<2025年第1四半期(1~3月期)実績および第2四半期(4~6月期)の見通し>
住宅投資は法改正による駆け込み需要からの反動減、製造業ではトランプ政権の関税政策に懸念が拡がる。雇用は強い人手不足感が継続

地域シンクタンク・モニター定例調査

JILPTでは、各地域のシンクタンクにモニターを委託し、四半期ごとに各地の経済や雇用の動向を尋ねる「地域シンクタンク・モニター調査」を実施している。今回の調査では、2025年第1四半期(1~3月期)の実績と第2四半期(4~6月期)の見通しについて回答を得た(回答締切りは6月27日、モニターの一覧は図表1)。各地域モニターの報告から経済動向および雇用動向(図表2)を紹介する。

図表1:地域シンクタンク・モニターの一覧
画像:図表1

図表2:各地域の経済動向および雇用動向
画像:図表2

<経済動向>

各地の1~3月期の経済動向は「やや好転」が2地域、「横ばい」が9地域、「やや悪化」が1地域。住宅投資は改正建築物省エネ法の4月からの全面施行を前に、新設住宅着工戸数が駆け込み需要で大幅に増加した。

4~6月期見通しでは、「やや好転」が1地域、「横ばい」が7地域、「やや悪化」が4地域で、1~3月期から判断を引き下げたのは6地域となっている。新設住宅着工戸数は駆け込み需要の反動で減少している。米国のトランプ政権の関税政策に対して、製造業で懸念が拡がっている。近畿では大阪・関西万博の開催で、景況感が改善する業種もある。

<雇用動向>

雇用動向については、1~3月期実績で「やや好転」が1地域、「横ばい」が11地域だった。多くの地域で強い人手不足感が継続している。

4~6月期見通しは「好転」が1地域、「横ばい」が11地域。前期実績から上向く見通しを示したのは茨城県のみで、下向く見通しを示したのは中国のみだった。東北地方のモニターからは今春卒業の高校生・大学生について、県外就職率の高さやそれによる若者の流出への懸念などが報告された。

なお、本文中に出てくる有効求人倍率、新規求人倍率は特に断りがない限り季節調整値である。