公立学校教員の教職調整額を段階的引き上げ。教育委員会の長時間労働対策の計画公表義務化も
――給特法などの改正法が成立
教職員の給与
公立学校教員の処遇改善や長時間労働是正に向けた「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)等の一部を改正する法律案」が6月11日、参院本会議で可決、成立した。学校の働き方改革をさらに加速化し、教師の職務の重要性に見合った処遇改善を図ることが狙い。給与月額の4%を一律支給する「教職調整額」を、給特法制定以来50年ぶりに2026年1月から段階的に引き上げて2031年1月には10%にするほか、従来の管理職と教諭との間で校務等の総合的な調整役を担う「主務教諭」を創設することや、学級担任への手当を加算することで教師の処遇を改善する。長時間勤務の解消と健康・福祉の確保された職場の実現に向けて「業務量管理・健康確保措置実施計画」の策定・公表を自治体の教育委員会に義務付け、国が行うべき措置として、時間外の業務時間を月平均30時間程度とする目標値などを盛り込むなど、学校現場の教育・労働環境の改善を推進する内容になっている。
給特法に規定する仕組みの考え方
「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」は、公立学校の教育職員の給与や労働条件を定めた法律。今回の改正内容をみる前に、給特法制定の経緯から同法に規定する仕組みの考え方をおおまかに確認しておきたい。
文部科学省の資料では、教員の労働基準法における割増賃金の規定を適用除外とする理由に「教師の職務と勤務態様の特殊性」をあげている。教師は「子供の『人格の完成』を目指す教育を職務」とし、その職務には「極めて複雑、困難、高度な問題を取扱い、専門的な知識、技能を必要とされるなどの特殊性」がある。また、教師には、専門職としての「自発性」や「創造性」が期待されており、「すべての業務にわたって専ら管理職からの命令に従って勤務するのではなく、むしろ勤務命令が抑制的な中で、日々変化する子供に向き合っている教師自身の自発性、創造性によって教育の現場が運営されることが望ましい」とする。加えて、教師の勤務態様には、「時間的拘束性の強い授業時間とそれ以外の放課後や特に夏休み等の長期休業期間」があり、管理職が勤務実態を直接把握することが困難な部分もあることが否めない。
こうしたことを踏まえ、「教師は通常の(超過)勤務命令に基づく勤務や時間管理にはなじまないものであり、勤務時間の内外を問わず包括的に評価すべきで(超過)勤務命令を前提とした勤務時間管理を行うことは適当でない」などの認識から、給特法では、①教職調整額制度により給与月額の4%の教職調整額を支給する②時間外勤務手当は支給しない③時間外勤務命令は超勤4項目(詳細は後述)に限定する――仕組みをセットで導入している。
給特法の概要
給特法の対象者は公立の義務教育諸学校等の教育職員。義務教育諸学校とは、公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、幼稚園のことで、教育職員は義務教育諸学校の校長(園長)、副校長(副園長)、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、養護教諭、栄養教諭、助教諭、養護助教諭、講師などを指す。このうち、校長や副校長、教頭といった管理職を除く教育職員には、原則的に時間外勤務手当や休日勤務を支給しないが、教職調整額制度により、給料の月額の4%に相当する額を「教職調整額」として支給することが定められている。
教育職員には、「正規の勤務時間の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務を命じない」こととしているが、「臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限り」時間外勤務を命じることができる。ただし、その場合は、①校外実習その他生徒の実習に関する業務②修学旅行その他学校の行事に関する業務③職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう)に関する業務④非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務――の「超勤4項目」に限ることとされている。
勤務時間の上限を定めた指針や変形労働時間制などの対応策を実施
本来、こうした例外的な時間外勤務は、政令で定める基準にしたがい条例で定められ、その際には「教員の健康と福祉を害さないように考慮しなければならない」ことになっている。また、2019年1月、中央教育審議会は「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」という答申を出して、文科省に教員の労働環境改善を求めた。
これを受けて、文科省は「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を告示して、超過勤務を「1カ月45時間以内・1年間360時間以内」(児童生徒等に係る臨時的な特別の事情により勤務せざるを得ない場合は、「1カ月100時間未満・1年間720時間以内」)などと定めた上限の目安を提示。同年12月には給特法を改正して、上記ガイドラインを「指針」に格上げ(2020年4月1日施行)するとともに、夏休みなどの長期休業期間に休日の「まとめ取り」が可能になる「1年単位の変形労働時間制」を地方公共団体の判断により条例で選択的に活用できるようにする(2021年4月1日施行)など、勤務時間を短縮する取り組みを徹底してきた。
なかなか進まない教員の処遇改善
実際、文部科学省が2022年に行った「公立小学校・中学校等教員勤務実態調査」では、学校閉庁日を設ける学校の割合が大幅に増加し、ほぼすべての学校で実施されているなど、教員の勤務時間削減に向けた取り組みが進められている様子がうかがえた。平日の勤務時間は小学校教諭が10時間45分、中学校教諭が11時間1分で、2016年の前回調査に比べて勤務時間は小中学校ともに30分ほど改善してはいたものの、10時間台~11時間台の状況は変わらず。1週間あたりの総在校等時間も、小学校では「50時間~55時間未満」が30.3%で最も割合が高く、「55時間~60時間未満」も20.0%と2割に及び、中学校では「50時間~55時間未満」(20.2%)と「55時間~60時間未満」(20.3%)がほぼ同じ割合で特に高かった。教師が担う業務が増加しているなかで、依然として長時間勤務の課題があることが浮き彫りになった。
教師を取り巻く環境整備を一体的・総合的に進める必要が
こうした実態を踏まえ、文科省では2023年5月に、中央教育審議会に諮問を行い、2024年8月には中教審が、さらなる給特法の改正も視野に入れた「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(答申)」を整理。その後、文科省は提言に沿って「教師を取り巻く環境整備 総合推進パッケージ」を策定し、各都道府県の教育委員会などに働き方改革の一層の推進を通知したり、効果的な先進事例をまとめて事例集にして紹介するなど、学校と社会の連携の橋渡し役として施策の実現に向けた取り組みを展開してきた。
働き方改革の一層の推進と教員の処遇改善が狙い
このような背景・経緯があるなかでの今回の給特法の改正は、①教育委員会に対する業務量管理・健康確保措置実施計画の策定及び公表等の義務付け②主務教諭職の新設③教職調整額の基準となる額の引き上げ④義務教育等教員特別手当の内容に関する規定の整備――等の措置を一体的に講ずるもの。
文科省は今回、成立した改正給特法の狙いを「学校教育の成否は教師にかかっており、教職の魅力を向上させ、教師に優れた人材を確保することが不可欠」であり、「働き方改革のさらなる加速化や、学校の指導・運営体制の充実、教師の職務の重要性にふさわしい処遇改善を総合的に進める必要がある」などとしたうえで、「教師に優れた人材を確保する必要があることに鑑み、学校における働き方改革の更なる加速化、組織的な学校運営及び指導の促進並びに教師の処遇の改善を一体的・総合的に進める」などと説明している。
業務量管理・健康確保措置実施計画の内容公表と実施状況の報告を義務化
それぞれの中味を詳しくみると、まず、教職員の服務監督権を持つ「教育委員会」に対しては、文部科学大臣が定める指針に合わせて、教員の業務量の適切な管理と健康・福祉を確保するための措置を実施するための計画(業務量管理・健康確保措置実施計画、以下「計画」)を策定・公表し、さらにその「計画」の実施状況を公表することを義務付けている。
さらに、「計画」の内容と実施状況は、地方公共団体の首長と教育委員会が教育行政の大綱や重点的に講ずべき施策等について協議・調整を行う場である「総合教育会議」への報告が義務付けられ、「計画」の策定と実施に関しては、都道府県教育委員会による市町村教育委員会への指導助言等を努力義務とする【給特法第8条関係】。
公立学校にも、学校評価の結果に基づいて実施する学校運営の改善措置が、「計画」に適合するものになるよう義務付ける【学校教育法第42条関係】。これに加え、校長が学校運営協議会(教育委員会が個別に指定する学校(いわゆる「コミュニティスクール」)ごとに、学校と地域が一体となった学校づくりを進めるために設置する、学校運営および運営への必要な支援などを協議する機関)の承認を得ることになっている学校運営に関する基本的な方針に対し、業務量管理・健康確保措置の実施に関する内容を含めることにした(学校運営協議会を置く学校【地方教育行政の組織及び運営に関する法律第47条の5関係】)。
「教職調整額」を6年かけて4%から10%に増額
今回の改正で最も注目されていた教職調整額については、基準となる額を給料月額の4%から10%まで段階的に引き上げる【給特法第3条関係】ことになった。
冒頭に記したように、公立学校の教員は、労働基準法で規定されている時間外勤務手当(残業代)が支払われない一方で、給料月額の4%に相当する教職調整額が勤務時間の長短にかかわらず支給されている。今回の改正では、この教職調整額を2026年1月から毎年1%ずつ段階的に引き上げ、2031年1月には10%とする。教職調整額の増額は、給特法が施行された1972年以降、初めてのこと。ただし、幼稚園教員の教職調整額については、子ども・子育て支援新制度の枠組みで処遇改善に関わる財政措置が講じられていることなどから現状維持。なお、教職調整額は、指導改善研修(指導が不適切と認定された教員に対して行われる職務研修)を受けている教員には支給されない【給特法第3条、第5条関係】。
教職員間の調整役を担う「主務教諭」のポストを新設
また、学校の教育活動に関して、2026年度から教諭と主幹教諭の間の総合的な調整を行う「主務教諭」の職種を新設【学校教育法第27条、第37条関係】。教諭より月額6,000円程度高い処遇を予定している。
義務教育等教員特別手当の学級担任への加算も
義務教育諸学校などに勤務する全ての教育職員を対象とする「義務教育等教員特別手当」についても、校務類型に応じて支給する形に変更する。支給額は、「困難性等を考慮して条例で定める」としており、具体的には学級担任への加算(月額3,000円)を想定している【教育公務員特例法第13条関係】。こうした対応により、教職10年目で前述の主務教諭で学級担任のケースでは、年間で約44万円アップするという。
附則には政府の役割を明記
改正給特法には、政府が行うべき措置として、教員の時間外在校等時間を2029年度までに月平均30時間程度に減らす目標と、そのために必要な環境整備が附則に書き加えられた。具体的には、政府の措置として、①教員1人あたりの担当授業時数の削減②教育課程の編成のあり方についての検討③公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律(義務標準法)に規定する教職員定数の標準の改定④教職員以外の学校の教育活動を支援する人材の増員⑤不当な要求を行う保護者等への対応についての支援⑥部活動の地域展開等を円滑に進めるための財政的援助⑦そのほか、教員の業務量削減のために必要な措置――を列記。公立中学校での35人学級を実現するための法制上の措置を令和8(2026)年度から講じることも定めた。ほかにも、管理職員や教育委員会が教員の業務管理の実効性を高めるための措置を検討・実施することや、教員の勤務条件のさらなる改善を検討するために勤務状況を調査することも明記している。
時間外在校等時間の正確な記載を周知徹底
ほかにも、今回の改正給特法には少なくない修正が施され、衆議院17項目、参議院21項目の附帯決議が採択された。その主だった内容をみると、時間外在校等時間の記録について「実際の時間外在校等時間より短い時間を記録することのないよう周知徹底する」ことが記された。報告された時間外勤務に虚偽記載があった場合、校長等が懲戒処分等の対象となる可能性があることも周知する。時間外在校等時間に関しては、上限時間遵守を目的に「自宅等への持ち帰り業務を増加させることがあってはならないことについて、周知徹底する」ことも書かれている。
「教育委員会」の長時間労働防止の取り組みや「人事委員会」のチェック機能の発揮を
教育委員会には、時間外在校等時間が上限時間を超える学校に対し「当該学校の業務や環境整備等の状況を十分に検証し、在校等時間の長時間化を防ぐための取組に万全を期す」ことを要求。労働基準監督機関の職権を行使する「人事委員会及び人事委員会を置かない場合の地方公共団体の長」には、「教育委員会が教育職員の業務量を適切に管理し、健康と福祉の確保を図るよう、その役割を十全に果たすこと」を求めたうえで、その際には「社会保険労務士や法律家など外部の専門家の知見も活用し、教育職員が働き方について相談できる体制の構築に努める」との文言も書き込まれた。
教職調整額引き上げの確実な実施と引き上げ額の前倒しの検討も
主務教諭の創設については、「教諭の給与を引き下げることのないよう、地方公共団体に周知徹底する」ことを記載。教職調整額も「10%の引上げを確実に実施するとともに、引上げ時期の前倒しを検討する」ことが盛り込まれている。
勤務時間外は部活動業務を命じることができないことをあらためて記載
教職員定数や臨時的任用教員の処遇改善にも言及。「教員の担当授業時数を軽減するための教育課程の実施と抜本的な教職員定数の改善に努める」ことが書かれたほか、「常勤職員と同等の職務を遂行している臨時的任用教員の給与決定について、総務省通知から(1級の講師ではなく)2級(の教諭として)発令とすることが可能であることを任命権者である教育委員会に周知徹底する」ことが明記された。
なお、「『超勤4項目』以外の業務である部活動」についても、「教員が正規の勤務時間を超えて従事することを命ずることができないことを踏まえ、部活動改革の推進等の必要な措置を講ずること」をあらためて記載している。
様々な主体が協働して働き方改革推進の仕組みを構築/あべ文科相
改正給特法等の可決・成立を受けて文部科学省は6月11日、あべ俊子大臣のメッセージを発表した。メッセージは、法改正により約50年ぶりに教員給与を引き上げることを、「教師の高度専門職としての職責にふさわしい処遇とすることは、教師の社会的評価を高め、教育という営みそのものに対する敬意のある社会とするために必要なもの」だと指摘。今後、「働き方改革の具体的な方策を明らかにした指針を策定し、教育委員会や学校を支援していく」ことで「働き方改革の取組の『見える化』を実現し、様々な主体が協働して働き方改革を推進する仕組みを構築する」スタンスを強調した。
さらに、「教職員定数の計画的な改善や、学校や教師を不当な要求などから守り、安心して教育活動に専念のできる環境づくり」なども推進することで、「教師が、『働きやすさ』と『働きがい』を感じられる職場環境を実現し、より多くの人に教職を目指してもらえるよう取り組んでいく」姿勢も表明している。
処遇改善関連は2026年1月1日、それ以外は同年4月1日から施行
改正法の施行は、教職調整額の引き上げなど、教員の処遇改善に関することは2026年1月1日から、それ以外は同年4月1日からとなる。改正法の成立を受けて文部科学省は、「今後、速やかに、文部科学大臣が定める働き方改革に関する『指針』の策定など、法施行に向けた具体的な準備を進めるとともに、広く国民に対し、法律の趣旨や内容を周知し、教師を取り巻く環境整備を強力に進める」方針だ。
学校の働き方改革の実現に向けて前進に資するもの/連合
労働組合の動きに目を転じると、6月11日には連合(芳野友子会長)と日教組(梶原貴委員長)がそれぞれ談話を発表している。
今回の改正について連合は、「約50年ぶりの教職調整額の引き上げに加えて、与野党の協議により、教員の業務削減目標や定数改善に関する修正がなされており、学校の働き方改革の実現に向けて前進に資するもの」と評価する清水秀行事務局長の談話を発出した。
談話は、改正法の附則に「今後5年間で時間外在校等時間を月平均30時間程度まで縮減するための措置として、教員一人あたりの授業時数の削減や外部支援員の増員など7つの施策を講じるとともに、公立中学校における35人学級の実現などが附則に盛り込まれた」ことや、附帯決議に「その実現に向けた工程表の策定や時間外在校等時間が上限時間を超える学校への取り組み強化などが含まれた」ことを指摘。「最も重要なことは講じられる施策の着実な実行」だと強調して、政府に対し「教育委員会や学校に任せきりにするのではなく、強力なリーダーシップを発揮」することを求めた。
さらに、学校の環境改善について、各施策のフォローアップと合わせて「一定の間隔をもって継続的に『教員勤務実態調査』を実施する」重要性にも触れ、「その結果も踏まえながら、課題を洗い出し、対策を検討していく必要がある」などとクギを刺している。
時間外在校等時間縮減の具体的方策は評価も給特法の廃止・抜本的見直しに至らなかったことは遺憾/日教組
日教組は、学校の働き方改革推進に向け、「時間外在校等時間を今後5年で月平均30時間程度に縮減するための具体的方策や、中学校35人学級について附則に書き込まれたこと」を「一定評価する」とした一方で、処遇改善については「現状の勤務実態に見合うものとは到底言えない」としたうえで、「給特法と労基法のずれを解消せず、給特法の廃止・抜本的見直しに至らなかったことは極めて遺憾」だとする山木正博書記長名の談話を公表した。
談話は、法改正の内容に、①計画が確実に実施されない場合や上限時間超えへの罰則がない②教職調整額を段階的に引き上げる一方で廃止・減額・加算する手当等がある③教職調整額段階的引上げの適用外の職種がある④新たな職の創設とそれによる業務過重の懸念、持ち帰り業務の増加や記録の改ざん等が危惧される――などの課題があることを主張。教育課程についても、「学習指導要領の内容の精選や標準授業時数の削減をすすめるべき」だとした。
そのうえで、政府に対し、「法律に基づき、業務削減のための方策や教職員定数改善を早急かつ誠実にすすめることが責務であり、課題の解消にむけた財政支援や措置を確実に行う」ことを要求するとともに、「持ち帰りも含めた正しい勤務時間の記録のもと、見せかけの縮減とさせないとりくみを強化するとともに、引き続き、真の学校の働き方改革を実現させるため、さらなる業務削減、教職員定数改善、給特法廃止・抜本的見直しを求めとりくむ」姿勢を鮮明にしている。
時間外勤務を労働時間に認めず時間外手当を支給しないことが最大の問題/全教
一方、全教(宮下直樹委員長)は改正法可決・成立の前日の10日に、「長時間過密労働を野放しにし、職場の共同性を破壊する給特法等改定案の成立に断固抗議する」中央執行委員会の声明を出した。
声明は、改定法の最大の問題点として「公立学校の教員のみ、膨大な時間外勤務を『在校等時間』というあいまいな概念で労働時間として認めず、一切の時間外勤務手当を支給しない」ことをあげたうえで、「制定以来50数年ぶりの給特法改定の中心的論点は、教職員の長時間過密労働の解消であったはず」なのに、「『超勤4項目』に該当する業務以外の時間外勤務を命じない代わりに、時間外勤務手当を支給しない現行の給特法のしくみは維持されたままだ」と厳しく非難。さらに、「『処遇改善』とされた教職調整額の引き上げは、長時間過密労働の解消とは無関係」で、『主務教諭』を創設することについても、「職場を分断し、管理統制が強められ、教育そのものが破壊される」との懸念を示して、「教育政策の転換と教育予算増の実現をめざすとともに、改定法案の条例化を許さないたたかいに全力をあげる」決意を表明している。
(調査部)