【近畿】(アジア太平洋研究所)
アジア向けの半導体等電子部品の輸出が好調の一方、インバウンド需要は中国人客の減少で免税売り上げが減少
地域シンクタンク・モニター定例調査
近畿の2025年10~12月期の経済動向は、輸出はアジア向けの半導体等電子部品が好調なものの、インバウンド需要は中国人客の減少の影響で免税売り上げが減少しており、モニターであるアジア太平洋研究所は【横ばい】とした。1~3月期の見通しは、百貨店やホテルなどで景況感が悪化しており【やや悪化】。雇用動向は、10~12月期実績については有効求人倍率、新規求人倍率が低下しており【やや悪化】とした。1~3月期見通しは、各種統計の動きをもとに【横ばい】としている。
<経済動向>
消費者マインドが2四半期連続で改善
10~12月期について家計部門の動向をみると、消費者マインドは2四半期連続で改善し、小売販売も前年比で増加を維持した。住宅着工は法改正に伴う反動減の影響が縮小しており、持ち直しの兆しがみられる。
企業部門は、景況感が高水準を維持しており、設備投資計画も大幅増が見込まれるなど、企業マインドの改善が鮮明となった。製造業・非製造業ともに業況は改善しており、業種・規模を問わず堅調となっている。
対外部門のうち、財輸出は増勢を維持しており、とりわけアジア向けの半導体等電子部品が好調で全体を下支えした。インバウンド需要は、中国人客の減少により入国者数の増勢が鈍化しており、免税売り上げは前年割れが続いているが、客数の減少幅に比べると落ち込みは限定的となっている。
公共工事は万博関連需要の反動もあり減少が続く
公共工事は、請負金額が前年を上回るなど持ち直しの動きがみられる。ただし、出来高は大阪・関西万博関連の需要の反動もあり減少が続いている。
景況感について、日銀短観(12月調査)をみると、業況判断DIは15で前期から2ポイント上昇しており、2018年以来7年ぶりの高水準となった。
関西経済連合会・大阪商工会議所「経営・経済動向調査」をみても、当期の自社業況BSIは前期比プラス16.8ポイントの21.7、国内景気BSIは同プラス16.0ポイントの15.8で、いずれも大幅に改善している。
モニターは「緩やかな持ち直し局面が続いている」ものの、「回復の勢いはなお限定的」として、10~12月期の判断を【横ばい】とした。
百貨店やホテルなどを中心に景況感が悪化
1~3月期の見通しについては【やや悪化】と判断した。
1月の鉱工業生産指数(速報値)は101.6で、前月から3.8%上昇して3カ月連続で増産となった。なお、近畿経済産業局は1月の生産の基調判断を「弱含み」から「緩やかな持ち直しの動き」へと10カ月ぶりに上方修正した。
2月の内閣府「景気ウォッチャー調査」の先行き判断DIは48.9で、前月から1.6ポイント低下しており、景気判断の分岐点である「50」を下回った。中国の渡航自粛によるインバウンド市場に対する不安が大きいこともあり、百貨店やホテルなどを中心に景況感が悪化した。
「経営・経済動向調査」によると、1~3月期の国内景気BSIは7.5で、2期連続のプラスとなった。また、足元における自社業況BSIは3.4となっている。
<雇用動向>
3四半期連続で低下の新規求人倍率
10~12月期の雇用実績について、雇用統計をみると、有効求人倍率は1.10倍で前期から0.03ポイント低下した。新規求人倍率は2.05倍で前期から0.09ポイント低下した。低下は3四半期連続。
「経営・経済動向調査」における10~12月期の雇用判断BSIはマイナス32.7の「不足」超で、不足超過は22四半期連続。
日銀短観(12月調査)によると、雇用人員判断DIはマイナス34で、9月調査から3ポイント低下している。業種別では製造業がマイナス24、非製造業がマイナス43となっている。
モニターは「求人倍率が弱い動きのなか、物価上昇に対し実質賃金が伸び悩んでおり、雇用環境には不安材料が残っている」とみて【やや悪化】と判断した。
有効求人倍率は9カ月連続で低下
1~3月期の雇用の見通しについては、各種統計の動きをもとに【横ばい】と判断した。
1月の完全失業率(モニターによる季節調整値)は2.9%で前月比プラス0.1ポイントと、3カ月ぶりに上昇。完全失業者数は減少しているが、労働力人口も減少している。
1月の有効求人倍率は1.09倍で、前月から0.02ポイント低下した。低下は9カ月連続。有効求人数は前月比マイナス0.1%で、有効求職者数は前月比プラス1.4%となっている。
新規求人倍率をみると、1月は2.03倍で前月比マイナス0.02ポイントとなっている。新規求人数は同マイナス0.1%、新規求職者数は同プラス1.0%となっている。新規求人数(原数値)の前年同月比を業種別にみると、「教育・学習支援業」を除くすべての業種で減少している。
「経営・経済動向調査」における1~3月期の雇用判断BSIはマイナス32.7の「不足」超となっている。


