【岩手】(いわぎんリサーチ&コンサルティング)
販売額、公共工事は増加も自動車販売はマイナス。強い人手不足感が依然として続く

地域シンクタンク・モニター定例調査

岩手県の4~6月期の経済動向について、モニターであるいわぎんリサーチ&コンサルティングは、販売額や公共工事が増加したほか、生産活動は主力の電子部品・デバイスが改善しているが、認証不正問題の影響で乗用車登録・販売台数が低下しており【横ばい】と判断した。7~9月期の見通しも、企業の業況判断の動きが小幅なことから【横ばい】。雇用については、4~6月期は新規求人倍率・有効求人倍率ともに動きが小さいことをふまえて【横ばい】と判断。7~9月期の見通しも、企業の人手不足感が依然として強いことから【横ばい】としている。

<経済動向>

小売業主要業態のほとんどで販売額がプラス

4~6月期の岩手県の経済指標をみると、小売業主要業態の販売額が6業態中5業態でプラスとなるなど引き続き拡大の動きとなった。公共工事請負額も県や市町村などが増加となり前年を上回った。

鉱工業生産指数は主力の電子部品・デバイスなどが大幅な増加となったことなどから2四半期連続でプラスとなった。だが、乗用車新車登録・販売台数は認証不正による出荷停止の影響などから2四半期連続でマイナス。新設住宅着工戸数も持家の弱い動きが続いていることから前年を下回った。

モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」をみると、当期の売上高BSIは前期から2.7ポイント上昇してマイナス21.3と、改善の動きとなった。経常利益BSIはマイナス27.0で前期から4.4ポイント上昇した。

モニターはこれらの動きを総合的にふまえて、4~6月期の業況判断を【横ばい】とした。

業況判断は小幅な動き

同調査の先行きの業況判断BSIはマイナス33.9(現状比1.7ポイント低下)となっている。業種別にみると、製造業は現状比3.4ポイント上昇のマイナス29.4と改善する見込みだが、非製造業は同4.3ポイント低下のマイナス36.2となっている。建設業で二桁台の悪化となるほか、卸・小売業と運輸・サービス業もマイナス幅が拡大している。

モニターは7~9月期の地域経済について、「小売業主要業態の販売額は足元で減速感がみられ、新設住宅着工戸数や公共工事も弱含みとなっている」ものの「乗用車新車登録・販売台数は生産再開などにより徐々に回復傾向になるとみられるほか、生産活動は一進一退の動きとなる」と予想し、総合的な判断を【横ばい】とした。

<雇用動向>

製造業の新規求人数が16カ月連続でマイナスに

4~6月期の雇用指標をみると、新規求人倍率は1.77倍(前期比マイナス0.05ポイント)で低下となったものの、有効求人倍率は1.20倍(同プラス0.01ポイント)で横ばいとなっている。

新規求人数を業種別にみると、製造業は食料品での減少などから16カ月連続で前年を下回って推移しているほか、卸・小売業も小売業の減少を主因にマイナスとなった。一方、宿泊・飲食サービス業は給食業務を請け負う事業所の求人増によりプラスとなったほか、情報通信業もまとまった求人があったことから前年を上回った。

これらの動きをふまえて、モニターは4~6月期の雇用を【横ばい】とした。

雇用人員判断は横ばいで人手不足感は依然として強い

モニターが実施した「岩手県内企業景況調査」の雇用人員BSIの先行き判断をみると、マイナス29.4で現状(マイナス29.3)とほぼ同水準で推移する見込み。産業別では、製造業は現状比6.9ポイント低下のマイナス20.7となっている。非製造業は同3.4ポイント上昇のマイナス33.7で、建設業、卸・小売業、運輸・サービス業の3業種すべてで不足感が強まる見通しとなっている。

7~9月期の見通しについてモニターは、「引き続き減速傾向ではあるものの、依然として人手不足感は強い」ことから【横ばい】とした。