入職率、離職率
―雇用動向調査結果から―
ちょっと気になるデータ
厚生労働省から2024年8月27日に令和5年「雇用動向調査」の結果が公表された。この中から入職率、離職率についての結果を紹介する。入職率とは、年初の常用労働者数に対する年間の入職者(注1)数の割合、離職率とは、年初の常用労働者数に対する年間の離職者(注2)数の割合である。
2023年の入職率は16.4%(前年比1.2ポイントの上昇)、離職率は15.4%(同0.4ポイントの上昇)となっている。2004年以降(注3)の推移をみると、2013年に入職率(16.3%)が離職率(15.6%)を上回り6年ぶりの入職超過になった後入職超過が続いていたが、2020年には離職超過となった。2021年以降は入職超過に転じ、超過幅は2021年0.1ポイント、2022年0.2ポイント、2023年1.0ポイントと拡大している(図表1)。
図表1:入職率、離職率
就業形態別にみると、一般労働者では入職率は12.1%(前年比0.3ポイントの上昇)、離職率は12.1%(同0.2ポイントの上昇)、パートタイム労働者では入職率は27.5%(同3.3ポイントの上昇)、離職率は23.8%(同0.7ポイントの上昇)となっている。2004年以降パートタイム労働者では入職超過が続いていたが2020年は離職超過に転じ、2021年以降は再び入職超過となり、2023年の超過幅は3.7ポイントとなっている(図表2)。
図表2:就業形態別入職率、離職率
さらに、2023年について就業形態別、産業別にみると、一般労働者では、入職率は「サービス業(他に分類されないもの)」で19.9%と最も高く、次いで「宿泊業,飲食サービス業」が19.8%などとなっている。離職率は「生活関連サービス業,娯楽業」で20.8%と最も高く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が19.3%などとなっている。パートタイム労働者では、入職率は「生活関連サービス業,娯楽業」で49.2%と最も高く、「宿泊業,飲食サービス業」が40.5%とこれに次ぐ。離職率は、「生活関連サービス業」で36.9%と最も高く、「サービス業(他に分類されないもの)」で32.7%とこれに次ぐ。入職超過率をみると、パートタイム労働者の「生活関連サービス業,娯楽業」で12.3ポイント、「宿泊業,飲食サービス業」で8.6ポイントと、超過幅が大きくなっている(図表3)。
図表3:産業別入職率、離職率
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[注1] 常用労働者のうち、調査対象期間中に事業所が新たに採用した者をいい、他企業からの出向者・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所からの転入者を除く。
[注2] 常用労働者のうち、調査対象期間中に事業所を退職したり、解雇された者をいい、他企業への出向者・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所への転出者を除く。
[注3] 2004年から「教育,学習支援業」を含む。この他の詳細については「令和5年雇用動向調査結果の概要」に掲載されている「利用上の注意(PDF:155.71KB)」を参照。
(調査部 統計解析担当)