【宮城】(七十七リサーチ&コンサルティング)
生産活動は半導体関連などの動きが鈍いものの、個人消費は家電の売り上げが伸長

地域シンクタンク・モニター定例調査

宮城県の7~9月期の経済動向は、生産活動については半導体関連がEVやスマホの低迷を受けて鈍い動きとなったものの、個人消費ではパソコンの買い替え需要で家電の売り上げが伸びており、モニターである七十七リサーチ&コンサルティングは【横ばい】と判断した。10~12月期の見通しも、円安が物価のさらなる押し上げ要因になるとみられるなか、日用品を中心とした節約姿勢に変化はないとみて【横ばい】。雇用については、7~9月期実績は各統計の動きもふまえて【横ばい】とし、10~12月期見通しも人手不足感がやや強まると見込んだうえで【横ばい】とした。

<経済動向>

自動車生産は国内要因で減少し、機械関連もマイナスに

モニターは7~9月期の地域経済について、「全体としては足踏みが続いている」として【横ばい】と判断した。

鉱工業生産指数をみると、米国向けの25%の相互関税の対象である自動車関連は、輸送機械が前期比マイナス1.1%で2期連続の減少となっているが、「関税よりも国内の要因による」という。

汎用・業務用・生産用機械が同マイナス6.1%で3期連続のマイナス、主力の電子部品・デバイスは同マイナス2.9%で4期ぶりのマイナスとなった。半導体関連がEVやスマホの低迷を受けて鈍い動きとなった。

パソコンの買い替え需要で家電は売り上げが上昇

需要面では、公共投資で仙台圏での公共施設新築工事やトンネル改修などのインフラ整備が相次ぎ、持ち直しの動きとなっている。住宅投資では、分譲マンションに動きがあったが、建築基準法改正による省エネ対応義務化の影響を引きずり、全体では大幅な減少が続いている。民間非居住建築物は慎重な投資姿勢が変わらず、着工面積の水準は低調に推移しているが、工事費予定額は床面積ほど落ち込んでおらず、建設コストの高騰が重しとなっている。

個人消費については、食料品の物価上昇により家計全般の節約志向は強まっているが、ゲーム機やパソコンのOSサポート終了に伴う買い替え需要で家電の売り上げが伸びるなど、一部では動きもみられた。

半導体装置や輸出機械が堅調の一方、電子部品等は鈍化

10~12月期の経済動向をみると、生産は、半導体製造装置(生産用機械)がAI関連需要に牽引され、輸送機械では国内で人気の小型乗用車が挽回生産で堅調に推移。一方、EVやスマホ向けが伸び悩み、電子部品・デバイスやファインセラミック(窯業・土石製品)などは持ち直しが鈍化するものとみられ、「振れの大きな一進一退の動きが続く見込み」。

建設投資は、公共工事では土木よりも建築で老朽化施設の建て替えや修繕が進められており、建設費上昇の影響もあり請負額は増加基調になると見込まれる。

住宅投資は、建築基準法改正に伴う駆け込み需要の反動減が緩和するとみられるが、建設費を反映した販売価格の上昇により需要の減退が懸念されるため、分譲住宅などは弱めの動きが続くとみられる。また、民間設備投資はソフトウエアなどDX関連が堅調だが、建設はコスト面で採算が合わず、見直しや見送りが増えるとみられる。

ガソリンの暫定税率廃止が個人消費の下支えに

個人消費は、消費者物価が食料品を中心に再上昇しており、円安がさらに物価の押し上げ要因になるとみられるなか、日用品を中心とした節約姿勢に変化はないとみられる。

ただし、ガソリンの暫定税率廃止により、車社会の東北では名目総生産の0.27%相当(943億円)の負担軽減となり、「家計の実質可処分所得や個人消費の下支えにもつながる」とみている。

モニターは10~12月期の見通しについて、「引き続き物価高と人手不足が足かせとなり、足踏みが続く」とみて、前期同様に【横ばい】と判断した。

<雇用動向>

新規求人数は建設業の求人減などにより依然として弱めの動き

7~9月期の雇用をみると、有効求人倍率は1.15倍で前期比マイナス0.06ポイントとなった。

当期の新規求人数は前年同期比マイナス8.8%となっている。業種別にみると、最低賃金改定前の採用控えなどにより、建設業(前年同期比マイナス9.1%)で求人の減少が続いているほか、製造業(同マイナス10.0%)も2四半期連続で減少するなど、依然として弱めの動きが続いている。

雇用保険被保険者の資格喪失者(事業者都合)は前年同期比マイナス3.6%で、5四半期ぶりに前年を下回った。

モニター実施の「県内企業動向調査」(9月)によると、雇用DIは製造業がマイナス21、非製造業がマイナス48でいずれも「不足」超の状況。特に、運輸業で長時間労働規制や需要回復の影響があることから、調査での業種区分上、運輸業を含んでいる「サービス業」はマイナス56で過去最低水準圏内まで低下しており、「人手不足感の程度は業種間のバラツキもみられる」。

モニターはこれらの動きをもとに、7~9月期の雇用動向を【横ばい】と判断した。

ほころびみえる物価と賃金の好循環

10~12月期の見通しについても、【横ばい】と判断した。

「県内企業動向調査」(12月)によると、雇用DIは製造業がマイナス23、非製造業がマイナス50でいずれも「不足」超となっている。

県内企業からは、「大手企業からの受注単価のアップがなければ中小企業に賃上げは厳しい」「毎年の賃金引き上げは中小企業にとっては経営を逼迫していく」「最低賃金の引き上げは必要だとは思うが、会社としての人件費の総額を大幅に上げることは難しく、結果として中堅社員の昇給率を下げざるを得ない」なとの声があり、モニターは「物価と賃金の好循環はほころびていると言えるだろう」とコメントした。