【山形】(山形銀行やまぎん情報開発研究所)
クマ出没や日中関係の経済活動への影響は限定的

地域シンクタンク・モニター定例調査

山形県では、7~9月期の地域経済は、鉱工業生産指数が3期連続で上昇したほか、個人消費も増加しており、モニターである山形銀行やまぎん情報開発研究所は【やや好転】と判断した。10~12月期の見通しは、個人消費で節約志向がやや高まっており【横ばい】とした。クマ出没や日中関係の経済活動への影響はいずれも限定的と、モニターはみている。雇用動向は、人手不足感の状況などをもとに7~9月期の実績、10~12月期の見通しのいずれも【やや悪化】と判断した。

<経済動向>

鉱工業生産指数が3期連続で上昇し、販売統計もプラス

7~9月期の鉱工業生産指数は前期比プラス0.7%と、小幅ながら3期連続で上昇した。

個人消費をみると、当期の県内の販売統計は前年同期比プラス4.4%となっている。モニター作成の「やまぎん消費総合指数」は実質値で前期比プラス4.5%と高い伸び率となった。

モニターが実施した「やまぎん企業景況サーベイ」によると、当期の業況判断BSIは前期比4.0ポイント低下してマイナス1.8となった。低下は2期ぶり。業種別にみると、製造業は同3.8ポイント上昇のマイナス1.5、非製造業は同9.7ポイント低下のマイナス2.0となった。山形新幹線の新型車両の不具合などにより、観光関連の悪化が目立った。

こうした動きをふまえつつモニターは、「観光関連の悪化が県内経済全体に与えた影響は限定的なものにとどまっており、総じてみれば緩やかな持ち直しの動きが続いた」として7~9月期の地域経済を【やや好転】と判断した。

生産活動は主力業種の増勢が鈍化、個人消費は横ばいで推移か

10~12月期について、生産活動は、これまで高水準であった電子部品・デバイスや化学といった主力業種を中心に、「増勢が鈍化していく可能性が高い」とモニターはみている。

個人消費については、食料品価格の前年比上昇率が鈍化する半面、秋以降は電気料金やサービス価格の上昇率が拡大し、物価の伸びの鈍化を実感しにくい状況にある。こうしたなか節約志向がやや高まっており、個人消費は横ばいの推移が見込まれる。

「やまぎん企業景況サーベイ」によると、当期の業況判断BSIは前期比1.4ポイント上昇のマイナス0.4で2期ぶりに上昇した。業種別にみると、製造業は同1.5ポイント低下のマイナス3.0で、米国関税政策の影響が徐々に本格化している影響などもあり、小幅な悪化となった。

非製造業は同3.4ポイント上昇の1.4で、大幅な悪化となった前期からの反動もあって改善している。ただし、非製造業のなかでもインバウンドの増加などをうけて観光関連の持ち直しが目立つ半面、小売業は前期比で大きく悪化して1年ぶりに「悪化超」に転じる動きとなっており、消費者の節約志向などを背景とした業況悪化の動きがみられる。

クマ出没は観光・飲食分野に一部影響が

全国各地で目撃情報や被害が相次いだクマの出没については「観光・飲食分野に一部影響がみられるものの、限定的なものにとどまる」という。日中関係の悪化の影響についても、「県内観光地においては台湾などからの訪日客が多いため、限定的」としている。

こうした状況を総合的にふまえてモニターは、10~12月期の見通しを【横ばい】とした。

<雇用動向>

有効求人数は約3年前の水準まで低下

労働統計をみると、7~9月の有効求人倍率は1.26倍で、前期比0.05ポイント低下となった。有効求人数は前年比での低下が続き、2022年10~12月期以来の約3年ぶりの水準となった。一方、有効求職者数は約1年ぶりに前年比プラスに転じた。

モニターはこうした動きについて、「有効求人倍率は全国を上回る良好な水準が続いているものの、県内の雇用情勢はこのところ改善の動きが停滞し、弱い動きとなっている」とコメントした。

非製造業で人手不足感が緩和

「やまぎん企業景況サーベイ」の雇用判断BSI(「多い」-「少ない」)をみると、前期比0.9ポイント上昇のマイナス28.7で、3四半期連続で上昇した。業種別にみると、製造業は同3.3ポイント低下のマイナス13.0。非製造業は同4.6ポイント上昇のマイナス39.6で4年ぶりの高水準となった。モニターは「非製造業における人手不足感の緩和は、山形新幹線のトラブルによる影響がみられた観光関連だけでなく、企業数の多い建設業・不動産業、卸売業などにも広がっている」とみている。

モニターは7~9月期の雇用状況を、「求人数の減少が続き、やや弱い動き」として【やや悪化】と判断した。

雇用判断BSIは10~12月期としては4年ぶりの高水準に

11月の労働統計をみると、有効求人倍率は1.24倍で、前月比では0.02ポイント低下となっている。有効求人倍率は2025年6月に約4年ぶりに1.2倍台まで低下した後も、緩やかな水準低下が続いており、求職件数に対して求人規模の縮小がやや目立ってきている。

「やまぎん企業景況サーベイ」での10~12月期の雇用判断BSIは前期比3.2ポイント低下のマイナス31.9で、1年ぶりに低下した。ただしモニターによると、10~12月期は年末の繁忙期にあたるため、雇用判断BSIは常に前期比で低下するという。そこで、同じ10~12月期の水準を過去と比較すると、2021年がマイナス28.5、2022年がマイナス39.7、2023年がマイナス38.1、2024年がマイナス35.4となっており、2025年は10~12月期としては4年ぶりの高水準となっている。

価格転嫁が人件費の上昇に追いつかない企業が増加

山形県の最低賃金は12月23日から1,032円に改定されている。モニターが県内企業に行ったアンケートによると、最低賃金を下回らないように2025年中に引き上げ対応が必要とする割合は55.2%で半数を超えている。業種別にみると、製造業が59.6%、非製造業は52.2%で、製造業のなかでも食料品、繊維、輸送機械などで対応が必要とする割合が特に高い。モニターは「10~12月は、価格転嫁が人件費の上昇に追いつかないとする企業が再び増えている」としている。

モニターは10~12月期の見通しについて、「やや弱い動きが続く」とみて【やや悪化】と判断した。