64.8%の若年層が共育てには社会や職場の支援が必要と回答
――厚生労働省 共育プロジェクトが「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査(速報)」の結果を公表
若年層の就業意識
厚生労働省の共働き・共育てを推進する広報事業である「共育(トモイク)プロジェクト」が7月30日に発表した「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査(速報)」の集計結果によると、若年層の共育てに対する考え方として、「共育てをしたいが、実現のためには社会や職場の支援が必要だと思う」に当てはまるとする回答割合が64.8%と最も高かった。また、約7割が新卒で入社する会社を選ぶ時に「仕事とプライベートの両立」を意識していると回答した。
同調査はパートナー同士が協力しあって、家事・育児に取り組む共育てを推進する厚生労働省の「共育(トモイク)プロジェクト」が主催。共働き・共育てに関する若年層の意識の把握や、若年層の育休やワークライフバランスへの意向を明らかにすることなどを目的として、2025年6月21日~6月30日にアンケートシステムを利用して実施した。対象は高校生、大学生、若手社会人など全国の15歳~30歳の若年層の男女で、1万3,709人から回答を得た。
<共育てに対する意識>
「共育ては理想的である」「共育ては当然である」も6割弱にのぼる
共育てに対する考えをみると、「あてはまる」と「どちらかといえばあてはまる」を合わせた割合は「共育てをしたいが、実現のためには社会や職場の支援が必要だと思う」(64.8%)が最も高く、次いで「共育ては家庭にとって理想的である」(58.2%)、「共育ては当然であり、実践したいと思う」(56.1%)、「共育ては重要だが、すべての家庭にあてはめるべきではないと思う」(54.8%)などが高かった(図表1)。
図表1:共育てに対する考え方(「あてはまる」と「どちらかといえばあてはまる」を合わせた割合)
(公表資料から編集部で作成)
<家事・育児と仕事の両立意識>
家庭より仕事を優先するのは「男女関係ない」が約7割
家庭よりも仕事を優先するのは男性と女性のどちらが行うべきかに対する考えでは、「男女は関係ない」が69.9%と最も高く、次いで「どちらかというと男性が行うべき」が17.2%などとなっている。
自分のキャリアよりも家庭を優先するのは男性と女性のどちらが行うべきかについても、「男女は関係ない」が72.9%で最も高く、次いで「どちらかというと女性が行うべき」が14.4%だった。
家事・育児なども「性別は関係ない」が70%台
子どもの毎日の送迎に関する考えでは、「男女は関係ない」が79.1%と8割近くに及び、次いで「どちらかというと女性が行うべき」が8.2%、「どちらかというと男性が行うべき」が8.0%など。
子どもが熱を出した時の対応に関する考えでは、「男女は関係ない」が76.4%で、次いで「どちらかというと女性が行うべき」が12.1%、「どちらかというと男性が行うべき」が6.7%などとなっている。
掃除や洗濯など日常的な家事に関する考えでは、「男女は関係ない」が76.0%と最も高く、「どちらかというと女性が行うべき」が12.4%、「どちらかというと男性が行うべき」が6.5%など。
毎日の朝食を作ることに関する考えでは、「男女は関係ない」が74.0%と最も高く、「どちらかというと女性が行うべき」が14.0%、「どちらかというと男性が行うべき」が6.5%などとなった。
育休取得に関する考えをみると、「男女は関係ない」が72.2%で、次いで「どちらかというと女性が行うべき」が13.7%、「どちらかというと男性が行うべき」が7.6%などと続いた。
7割以上の若手社会人が育休取得を希望、うち約8割が1カ月以上の休暇を望む
回答者のうち社会人の育休取得意向をみると、「取得したい」が46.2%で最も高く、次いで「どちらかというと取得したい」が27.7%で、「取得したい」と「どちらかというと取得したい」を合わせると7割を超えた。
育休を「取得したい」と「どちらかというと取得したい」と回答した社会人の育休取得期間の希望をみると、「1年~2年未満」が28.3%で最も高く、次いで「2年以上」が15.4%、「1カ月~3カ月未満」が12.9%、「3カ月~6カ月未満」が11.0%、「9カ月~1年未満」が9.4%、「2週間~1カ月未満」が8.6%、「1~2週間未満」が5.9%、「6カ月~9カ月未満」が5.1%、「1週間未満」が3.3%という順となった。希望育休取得期間が「1カ月~3カ月未満」~「2年以上」までの回答割合を合計した「1カ月以上」の割合は計82.1%となっている(図表2)。
図表2:育休取得期間の希望
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(公表資料から編集部で作成)
このうち男性の回答をみると、「1カ月~3カ月未満」が23.0%で最も高かった。一方、女性は、「1年~2年未満」が40.9%と4割を超え、最も高くなっている。
約7割の回答者が会社を選ぶ際に仕事とプライベートの両立を意識
新卒で入社する会社を選ぶ際に、将来の仕事とプライベートの両立を意識しているかどうかたずねた結果をみると、「やや意識している」が38.3%と最も高く、次いで「とても意識している」が28.3%となり、「やや意識している」と「とても意識している」の合計は66.6%となった。これを学生と社会人に分けてみると、学生が73.3%だったのに対し、社会人は61.9%となっている。
仕事と育児の両立への不安をみると、「どちらかというとそう思う」が41.8%と最も高く、次いで「そう思う」が30.4%となり、「どちらかというとそう思う」と「そう思う」の合計が72.2%となっている。
結婚や子育ての意向がある社会人1~5年目の回答者の「子育て期間」における理想の働き方(複数回答)をみると、「家事・育児や介護など家庭と両立できる」が44.5%と最も高く、次いで「週休3日や長期休暇など、休みを重視できる」が32.3%、「安定した雇用と収入を得ることができる」が32.2%などとなっている。
<共育て実現のために企業に求めること>
就活で重視する結婚や出産に関わる情報に関する回答結果(複数回答)をみると、「男性の育休取得率」(23.3%)が最も高く、次いで、「育休取得者をカバーする社内のサポート体制」(19.5%)、「育児に関する支援内容」(19.2%)、「女性の育休取得率」(17.9%)、「育休後の仕事復帰やキャリア形成」(17.2%)などの順となっている。
残業時間の抑制や在宅勤務などを特に要望
理想の働き方を実現するために求める支援(複数回答)については、「残業時間の抑制」(22.3%)が最も回答割合が高く、次いで「在宅勤務(リモートワーク)の活用」(22.1%)、「有給休暇取得の促進」(21.6%)、「勤務終了から勤務開始までの時間を一定期間設ける制度(勤務間インターバル制度)の促進」(15.2%)、「男性の育休取得の促進」(13.7%)などとなっている。
(調査部)