【北陸】(北陸経済研究所)
景況判断は中東情勢の影響でさらに悪化する可能性も。石川県では震災からの復興需要で建設業の求人が増加。
地域シンクタンク・モニター定例調査
北陸地域の2025年10~12月期の経済動向は、消費・生産がいずれも緩やかに回復しつつあることから、モニターである北陸経済研究所は【やや好転】と判断した。1~3月期は、景況判断の動きをもとに【やや悪化】としており、中東情勢の影響でさらに悪化する可能性があるとみている。雇用動向については、求人の動向や人手不足感をもとに10~12月期実績、1~3月期見通しのいずれも【横ばい】としている。石川県では震災からの復興需要により建設業の求人が増加している。
<経済動向>
小売はコンビニ、ドラッグストア、ホームセンターなどが拡大・堅調
北陸地域について、モニターは10~12月期の地域経済を【やや好転】と判断した。その理由として、需要面は「緩やかに回復しつつある」と指摘した。
小売の動向をみると、「百貨店」は衣料品の動きが鈍い。「スーパーマーケット」は飲食料品に動きがみられる。「コンビニエンスストア」は飲料やカウンターフーズに動きがみられることから堅調。「ドラッグストア」は飲食料品などに動きがみられるほか、新規出店効果もあり、拡大している。「ホームセンター」は園芸用品に動きがみられることから堅調で、「家電大型専門店」はパソコンやエアコンなどに動きがみられることから、持ち直しつつある。
主要観光地の入込客数および主要温泉地の宿泊客数は、前年を上回っている。新車販売は持ち直しに向けた動きに一服感がみられる。
生産活動は緩やかに回復
供給面は「緩やかに回復しつつある」という。業種別の動きをみると、「化学」は大半を占める医薬品で回復している。「電子部品・デバイス」はスマートフォン向けや自動車向けで下げ止まっているほか、AIサーバー向けで増加していることなどから、全体では緩やかに持ち直しつつある。
「生産用機械」は、繊維機械で持ち直しに向けた動きに一服感がみられるものの、半導体製造装置や金属加工機械で持ち直しつつあることなどから、全体では持ち直しつつある。「金属製品」は大半を占めるアルミ建材で住宅用が減少していることなどから、全体では弱含んでいる。「繊維」は非衣料向けが持ち直しつつあるものの、衣料向けが弱含んでいることから、全体では横ばいの状況にある。
企業の景況感はいずれの業種、規模でも「下降」超
北陸財務局「北陸3県の法人企業景気予測調査(1~3月調査)」によれば、企業の景況判断はマイナス10.6の「下降」超となっている。業種別にみると、製造業がマイナス14.2の「下降」超で、非製造業もマイナス7.9の「下降」超。規模別にみると大企業がマイナス2.3、中堅企業がマイナス1.4、中小企業がマイナス17.7となっている。
モニターはこの調査結果について、「2月15日時点のものであり、中東情勢が反映されていない。足元ではガソリン価格などに対しては補助金が再開されたものの、ナフサをはじめとした石油由来製品価格の動向次第では、さらに景況感が悪化する可能性がある」としたうえで、1~3月期の地域経済について【やや悪化】と判断した。
<雇用動向>
北陸各県の有効求人倍率は全国平均よりも高水準
10~12月期の雇用動向について、北陸3県の有効求人倍率は富山県が1.47倍(全国3位)、石川県が1.45倍(同4位)、福井県が1.68倍(同2位)で、全国平均(1.19倍)を大きく上回っている。
新規求人数の前年同月比を県別・業種別にみると、富山県は「製造業」「宿泊業、飲食サービス業」が増加した一方で、「卸売業、小売業」は減少。物価高や消費動向の変化が「卸売業、小売業」の採用意欲に影響を与えている。
石川県は「建設業」「製造業」「情報通信業」「医療、福祉」などが増加した一方で、「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」などは減少。能登地域における震災からの復興関連で、「建設業」の求人が増加している。
福井県は「建設業」「学術研究・専門・技術サービス」「医療、福祉」などが増加した一方で、「卸売業、小売業」「運輸業、郵便業」「情報通信業」は減少。「建設業」は施工管理や設計技術者の求人が増加した。
こうした動きをふまえつつ、モニターは10~12月期の雇用動向を【横ばい】とした。
慢性的な人手不足感でタイトな労働市場が続く
「北陸3県の法人企業景気予測調査(1~3月調査)」によれば、3月末時点の従業員数判断BSIは34.7の「不足気味」超となっている。業種別にみても、製造業が27.3、非製造業が40.1でいずれも「不足気味」超。規模別でも大企業が29.1、中堅企業が43.1、中小企業が34.4でいずれも「不足気味」超となっている。
この結果をもとにモニターは、「慢性的な人手不足からタイトな状況が続く」として1~3月期の雇用状況の見通しを【横ばい】と判断した。
なお、石川労働局によると昨年12月の有効求人倍率は1.45倍で、2024年1月の能登半島地震以降でピークだった2025年3月(1.68倍)からは低下しているものの、全国平均(1.19倍)と比べると高水準にあり、特に被災地である能登地域での人手不足が続いている。
実際の勤務地をベースに算出する就業地別の有効求人倍率(原数値)は、輪島が前年同月比0.45ポイント上昇の2.51倍、七尾が同0.19ポイント上昇の1.95倍で、いずれも石川県全体の1.59倍を大きく上回っている。


