【岩手】(いわぎんリサーチ&コンサルティング)
依然として強い人手不足感。建設業では今後の採用活動の見通しを「非常に厳しい」とみる企業が7割弱

地域シンクタンク・モニター定例調査

岩手県の2025年10~12月期の経済動向について、モニターであるいわぎんリサーチ&コンサルティングは、経常利益BSIが悪化したことや各種統計の動きから、【やや悪化】と判断した。1~3月期の見通しは、全体では【横ばい】とみるが、業況判断は製造業と非製造業で異なる動きとなっている。雇用については、企業の人手不足感が依然として強いことから10~12月期は【横ばい】と判断し、1~3月期も人手不足感が継続するとみて、【横ばい】とした。モニター実施の調査によると、2026年度以降の採用活動の見通しを「非常に厳しい」とする企業は全体では4割弱だが、建設業では7割弱にのぼる。

<経済動向>

売上高BSIは改善しているが、経常利益BSIが2期連続で悪化

10~12月期の岩手県の経済指標をみると、鉱工業生産指数は、主力の電子部品・デバイスや生産用機械などがプラスとなったことから前期を上回った。一方、小売業主要業態の販売額は、百貨店・スーパーマーケットなどが前年を下回ったほか、乗用車新車登録・販売台数は弱い動きとなった。また、新設住宅着工戸数や公共工事請負額は低調な動き。

モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」をみると、当期の売上高BSIは前期から1.8ポイント上昇して1.2と、7期連続で改善した。プラス水準となるのは2023年7~9月期以来。ただ、経常利益BSIはマイナス18.3で前期から1.4ポイント悪化し、2期連続での悪化となった。

人件費や原材料コストの増加が経常利益を圧迫

売上高BSIと経常利益BSIの乖離幅が拡大傾向にあることについてモニターは、「人件費や原材料などの負担が大きなものとなっており、そうしたコストの増加が経常利益の圧迫につながっている」とみている。

モニターはこれらの動きをふまえて、10~12月期の業況判断を【やや悪化】とした。

1~3月の業況判断は製造業と非製造業で異なる動き

同調査の先行きの業況判断BSIはマイナス27.4(現状比0.5ポイント低下)となっている。業種別にみると、製造業は現状比20.0ポイント上昇のマイナス15.0と大幅に改善する予想。非製造業は同11.3ポイント低下のマイナス33.9となっている。

モニターは1~3月期の地域経済について、鉱工業生産指数や新設住宅着工戸数は「一進一退の動きが続く」とみる一方、小売業主要業態の販売額や乗用車新車登録・販売台数は「前年を下回る動きとなる」とみている。

以上からモニターは、全体として【横ばい】と判断した。

<雇用動向>

新規求人倍率は前期比プラス0.04ポイントの1.76倍

10~12月期の雇用指標をみると、新規求人倍率が1.76倍(前期比プラス0.04ポイント)で、有効求人倍率は1.08倍(同マイナス0.04ポイント)となっている。

新規求人数を業種別にみると、「宿泊・飲食サービス業」が給食請負事業所の求人減を主因に前年を下回って推移したほか、「サービス業」や「運輸・郵便業」なども減少の動きとなった。

ただ、モニターは「企業の人手不足感は依然として強い」として、10~12月期の雇用を【横ばい】とした。

製造業では人手不足感が現状よりも強まる見込み

モニターが1月に実施した「岩手県内企業景況調査」での雇用人員BSIの先行き判断をみると、マイナス39.4で現状比1.7ポイント上昇しており、不足感がやや弱まる見込み。業種別では、製造業は同5.1ポイント低下のマイナス31.7とマイナス幅が拡大するものの、非製造業では「建設業」がマイナス55.6(現状比7.4ポイント上昇)、「卸・小売業」がマイナス39.1(同3.1ポイント上昇)、「運輸・サービス業」がマイナス41.7(同8.3ポイン上昇)と、いずれも不足感が弱まると見込まれる。

1~3月期の見通しについてモニターは、「企業の人手不足感は引き続き強く、求人が求職を上回って推移するとみられる」ことから【横ばい】とした。

人材確保が進まず採用期間が長期化

モニターが1月に県内企業に実施した調査によると、新規採用を「決定済」とした割合は20.8%(前年調査比2.9ポイント低下)で、採用の「予定あり」が34.1%(同3.3ポイント上昇)、「予定なし」が23.7%(同2.5ポイント上昇)、「未定」が21.4%(同3.0ポイント低下)となっている。「決定済」と「予定あり」をあわせた割合は54.9%(同0.4ポイント上昇)で前年並みとなっている。

モニターは「人材の確保が思うように進まず、採用の期間を長期化させながら人材の充足を図っている」とみている。

また、2026年度以降の採用活動の見通しについては、「非常に厳しい」が37.2%(前年同期比2.4ポイント低下)、「やや厳しい」が40.2%(同3.3ポイント上昇)、「どちらとも言えない」が22.6%(同0.2ポイント低下)となった。「非常に厳しい」と「やや厳しい」をあわせた割合は77.4%(同0.9ポイント上昇)で前年並みとなっている。

業種別にみると、製造業、非製造業ともに「やや厳しい」が4割弱となっている。非製造業のうち建設業は「非常に厳しい」が7割弱となっている。