【東海】(OKB総研)
経済は堅調な状況で「横ばい」続く。夏のボーナスは6%超の増加

地域シンクタンク・モニター定例調査

4~6月期の東海地域の経済は、設備投資が堅調なほか、個人消費は緩やかに持ち直したことからモニターであるOKB総研は【横ばい】と判断した。7~9月期の見通しも、小売店で業種によっては売上が減少しているものの、総じて緩やかに回復していることから【横ばい】とした。雇用動向の4~6月期実績は、新規求人数は6月に2桁の減少となったが人手不足感が続いており【横ばい】、7~9月期見通しも統計の動きをもとに【横ばい】と判断している。各種調査によると、夏のボーナスは昨年比6%超の増加となった。

<経済動向>

電子部品、業務用機械の生産は前期比2ケタの伸び

4~6月期の経済動向からみると、生産は持ち直しの動きがみられた。鉱工業指数は104.3で前期比2.9%上昇。主な業種では電子部品・デバイス工業が同17.8%上昇、業務用機械工業が同14.8%上昇となっている。

東海財務局の「法人企業統計調査」によれば、4~6月期の東海4県(静岡県含む)の設備投資額は前年同期比プラス13.4%と大きく増加した。増加は6四半期連続。業種別にみると製造業は同プラス15.9%で、11四半期連続で前年同期を上回った。非製造業は同プラス9.6%で、こちらも6四半期連続で前年同期を上回っている。日銀短観(6月調査)での2024年度の設備投資額(計画)をみても、製造業・非製造業のいずれも増加の見込みとなっている。

百貨店、ドラッグストア、家電など、いずれも前年同期比プラス

個人消費は緩やかに持ち直した。中部経済産業局管内5県(愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県)の当期の販売額をみると、百貨店(前年同期比プラス10.8%)、ドラッグストア(同プラス7.9%)、ホームセンター(同プラス2.9%)、家電大型専門店(同プラス2.2
%)、スーパーマーケット(同プラス1.1%)、コンビニエンスストア(同プラス0.9%)のいずれも前年同期を上回った。

輸出をみると、名古屋税関管内の輸出通関額は4月が前年同月比プラス13.0%、5月が同プラス9.1%、6月が同プラス3.6%とプラスで推移している。

モニターは「物価高や大手自動車メーカーの認証不正問題等の影響はあったものの、景気は総じて緩やかに持ち直した」として、4~6月期の地域経済を【横ばい】と判断した。

9月の景況指数はマイナス4.1でわずかに悪化

7~9月期を分野別にみると、中部経済産業局管内5県の大型小売店販売額(7月)の前年同月比は、百貨店、ドラッグストア、コンビニエンスストアがプラスとなったが、ホームセンター、スーパーマーケット、家電大型専門店はマイナスだった。

モニターが作成する「OKB景況指数(9月期)」をみると、景気水準はマイナス4.1で前期から約3ポイント悪化している。

東海財務局の法人企業景気予測調査(7~9月期)では、景況判断BSIは「下降」超幅は縮小したものの、3期連続で「下降」超となっている。企業規模別では大企業が2期連続の「上昇」超で、中堅企業は2期ぶりに「上昇」超に転じた。中小企業は3期連続の「下降」超。業種別では製造業が3期連続で「下降」超、非製造業は2期ぶりに「下降」超となった。

7月の鉱工業生産指数は105.1で前月比2.9%上昇した。電子部品・デバイス工業が同17.3%上昇で好調だが、生産用機械工業は同6.8%低下となっている。モニター作成のOKB景況指数の生産活動はマイナス3.5で、前期から約6ポイント低下している。

モニターは「景気は一部に弱めの動きもみられるが、総じて緩やかに回復している」として7~9月期の見通しを【横ばい】と判断した。

<雇用動向>

雇用情勢の回復ペースは緩やか

雇用の実績(4~6月期)について、有効求人倍率をみると当期は1.25倍で、前期(1.27倍)から横ばい。新規求人数は4月が前年同月比プラス1.1%、5月が同マイナス1.0%、6月が同マイナス12.1%と、6月に大きく減少した。

モニターはこれらの動きをふまえつつ、「企業の人手不足感が続くなか、雇用情勢は改善の動きが続いているが、そのペースは緩やか」として判断を【横ばい】とした。

従業員の「不足気味」超の幅がやや拡大

東海財務局の「法人企業景気予測調査」によると、9月末時点の従業員数判断BSIは31.3の「不足気味」超で、6月末(30.6)から「不足気味」超の幅がやや拡大している。モニター作成の「OKB景況指数(9月期)」をみても、雇用は72.8の大幅な「不足」超の状況で前期(68.7)から不足幅がやや拡大している。

有効求人倍率は7月が1.24倍(前月比プラス0.01ポイント)で、横ばいでの推移が続いている。

モニターは7~9月期の見通しについて【横ばい】と判断した。

夏のボーナスは例年にない水準に

岐阜県経営者協会がまとめた今年の夏季賞与の交渉・決定状況調査によると、平均妥結額は前年比プラス6.43%の51万7,933円で、1998年(54万4,037円)以降の26年間で最高となった。

また愛知県経営者協会がまとめた今年の夏季賞与交渉状況報告によると、平均妥結額は前年比プラス6.54%の70万640円と、記録を確認できる1992年以降で過去最高となった。