【福島】(とうほう地域総合研究所)
大型小売の販売額はプラスも、公共投資は減少。8割弱の県内企業が賃上げを実施
地域シンクタンク・モニター定例調査
福島県の経済動向は、4~6月期は大型小売店販売額がプラスとなったが、公共投資は前年からの反動で減少していることなどから、モニターのとうほう地域総合研究所は【横ばい】と判断した。7~9月期も、乗用車登録・届出台数は増加したが、大型小売店販売額がマイナスの動きで【横ばい】となった。雇用動向については、4~6月期は、有効求人倍率は低下しているが、高倍率の職種もみられるとして【横ばい】とし、7~9月期もほとんどの業種で人手不足感があるとして【横ばい】としている。モニターが実施した調査によると、賃金のベースアップ・定期昇給を実施した県内企業は79.4%にのぼった。
<経済動向>
乗用車登録は一部で出荷停止が解除されたが減少
4~6月期の地域経済を個人消費からみると、県内大型小売店販売額は前年同期比プラス1.2%となっている。乗用車登録・届出台数(新車および中古車)は同マイナス5.4%となった。一部メーカーの出荷停止が解除されたが、減少している。
公共投資は、公共工事前払保証請負金額が前年同期比マイナス16.8%で、4期連続で減少した。前年に環境省発注の大型工事が計上されており、その反動をうけている。民間設備投資は、建築着工(民間非居住用)工事費予定額が前期比プラス112.9%、前年同期比プラス122.3%で、製造業などで大型投資があった影響により大きく増加した。新設住宅着工戸数は前期比プラス44.5%、前年同期比プラス4.7%となっており、前年同期比での増加は9四半期ぶり。
生産活動は、鉱工業生産指数が104.8で前期から横ばいで推移した。
モニターはこれらの統計をもとに4~6月期について、「乗用車登録・届出台数や公共投資が前年同期を下回っている」ものの、「大型小売店等販売額、民間設備投資、新設住宅着工戸数が前年同期を上回っている」ことから、全体では【横ばい】と判断した。
7月は乗用車登録・届出台数が7カ月ぶりにプラスに
7月の統計をみると、大型小売店等販売額は前年同月比マイナス3.1%で減少している。乗用車登録・届出台数は同プラス7.2%で7カ月ぶりにプラスに転じた。
公共投資は、公共工事前払保証請負金額合計が前年同月比プラス0.1%でやや増加。建設着工(民間非居住用)工事費予定額は前年同月を上回っており、新設住宅着工戸数も前年同月を上回っている。
モニターは消費関連について、「乗用車登録・届出台数が前年同月比で増加に転じたものの、大型小売店等販売額が前年同月比で減少に転じており、減速の兆しが見え始めている」としたほか、投資関連では「公共投資、民間設備投資、新設住宅着工戸数がいずれも前年同月比でプラスとなっている」ことから、「総体では投資動向が持ち直しの動きをみせている」として7~9月期の見通しについても【横ばい】とした。
<雇用動向>
保安、建設などは有効求人倍率が高水準
4~6月期の雇用実績は、雇用保険受給者実人員数が前年同期から11.4%増加したほか、有効求人倍率も低下しているものの、「保安、建設など有効求人倍率が高水準な職種もみられる」ことから【横ばい】とした。
7~9月期については、有効求人倍率は7月が1.25倍で前月から0.01ポイント上昇している。7月の雇用保険受給者実人員数は前年同月を9.9%上回っている。モニターは「ほとんどの業種で人手不足感があるものの、製造業では少し和らいでいる」として【横ばい】と判断した。
ベースアップを実施した企業割合が半数近くに迫る
モニターが7月に実施した「福島県内景気動向アンケート調査」によると、ベースアップを実施した県内企業は46.2%と半数近くにのぼり、定期昇給のみ実施した企業と合わせると79.4%で約8割となった。
賃上げした理由を尋ねたところ(複数回答)、「従業員のモチベーション向上のため」(66.4%)が最も回答割合が高く、次いで「物価上昇分を考慮して」(63.4%)、「定例的に実施しているため」(50.2%)などの順となった。