【岩手】(いわぎんリサーチ&コンサルティング)
4~6月期の非製造業は業況判断が悪化し、人手不足感は強まる見込み
地域シンクタンク・モニター定例調査
岩手県の1~3月期の経済動向について、モニターであるいわぎんリサーチ&コンサルティングは、個人消費がプラスで推移しているほか、鉱工業生産指数も前期を上回っていることなどをふまえて、【やや好転】と判断した。4~6月期の見通しは、個人消費はプラスの推移が続くが非製造業で業況判断が悪化しており、【横ばい】。雇用については、依然として人手不足感が強いことから1~3月期、4~6月期のいずれも【横ばい】としている。4~6月期は非製造業で人手不足感が強まる見込みとなっている。
<経済動向>
個人消費・生産活動ともにプラスの動き
1~3月期の岩手県の経済指標をみると、公共工事請負額は減少傾向が続き二桁台のマイナスとなった一方、小売業主要業態の販売額はドラッグストアがけん引してプラスで推移した。乗用車新車登録・販売台数は前年に一部メーカーで認証不正による出荷停止があった反動などから、増加の動きとなった。
新設住宅着工戸数は二桁台の増加となり、鉱工業生産指数も主力の電子部品・デバイスや輸送機械などがプラスとなったことから前期を上回った。
小売業主要業態の販売額は、引き続きドラッグストアの増勢を主因として前年を上回ったほか、公共工事請負額もプラスとなった。また、鉱工業生産指数も主力の電子部品・デバイスや生産用機械などが増産の動きとなり、前期を上回った。
モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」をみると、当期の売上高BSIは前期から3.6ポイント上昇してマイナス5.8と、4期連続で上昇した。経常利益BSIはマイナス19.6で前期から4.1ポイント改善している。この結果についてモニターは、「経常利益BSIは2024年1~3月期以降、売上高BSIを下回って推移しており、両者の乖離が続いている。原材料や仕入価格の上昇と人件費の増加などが収益を圧迫している」とコメントしている。
モニターはこれらの動きをふまえて、1~3月期の業況判断を【やや好転】とした。
業況判断が悪化するも個人消費はプラスで推移、公共工事も底堅い見込み
同調査の先行きの業況判断BSIはマイナス32.7(現状比9.7ポイント低下)となっている。業種別にみると、製造業が現状比2.1ポイント上昇のマイナス27.1。非製造業は同14.2ポイント低下のマイナス35.2となっている。
モニターは4~6月期の地域経済について、「新設住宅着工戸数や公共工事請負額は弱含みとなる」と予想したほか、小売業主要業態の販売額は業態によって差がみられるものの、全体としてはプラスで推移すると見込んでいる。乗用車新車登録・販売台数は、前年に一部メーカーで認証不正による出荷停止があった反動などから、増加の動きとなる見通しで、公共工事請負額も底堅く推移すると見込んでいる。
以上からモニターは、全体として【横ばい】と判断した。
<雇用動向>
新規出店で卸・小売業の求人が増加
1~3月期の雇用指標をみると、新規求人倍率が1.88倍(前期比プラス0.08ポイント)と上昇したほか、有効求人倍率も1.19倍(同プラス0.02ポイント)で上昇した。この動きについてモニターは、「求人数、求職者数ともに減少したものの、求職者数の減少幅のほうが大きかったことから、有効求人倍率は前期を上回った。企業の人手不足感は依然として強い」とコメントしている。
新規求人数を業種別にみると、卸・小売業は新規出店による求人を主因に増加したほか、情報通信業などもプラスとなった。一方、公務・その他は会計年度任用職員の減少によりマイナスとなったほか、宿泊・飲食サービス業も前年の反動などから前年を下回った。
これらの動きをふまえて、モニターは1~3月期の雇用を【横ばい】とした。
卸・小売業、運輸・サービス業で不足感が強まる見通し
モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」の雇用人員BSIの先行き判断をみると、現状比2.7ポイント低下のマイナス31.4と、不足感が強まる見込み。業種別では、製造業が同6.3ポイント上昇のマイナス12.5に対して、非製造業は同6.7ポイント低下のマイナス40.0。建設業でマイナス幅が縮小するものの、卸・小売業と運輸・サービス業で不足感が強まる見通しとなっている。
4~6月期の見通しについてモニターは、「引き続き弱さはみられるものの、企業の人手不足感は強く、求人が求職を上回って推移するとみられる」ことから【横ばい】とした。