械が前期比マイナス1.5%で3期連続のマイナスとなった。汎用・生産用・業務用機械は同プラス31.4%と4期ぶりのプラス。主力の電子部品・デバイスも、パソコン・IT機器の需要回復、AI需要の拡大などにより同プラス2.5%と2期ぶりのプラスとなっている。全体では依然として増減を繰り返す状況は変わらず、一進一退の動きとなっている。
需要面では、公共投資は県が前年同期比マイナス6.4%と3期ぶりに減少したものの、ボリュームゾーンの市町村は同プラス75.5%と大幅に伸びており、全体では同プラス45.8%で持ち直しの動きとなっている。
民間非居住建築物での慎重な投資姿勢は変わらず
住宅投資では、貸家が伸び悩んでいるものの、減少幅は縮小しており、全体では下げ止まりつつある。民間非居住建築物では慎重な投資姿勢は変わらず、着工面積の水準は低調に推移しているが、工事費予定額は床面積ほど落ち込んでおらず、「建設コストの高騰が重しとなっていることがうかがえる」。
個人消費は、物価上昇により家計全般の節約志向が強まっている影響で、日用品と食料品などを一度に安く購入できるドラッグストア(前年同期比プラス11.2%)の販売が伸びたほか、ゲーム機やパソコンのOSサポート終了による買い替え需要が発生した家電量販店(同プラス7.7%)の販売も伸びるなど、一部では動きもみられた。
EVやスマホ向けの生産は伸び悩みの見通し
1~3月期の経済動向をみると、生産は、半導体製造装置(生産用機械)がAI関連需要にけん引され、輸送機械では国内で人気がある小型乗用車が挽回生産で堅調に推移。一方、EVやスマホ向けが伸び悩み、電子部品・デバイスやファインセラミック(窯業・土石製品)などは持ち直しが鈍化するものとみられ、振れの大きな一進一退の動きが続く見込みとなっている。
建設投資は、公共工事では土木よりも建築で老朽化施設の建て替えや修繕が進められており、建設費上昇の影響もあり請負額は増加基調をたどるとみられる。
住宅投資は、建築基準法改正に伴う駆け込み需要の反動減が緩和するとみられるが、建設費を反映した販売価格の上昇により需要の減退が懸念されるため、分譲住宅などは弱めの動きが続く見込み。
民間設備投資では、ソフトウェアなどのDX関連は堅調だが、建設はコスト面で採算が合わず、見直しや見送りが増えるものとみられる。
ガソリン価格の高騰でさらに節約志向が高まる予想
個人消費は、円安がさらに物価の上押し要因になるとみられるなか、ガソリン価格の高騰などからさらに節約志向が高まると予想している。
モニターは1~3月期の見通しについて、「引き続き物価高と人手不足が足かせとなり、足踏みが続く」とみて、前期同様に【横ばい】と判断。「全体ではホルムズ海峡封鎖による原油価格高騰の影響で幅広い産業、家計で追加負担が重くのしかかり、県内景気の下押し要因となることが懸念される」とコメントしている。
<雇用動向>
新規求人数は11四半期連続で減少
10~12月期の雇用をみると、有効求人倍率は1.13倍で前期比マイナス0.02ポイント。当期の新規求人数は前年同期比マイナス7.3%で、11四半期連続で減少している。業種別にみると、建設費高騰による採用控えなどで「建設業」(前年同期比マイナス10.6%)で求人の減少が続いているほか、物価上昇による消費の弱さなどの影響で「宿泊業・飲食サービス業」(同マイナス14.0%)も引き続き減少している。
雇用保険被保険者の資格喪失者数(事業主都合)は前年同期比マイナス21.9%で、2期連続で減少した。
モニター実施の「県内企業動向調査」(12月)によると、雇用DIは製造業がマイナス23、非製造業がマイナス50でいずれも「不足」超の状況。
モニターはこれらの動きをもとに、10~12月期の雇用動向を【横ばい】と判断した。
製造業で雇用の不足超幅が縮小するものの、人手不足の深刻さは変わらず
1~3月期の見通しについても、【横ばい】と判断した。
「県内企業動向調査」(12月)によると、雇用DIの見通しは、製造業では不足超幅が縮小するものの、非製造業では横ばいとなる見通しであり、依然として不足超幅は高く、「人手不足の深刻さには変わりがない」。
2026年度に賃上げを予定する企業は約35%で前年度から横ばい
同調査によると、2026年度に賃上げを予定している企業割合は35.2%で、前年同期(34.3%)と同程度となっている。業種別にみると製造業は42.0%(前年同期33.6%)で増加したものの、建設業は37.5%(同43.4%)で減少している。
モニターによると、「最低賃金の引き上げや物価高に加えて、今後は幅広い産業に原油価格高騰の影響が重くのしかかり、雇用情勢の下押し要因となることが懸念される」という。


