【福島】(とうほう地域総合研究所)
高卒の就職内定率が2005年以降で2番目に高い水準、ただし県内就職率は7割にとどまる

地域シンクタンク・モニター定例調査

福島県の経済動向は、1~3月期は個人消費や生産活動に動きがないことなどから、モニターのとうほう地域総合研究所は【横ばい】と判断した。4~6月期も、消費は底堅く推移するほか、投資も持ち直しの兆しがみえつつあるとして、【横ばい】とした。雇用動向については、労働統計の動きをもとに1~3月期、4~6月期のいずれも【横ばい】としている。高卒の就職内定率は2005年以降で2番目に高い水準となったが、県内就職率は7割にとどまっている。連合福島によると、2025年春闘では昨年に続いて高水準の賃上げとなっている。

<経済動向>

新設住宅着工戸数は駆け込み需要で3月に増加、4月に大幅減

1~3月期の地域経済を個人消費からみると、大型小売店販売額は1,793億8,600万円で、前年同期比プラス5,300万円とほぼ横ばいとなった。乗用車登録・届出台数(新車および中古車)は4万4,488台で同マイナス13台とわずかに減少し、5四半期連続で減少した。

公共投資は、公共工事前払保証請負金額が前年同期比マイナス4.7%と2期連続で減少したものの、足元では県土木部で増加するなど、前期比ではプラス59.5%となった。民間設備投資は、建築着工(民間非居住用)工事費予定額が前年同期比プラス104.5%、前期比プラス44.0%となっている。商業施設や病院の大型投資があったことから、大きく増加した。

新設住宅着工戸数は前年同期比プラス19.3%、前期比プラス18.0%となっている。4月からの住宅省エネ法改正に向けた、3月の駆け込み需要により増加した。

生産活動は、鉱工業生産指数が前期比マイナス0.1%と横ばいの動き。

モニターはこれらの統計をもとに、1~3月期について【横ばい】と判断した。

4月の統計をみると、大型小売店等販売額は前年同月比マイナス0.4%と2カ月ぶりに減少に転じた。乗用車登録・届出台数は同プラス1.5%と3カ月ぶりに増加に転じた。

公共投資は、公共工事前払保証請負金額が前年同月比プラス35.4%と増加した。民間設備投資は、建築着工(民間非居住用)工事費予定額が同マイナス13.8%で減少となった。

新設住宅着工戸数は前年同月比マイナス42.3%。駆け込み需要の反動もあり大幅に減少している。

モニターは「消費動向は、物価上昇による節約志向はみられるものの底堅く推移するとみられ、投資動向は住宅が反動減となったが総体的には持ち直しの兆しがみえつつある」とコメントして、4~6月期の見通しについて【横ばい】とした。

<雇用動向>

高卒の求人は減少しているが、それ以上に求職者が減少

1~3月期の雇用実績は、雇用保険受給者実人員数が前期から11.2%減少した。前年同期比では2.5%の減少。有効求人倍率は1.28倍で前期から0.04ポイント上昇しており、こうした動きもふまえて【横ばい】とした。

4~6月期については、有効求人倍率は4月が1.30倍で前月から0.01ポイント低下した。雇用保険受給者実人員数は4月が前年同月比マイナス9.0%で、3カ月連続で前年を下回っており、こうした動きもふまえて【横ばい】とした。

福島県内の高校の2025年3月卒業者の就職内定率は99.7%で、統計を開始した2005年以降において、2020年に次いで過去2番目の高さとなった。ただし、就職内定者の県内への就職率は69.3%で、2005年以降では2013年に次いで過去2番目の低さとなった。特に会津地域は60.3%と、約4割が県外就職となっている。

賃上げ率が4.90%で2018年以降では最高

連合福島は2025年春闘での妥結状況(5月26日時点)を公表した。それによると、200組合中159組合が妥結しており、賃上げ額は月額1万4,029円、賃上げ率は4.90%となり、比較可能な2018年以降で最高となった。前年の4.87%に引き続き、高い水準での賃上げとなっている。

また、モニターが県内の個人に対して5月に実施したインターネット調査によれば、今春の賃上げの結果について「引き上げられた」が31.7%、「引き下げられた」が7.8%、「変わらない」が59.8%となっており、3割超で引き上げられている。